維新、減税日本との選挙協力「白紙」が示す「次の狙い」
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ジャーナリストの鈴木哲夫が11月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。来年2023年春の統一地方選での日本維新の会と「減税日本」の選挙協力白紙について解説した。
日本維新の会と「減税日本」、統一地方選での選挙協力が白紙に
日本維新の会の藤田幹事長は、2023年春の統一地方選で名古屋市の河村たかし市長が率いる「減税日本」との選挙協力が白紙になったことに関し、「約束があったわけでもない。お互い切磋琢磨していこうという形になった」と述べた。
飯田)来年(2023年)春の統一地方選に向けて、いろいろな動きが出ているのですね。
国政選挙より「まず、統一地方選」をターゲットにしている政党もある ~日本維新の会、公明党など
鈴木)「地方選挙であり、国政選挙ではないから」と言っている人が永田町にいるのです。でも、統一地方選というのは、それなりの節目になるわけです。
飯田)統一地方選は。
鈴木)特に「国政選挙よりもまず、統一地方選」をターゲットにしている政党もあるわけです。例えば日本維新の会もそうですし、公明党もそうです。党の勢いが弱くなっているから、とにかく統一地方選挙で地方を固めなければダメだと考えており、必死なのです。約1500人くらいが改選されますから。
飯田)その人たちが、いざ国政選挙になれば、現場で大車輪になって動く。
地方組織を固める必要がある日本維新の会 ~700議席を狙う
鈴木)「地方組織を固める」という表現でもいいかも知れません。日本維新の会は、ブームはあるのだけれど、やはり強いのは関西です。その他の地方や東京もそうですが、それほど維新が盛り上がっているのかと言うと、そうでもない。
飯田)関西以外は。
鈴木)日本維新の会としては、参議院選挙の前から言っていたけれども、自分たちの目標は目の前の参議院選挙ではなく、来年の統一地方選挙なのだと。とにかく地方議員を増やして……いまは600議席と言っていますけれど、実は本音で幹部と話していると、700議席はいきたいくらいの思いがあるのです。
日本維新の会の「統一地方選」の次の目標は総選挙
鈴木)700人くらいの地方議員を得て、地方組織ができる。それをベースに、目標は次の総選挙ですよね。
飯田)衆議院議員選挙。
鈴木)当時、幹部が、参議院選挙は1人でも多く通ればそれでいいと。「この参院選に賭けている」ということは言いませんでした。
飯田)なるほど。
鈴木)参議院選挙の最中にも、来年の統一地方選挙の面談を行っていたくらいです。
飯田)候補者の面談を。
「減税日本」と日本維新の会の選挙協力「白紙」は当然 ~正攻法で議席をすべて取りにいく日本維新の会
鈴木)それくらい統一地方選挙に賭けているのです。その延長で、愛知では長く維新と河村市長の「減税日本」が選挙協力をしてきたけれど、今回はしない。結局、選挙区で誰か1人を狙うのであれば、維新が「うちが引いて減税に譲りましょう」などと、「なあなあ」の選挙協力的なことをやっていたらダメなのです。維新の目的は「地方で1人でも多く」ですから、戦いなのです。
飯田)譲っている場合ではない。
鈴木)下手な選挙協力ではなく、徹底して候補を立て、正攻法で維新の議席を全部取りにいく。だから、「選挙協力できない」のは当たり前です。
日本維新の会からすれば、統一地方選では自民党も敵
飯田)しかも統一地方選、地方の議会選は、いわゆる中選挙区が多いですよね。
鈴木)そうですね。
飯田)1つの選挙区から1人が受かるものではない。
鈴木)みんなが敵なのです。だから維新と「減税」で仲よくしてはいられない。中選挙区だから、お互いに敵として戦うわけです。
飯田)票の獲り合いで「最後の1席がどうなるか」という戦い方をする。
鈴木)例えば愛知では維新と「減税」の関係が白紙になったと言われているけれど、そこには自民党もいれば、立憲も公明もいます。
飯田)たくさんいる。
鈴木)維新にとって見ると、自民党も敵なわけです。地方議会には6期~7期というような大ベテランの方がおられるわけでしょう。そういう方がまた出る。しかし、維新の若い候補からすると、そこが狙い目でもあるわけです。
統一地方選までは自民党に強く向かう日本維新の会 ~旧統一教会問題でも立憲民主党と組み、対決姿勢を示す
鈴木)「またその人ですか? 改革ですか?」というような。自民党に対しても、「1人でも落として自分がいく」というように、自民党と対決することも見られるわけです。中央でも自民党と仲よくしてはいられない。だから自民党に対して強く出ることになります。その姿勢を維新は、来年の統一地方選までは見せるでしょう。
飯田)統一地方選挙まで。
鈴木)だからいま立憲と組んで、旧統一教会について思いきりやっているではないですか。
飯田)やっていますね。
鈴木)いままでの流れからすると、維新は是々非々で「政府・与党の案も検討に値する」などと言いそうなのに、立憲と一緒になって攻めているということは、全部話がつながると思います。
飯田)つながりますね。
鈴木)つまり維新は対決姿勢を取っていく。そのためには中央でも自民党と対決していく。おそらく来年の通常国会でも、予算やいろいろなことで、立憲は自民党と戦いたいわけですから。
飯田)立憲は。
鈴木)ここと組んでやっていく。しかし、嫌な言い方ですが、未来永劫ではないと思います。
日本維新の会と立憲民主党が戦略的にうまくつながっている
鈴木)統一地方選挙から次の総選挙に向けてのシナリオであって、完全に2つが1つになるということはないと思います。ただ、野党が戦略的にはお互いWin-Winでいこうと、立憲と維新がうまくつながっている。「総選挙の選挙棲み分けを考えてもいい」などという動きが出ているのです。
飯田)総選挙での選挙棲み分けも。
鈴木)強(したた)かな現実路線の野党、右と左の維新と立憲が、大きな塊を組むという動きが出てきている感じはします。
各党の世代交代も
飯田)世代交代も影響してきますか? 昔なら、例えば松井さんと橋下徹さんがいたときは、橋下徹さんが安倍さんや菅さんとご飯を食べたなどとニュースになったではないですか。
鈴木)世代交代という意味では、維新にも若くて優秀な人がいますし、世代交代を前面に出してきています。
飯田)吉村さんや藤田幹事長などは若いです。
鈴木)バックにいるのは松井さんだと思いますよ。松井さんならある程度、みんなも相談するでしょうし。一方で、立憲は安住さんでしょう。
飯田)国対委員長。
鈴木)玄人のなかでは「安住さんはすごいね」という話になっています。逆に泉代表からすると、「いやいや俺だよ」という思いはあると思いますが。現実路線を歩いているのは、おそらく松井さんや安住さんだと思います。
飯田)なるほど。
鈴木)息のかかった人たちのなかで話し合いが行われて、国対同士、維新の国対もなかなかです。
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