春風亭一之輔「落語家は真打ちがスタート。そこから長いマラソンレースを走る」

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(8月31日放送)に落語家の春風亭一之輔が出演。落語との向き合い方について語った。

春風亭一之輔「落語家は真打ちがスタート。そこから長いマラソンレースを走る」

真打披露会見を開いた落語家、春風亭一之輔(中央)と師匠、春風亭一朝(左)、落語協会会長の柳家小三治  撮影日:2012年03月08日 写真提供:産経新聞社

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月29日(月)~9月2日(金)のゲストは落語家の春風亭一之輔。3日目は、落語との向き合い方について---

黒木)年間900席もの高座に上がっていらっしゃる一之輔師匠ですけれども、200以上の数の話を持っていらっしゃるということです。

一之輔)いまたぶん230~240ではないですかね。

黒木)いくつまでには300と決めていらっしゃるんですって?

一之輔)最終的に300くらいあるといいかなと。もう少し増やして、ふるいにかけていく感じですかね。

黒木)ふるいにかけるということは、お客様が喜んでくれるどうかということですか?

一之輔)全部得意ネタというわけではないので、自分に合っているかどうか。「ここをこうした方が喜んでもらえるな」というのを数絞っていくのが、多分、50歳過ぎてからそういう作業に入っていくのかなと思います。

黒木)記事を読ませていただきましたが、「意地比べ」という落語がありますけれども、話自体は面白いけどわかりにくくて、ウケてもらえないのではないかと。だからこそ挑戦なさったとおっしゃっていますが。

一之輔)「意地比べ」という話は、ただただ強情な人がたくさん出てきて、意地の張り合いをするをするという、つかみどころがなく、面白さがストレートに伝わりにくい落語なんですよ。

黒木)もちろん聴きましたけれど、「50円返してくれ」って、そこで笑ってしまったのです。

一之輔)ははは(笑)早い! 笑いのハードルが低すぎる。

黒木)「100万貸してくれ」とか、そういうのかと思っていたのです。そうしたら時代が……。

一之輔)明治くらいの話ですね。

黒木)50円貸してくれって言われて「プッ!」って笑ってしまったのですが、話を聞いていたら、笑った私がバカだったなと。

一之輔)ははは(笑)「なんだ昔の話か」ってやつですね。

黒木)それで最後にオチがついて、「意地比べ」なるほど、と思って。それで記事を読んだら、「だからこそ挑戦する」という。そういう精神でいらっしゃるのですか?

一之輔)そうですね、あと好みの落語のネタのタイプが、あまり登場人物が出てこなくて、極々少数で、会話の妙とか、間とか、そういうのを味わう落語の方が好きなんですよね。

黒木)好みのネタが。

一之輔)大勢出てくる「カチッ」とした人情話より、落語らしい落語の方が好きなのですよ。落語が好きな人は前のめりで聴いてくれるけど、イマジネーションが湧かないと入り込めない。どうもそこで壁が1つできてしまう落語が多いので、こういう落語の方がやりがいはあるかなと、いろいろ試行錯誤しながらやってます。

黒木)お話を聴きながらニタニタしておりましたけれども。

一之輔)ニタニタされました?

黒木)師匠を捕まえて失礼ですけれども、情景が浮かぶんですよね。

一之輔)そう言ってもらえると最高ですね、こちらとしては。

春風亭一之輔「落語家は真打ちがスタート。そこから長いマラソンレースを走る」

春風亭一之輔

黒木)二ツ目になられたのも早かったでしょう。

一之輔)一般的ですかね、27歳のときになりました。二ツ目は。

黒木)それから2012年の、異例の21人抜きの抜擢で真打ちという。

一之輔)我々の世界では抜擢というのはあまりないのですが、時折あってですね。「抜擢されると嬉しいでしょう」と言われるのですが、「この野郎、抜擢だぁ? 冗談じゃねぇよ」と思われていないかなと、そういう心配はありましたね。

黒木)冗談じゃないと。

一之輔)でも、いまはそういう時代じゃないですね。真打ちになってからがスタート。そこから先、定年も引退もない商売ですから。真打ちになってからの長いマラソンレースを、ちょっと早くスタート切らせてもらえるというような感じですからね。

黒木)コロナ禍ではYouTubeでやっていらっしゃいましたけれど、この10月に「落語・一之輔~三昼夜ファイナル~」という独演会があるのですね。10月28日~30日の「三昼夜ファイナル」とありますが、ファイナルなのですか?

一之輔)3日間連続というのは、今年で一区切りにしようかなということで。

黒木)来年からはまた違う形でやられるということですか?

一之輔)そういうことです。

黒木)これもまた楽しみですけど、ファイナルもまた楽しみですね。

一之輔)夜は特に全夜、「3日間ネタおろし、一席」という。初演ですね。それを毎年自分に課してやっています。

黒木)230~240のなかから選ばれるというのですね。

一之輔)新たにまた覚えた違うネタですね。

黒木)新たに!

一之輔)初演です。

春風亭一之輔「落語家は真打ちがスタート。そこから長いマラソンレースを走る」

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/  落語家

■1978年・千葉県生まれ。
■小学校時代の部活動・落語クラブで「弥次郎」を演じる。
■日本大学芸術学部放送学科入学し、すぐに落語研究会に所属。
■大学卒業後、春風亭一朝に入門。春風亭一朝に師事。
前座名は「朝佐久」。2004年、「一之輔」として二つ目昇進。
■NHK新人演芸大賞落語部門大賞、文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞受賞など、
数々の賞を受賞し、2012年、異例の21人抜きの抜擢で真打昇進。
■2012年、2013年に2年連続して国立演芸場花形演芸大賞の大賞を受賞。
■年間900席もの高座をこなしながら、ラジオ・テレビなど多方面に活躍。
■10月28~30日、落語会・独演会『2022落語一之輔~三昼夜ファイナル~』を開催。

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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