ルーキーズの群雄割拠 女子ゴルフ界でいま、何が起きているのか?

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、ルーキーの躍進が目立つ国内女子ゴルフにまつわるエピソードを紹介する。

【女子ゴルフ「CAT Ladies2022」最終日】2週連続の優勝を決め、姉の岩井明愛に出迎えられる岩井千怜=2022年8月21日 神奈川県足柄下郡箱根町の大箱根カントリークラブ 写真提供:産経新聞社

この夏以降、女子ゴルフでは「ルーキー」たちが奮闘を続けています。まずは8月14日、20歳のルーキー・岩井千怜が「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」で初優勝。するとその翌週、「CAT Ladies2022」で2週連続優勝を成し遂げます。

ルーキーがツアー初優勝から2週連続優勝を飾るのは史上3人目の快挙。さらに、20歳47日での2週連続Vは史上最年少、として話題となりました。

岩井千怜の初優勝から約1ヵ月後の9月11日、今度は国内メジャー大会「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」で、19歳のルーキー・川崎春花がツアー初優勝を飾ります。19歳133日での優勝は大会史上最年少。予選会から本戦に出場しての優勝は史上初。10代での国内メジャー制覇は畑岡奈紗に次ぐ2人目の快挙、と異例づくしの優勝でした。

この興奮も冷めやらぬ翌週9月18日、今度は「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で19歳のルーキー・尾関彩美悠が初優勝。ルーキーの19歳が2週連続でツアー初優勝を飾るのは、これまた史上初の快挙となります。

ここ6戦のうち4勝がルーキーという異例の事態。逆に言えば、毎週のように快挙が生まれ、ますます女子ゴルフが盛り上がる下地ができた、とも言えるでしょう。

勝因はもちろん三者三様。ただ、その1つには、若さゆえの勢い、という要素もあるのではないでしょうか。以前、国内ツアー41勝を誇る森口祐子が、初優勝と比べて回数を重ねた優勝には違った難しさがある、とこんな言葉を残しています。

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『プロ生活が長くなるにつれ、“情報過多”になるものなんです。まだ打ってもいないボールの行方に期待したり、あるいは最初からがっかりしたり。プレッシャーとナーバスは似て非なるものです』

~『ALBA.Net』2020年9月14日配信記事 より

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対して、活躍中のルーキーたちの言葉からは、若者らしい怖いもの知らずの勢い、目の前のことにだけ集中する必死さ、を感じることができます。

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『優勝はあまり意識していないですけど、怖がらずに悔いのないゴルフをするだけ』

~『GDOニュース』2022年8月12日配信記事 より(岩井千怜の言葉)

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『とにかく目の前の1打に一生懸命というか必死だった。緊張はあまりなかったです』

~『日刊スポーツ』2022年9月11日配信記事 より(川崎春花の言葉)

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また、ルーキーたちの勝因として、同世代に切磋琢磨できるライバルがいることも注目したい点です。

岩井千怜なら、2021年のプロテストでともに一発合格を果たした双子の姉・明愛の存在が挙げられます。ちょうど1年前、2021年9月のステップ・アップ・ツアーでは、史上初の姉妹2戦連続優勝を飾ったことでも有名です。「いつか姉妹でプレーオフを戦いたい」と夢を語る明愛&千怜の最強双子姉妹は、お互いのことをこう語っています。

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明愛「ずっと一緒にやってきて、プロになれた。もちろん、自分自身も上に行きたいと思うけど、2人で行った方がうれしい。片方が良くて片方が悪いのは自分としても悔しい。2人で上を目指していきたい」

千怜「自分で精いっぱいなので、(前半戦は)一人一人頑張っている結果が、2人で上り詰めている結果になっている。明愛も頑張っているから、私も頑張ろうとなる。お互い力をもらえるような存在です」

~『THE ANSWER』2022年7月28日配信記事 より

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一方、19歳の同学年ルーキーコンビ、川崎春花と尾関彩美悠もいいライバル関係にあります。

2021年11月の最終プロテストでは、12位で合格した川崎に対し、尾関はトップ合格。ところが、川崎が優勝した日本女子プロゴルフ選手権で尾関は29位。自分が同世代の先頭という自負もあったなかでライバルに先を越された悔しさもあり、尾関はその試合後に号泣したと言います。

ただ、泣いて終わらないのが尾関の逞しさ。悔しさを忘れまいと、コンビを組むキャディーに「#次は私」とSNSでメッセージを送信。翌週の優勝で見事に有言実行を果たすと、優勝インタビューで川崎への意識をこう語りました。

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『同級生の子が優勝していたので私も早く優勝したいと思って臨んだ大会だった。ホントにうれしいです』

~『スポニチアネックス』2022年9月19日配信記事 より

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岩井姉妹、そして川崎と尾関らが互いに刺激を受けたように、彼女たちの活躍を受けて、若手世代がさらに奮起をする可能性も大いにあり得ます。

加えて、岩井千怜がツアー初優勝を飾った同じタイミングで、17歳の馬場咲希が全米女子アマで優勝する快挙を達成。その馬場も先週から日本の国内ツアーに参戦。早速、岩井と同じ組で回るなどゴルフファンを沸かせています。

毎週のように快挙が生まれ、ニューヒロインが生まれる女子ゴルフ。いまこそ、新たな「推し」を見つけるチャンスとも言えます。9末には国内メジャー「日本女子オープンゴルフ選手権」も控え、女子ゴルフがますます面白くなりそうです。

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