ロシアとウクライナの戦いは「ウクライナ軍が諦めない限り」続く

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元内閣官房副長官補で同志社大学特別客員教授の兼原信克が5月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後のウクライナ情勢について解説した。

インタビュー取材を受けるウクライナのゼレンスキー大統領=2022年3月1日、キエフ(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

ゼレンスキー大統領が東部前線を訪問

ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシア軍の攻撃が続く東部ハルキウ州の前線部隊を訪れたことを5月29日、大統領府が発表した。

20万人対20万人の戦いになる

飯田)ゼレンスキー大統領が、侵略が始まってから初めてキーウを離れ、ハルキウに行ったことが報じられています。この3ヵ月をどのようにご覧になっていますか?

兼原)ハルキウは激戦地で獲り返しつつあるので、ウクライナは北からシフトしています。ただ、南はロシアが全力で突っ込んで来ています。ロシアの「南北に分かれて攻める」というやり方は失敗したのです。野球のゲームに例えると、3回裏が終わって1対2でウクライナが勝っている状況です。ロシア、ウクライナともに全軍を南に集めて、これからが本気だという段階です。この先は4回表に入りますが、厳しいと思います。

飯田)まだ3回なのですか?

兼原)北の方はロシア軍が失敗したので、退いてしまったのですが、今度は全軍を南に集めるので、大体20万人対20万人の勝負になります。これからロシア軍は思い切り残虐な行動に出ると思います。

どこかで勝たないと終われないプーチン大統領

飯田)「ウクライナ有利」という報道もありますが、そんなに甘いものではないということですか?

兼原)北正面と南正面があります。情報部が指導したのだと思いますが、ロシアはかなりずさんな戦争をして、大失敗したので撤収しました。いまキーウからハリコフまでウクライナ軍が押しているのですが、プーチン大統領が本当に欲しいのはマリウポリ周辺と、ドンバスとクリミアです。いま全力を向けつつあるところで、今度は軍が指揮しますから、これからが本番だと思います。

飯田)軍が指揮をする。いままでプーチンさんがかなり細かいマネジメントまでしていたという話も出ていますね。

兼原)1週間で終わる気だったのです。

飯田)本当にそう思っていた。

兼原)2024年が大統領選挙なので、クリミアは居合斬りのようにして「スカッ」と獲ったのです。あれをもう1回やれば、もっと人気が出ると思ったのです。それで失敗したので、「このままでは終われないから」ということで、新たな統括司令官をつくり、全力で軍を突っ込もうとしています。どこかで勝たないと終われないのです。

NATO全体で日本とアメリカよりも大きい国力を持つ ~ウクライナ軍が諦めない限り戦いは続く

飯田)その勝ちの部分が、ロシアからすると、東部2州とマリウポリの辺りですか?

兼原)アゾフ海の沿岸を通るとドンバスとクリミアがつながるのです。クリミアは孤立していますから、いろいろなものを持ち込むのが大変なのです。ですから、東部2州とアゾフ海沿岸は絶対に獲らないと終われないのだと思います。

飯田)一方で西側諸国は、アメリカの武器貸与法も成立しました。多くの物量を入れつつありますが、まだ足りないのですか?

兼原)北大西洋条約機構(NATO)全体でアメリカ2個分の経済力なので、ロシアの30倍です。第二次世界大戦時の大日本帝国とアメリカよりも国力差が大きいのです。だから全力で支援していくと思いますが、戦っているのはウクライナ軍なので、ウクライナ軍の士気が折れない限りは続きます。プーチン大統領は先ほど申し上げた地域を獲っても、ウクライナが獲り返しに来たら、終われないわけです。ウクライナ軍も「もう疲れた」と言わない限り終わらないので、まだ続きますね。

停戦することは難しい

飯田)双方が疲弊しなければ、停戦の気運も出てこないですか?

兼原)戦争が始まってしまうと、外交は関係なくなり、軍事の勝負になります。相撲と一緒で、どちらかが押していれば、水入りにならないのです。水入りは停戦のことですが、両方が土俵の真ん中で疲れなければ、水入りにはなりません。領土などのことは置いておいて、とりあえず停戦とするのですが、どちらかが「やってやる!」と思っていれば、停戦にはならないですね。かわいそうですが、まだ続くと思います。

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