外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が11月4日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ドイツの今後の動きについて解説した。
G7外相会合とドイツの動きについて
飯田)先進7ヵ国(G7)外相会合がドイツで開幕しました。
宮家)もう会合は10回目だそうですね。ドイツが議長国でしょう。ロシアによるウクライナ侵攻が起きたから当然といえば当然なのだけれども、ドイツ自体が去年(2021年)、新しい首相になりましたよね。メルケルさんが辞めて。
飯田)そうですね。
宮家)メルケルさんは相当、ロシアにのめり込んでいた部分もあるし、中国にものめり込んでいたわけです。そもそも日本にはなかなか来なかった。
飯田)そうでしたね。
宮家)それがショルツさんになって、ショルツさんは就任早々、日本に来られました。私はドイツ専門ではないのですけれど、前任者が偉大だったので、「ショルツさんは大丈夫かな」とちょっと心配していたわけです。
飯田)メルケルさんのあとで。
宮家)それに新政権は3党連立でしょう。「緑の党」まで入っているわけだから、大丈夫かなと思ったのですけれど、やはりプーチンさんのおかげか、今はドイツの左派も含めて非常に現実的な政策を取っています。その延長線上にG7があって、外相会合が今回で10回目。日本とは「2プラス2」までやるということで、いろいろな協定の締結も考えているという報道が出ていました。「ドイツもずいぶん変わったな」という感じがします。
飯田)メルケルさんのときと比べると。
訪中し、習近平氏と会談したショルツ独首相 ~中国との関係を維持するのか
宮家)ではこれでいいのかと言うと、実際はそうではない。実はショルツさんは、いまごろ(11月4日現在)北京にいるわけですよ。
飯田)北京に入ったばかりらしいですね。
宮家)もちろんG7の外相会合は外相会合で大事なのだけれども、こちらの方が大事だと私が思うのは、「習さんと会っていったい何を話すのか」ということです。
飯田)ショルツさんが。
宮家)いままではメルケルさんが相当のめり込んで、中国にドイツの企業もたくさん入り、大儲けしたわけです。しかし、中国側の香港問題や新疆ウイグル自治区の人権問題などもあって、ドイツは対中関係を微妙に修正するのか、それとも、やはり中国との関係をこれまで通り維持するのか。これはショルツ政権にとってかなりの試金石になると思って注目しているのです。
飯田)今回は経済界の代表団を引き連れての訪中だそうです。
宮家)ドイツにとって、中国市場が極めて大きいのはわかるのだけれども、それだけではないでしょうと思います。「日本だって中国市場が大きいのはわかっているけれど」という我々の気持ちが、どこまでショルツさんに通じるかなと思っています。
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