安倍元総理「日銀は政府の子会社」発言は間違いではない
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数量政策学者の高橋洋一が5月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。安倍元総理が大分市の会合で述べた「日銀は政府の子会社だ」という発言について解説した。
安倍元総理「日銀は政府の子会社」は間違いではない
自民党の安倍晋三元総理が5月9日、大分市での会合で、日銀が市場を通じて政府の国債を買い入れていることに触れ、「日銀は政府の子会社だ」と述べた。
飯田)この発言に対して「日銀の独立性を脅かす発言だ」と一部が報じています。
高橋)この件については、私は昔から「マスコミが間違っている」と言っているし、安倍さんは小泉政権のときに副長官や幹事長、官房長官をされていましたので、安倍さんには何回も説明したことがあります。
「独立性」の意味を「完全なる独立性」と勘違いしているマスコミ ~子会社として指示を受けるのは大きな方針だけ
高橋)何が間違っているかと言うと、「独立性」という意味をマスコミが勘違いしているのです。「子会社としての独立性がある」ということですが、日々のオペレーションについては親会社から指示は受けませんよね。指示を受けるのは、大きな方針だけです。そういう意味での「独立性」ということです。これは元FRB議長のバーナンキさんも言っています。
飯田)FRBの議長だった方。
高橋)バーナンキさんが日本へ来たときに、日銀で講演したのです。そのときに「どういう話をしたらいいか」と私に聞くので、「独立性の話について、日本の解釈は間違っています」と言ったら、彼はいま私が言ったようなことと同じような話をしてくれたのです。しかしマスコミの報道では、なぜかそこだけ落ちていた。
飯田)報じられなかった。
高橋)そこだけすっぽり落ちていた。「ええ?」と思ったので、FRBのホームページを確認したら、FRBのホームページには全部きちんと書いてありました。
飯田)その演説原稿が。
高橋)マスコミはそこを言われたくないのです。だから落としたのです。
子会社で「完全なる独立性」はあり得ない
飯田)アベノミクスが始まった当時も、「日銀の独立性」ということが言われたときに、「手段の独立と目的の独立の違いなのだ」という話がありました。
高橋)その話を20年くらい前に安倍さんに言ったら、安倍さんは「大きな方針だけやればいいのね」と。「人事だけやればいいのね」と言われたので、「その通りです」と言いました。
飯田)大きな方針だけを。
高橋)あとは、「日々の金利の上げ下げのようなオペレーションの話をしてはいけませんよ」と。それと同じなのです。それをそのまま言っているだけなのだけれども、独立性を「完全なる独立性」と勘違いしているのです。子会社で完全なる独立性というのはあり得ません。
飯田)そうなってしまうと、別会社ということになりますね。
中央銀行の独立性は「手段の独立性」 ~子会社として日々のオペレーションの指示は受けない
高橋)中央銀行の独立性は「手段の独立性」と言って、子会社として日々のオペレーションについて指示は受けないということです。そういう意味での独立性です。それをバーナンキさんが言ってくれたのだけれども、そこだけ報道しなかった。マスコミの方はそれを言われるのが嫌なのでしょう。
飯田)目的も含めて、存在も独立は独立なのだと言いたい。
高橋)そういうものはあり得ません。出資権を政府が50%以上持っているし、役員の任命権は持っているし、予算の認可権もあるから、普通の子会社よりもはるかに強い子会社ですよ。要するにコントロールがよく効いているという点でね。
飯田)結びつきの部分で。
高橋)これを「子会社ではない」と言うのは間違いです。
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