キャスターの辛坊治郎が7月4日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ロシアによるウクライナ商業施設の攻撃に旧ソ連時代の空対艦ミサイルが使われた可能性が高いことについて、持論を展開した。
アメリカ国防総省の高官が1日、約20人が死亡したウクライナ中部クレメンチュクのショッピングセンターへの攻撃で、対艦用の兵器が使用された可能性が高いとの見方を示した。地上の標的を正確に狙うミサイルとは異なるため精度を欠き、民間人の犠牲が拡大した恐れがある。
辛坊)ウクライナのショッピングセンターにミサイルが着弾する、あのショッキングな画像。当初はミサイルが着弾して爆発する画像しか流されていなかったのですが、数日遅れて別の角度から収録したショッピングセンターに向かってミサイルが落ちていく様子の画像が公開されました。この画像にはっきりと映っているミサイルの形を見ると、旧ソ連時代の空対艦ミサイル「KH32」の可能性が高いんですね。KH32は、旧ソ連がアメリカの空母を撃沈するために開発したミサイルです。
空対艦ミサイルというと、戦闘機の翼に付いているミサイルを想像する人もいるかもしれませんが、KH32は違います。KH32はかなり大きくて、戦闘機に搭載できるようなミサイルではなく、爆撃機がおなかに抱えて発射するミサイルなんです。今回、空母を1発で破壊するようなミサイルが使われたということは、やはり相当に異常なことが起きているのだと感じます。
ロシアがこの空対艦ミサイルを使った理由として1つ考えられるのは、こうした脅しをウクライナに対してかけたいと思っていたためだと想像でき、意図的に使用した可能性があります。もう1つの理由は、これまでの侵攻で精度の高いミサイルを使い過ぎてしまい、精度の高いミサイルがロシアで枯渇し始めているからではないでしょうか。それで、破壊力は大きいけれども、着弾点を精密にコントロールできない旧ソ連時代のミサイルを使わざるを得なくなっており、誤ってショッピングセンターに当ててしまったのではないかと考えられます。
ところで、ショッピングセンターにミサイルが着弾する画像そのものですが、人工知能(AI)を使って偽動画を作るディープフェイクであるという指摘は、今のところ一切ありません。ですから、ロシアが旧ソ連時代にアメリカの空母を撃沈するために開発した巨大なミサイルを爆撃機から発射してショッピングセンターに当てたというのは、残念ながら事実だと思われます。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)