数量政策学者の高橋洋一が2月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。東京・狛江市などで起きた広域強盗事件について解説した。
広域強盗事件、フィリピンから強制送還の2人が逮捕
各地で相次いだ広域強盗事件で「ルフィ」などと名乗って犯行を指示した疑いのある4人のうち、今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)が2月7日、フィリピンから強制送還された。警視庁は両容疑者を特殊詐欺事件に絡む窃盗容疑で逮捕した。
飯田)特殊詐欺事件について調べたあと、東京都狛江市の強盗殺人事件への関与についても本格的に解明する見通しです。残る2人、渡辺優樹容疑者と小島智信容疑者についても、2月8日にも移送する方針であることをフィリピンのレムリア法相が明らかにしています。
容疑者4人全員が戻らなければ事件の解明は難しい
高橋)まだ「ルフィ」(が誰なのか判明したわけ)ではないでしょう? 4人戻らないと難しいですよね。
飯田)誰が誰なのかということも含めて。
高橋)4人全員一緒にやらないとね。
飯田)だからこそ、日本の警察は「4人一括で返して欲しい」と強く求めていました。
日本とフィリピンの間では「犯罪人引き渡し条約」が結ばれていないが、日比首脳会談を前に容疑者の引き渡しが実現 ~「外交努力」で犯罪人の引き渡しは可能だということ
高橋)日本とフィリピンの間には「犯罪人引き渡し条約」がないのだけれど、フィリピンと日本の首脳会談があるから、援助するということで帰ってきましたよね。
飯田)8日にフィリピンのマルコス大統領が来日する予定です。
死刑制度がある国で「犯罪人引き渡し条約」を結んでいる国が2ヵ国しかないのは日本くらいのもの ~死刑制度がある国は約60ヵ国
高橋)いままで引き渡し条約がなかったのは何だったのだろうと思います。「外交努力でできるのではないか」と。
飯田)犯罪人引き渡し条約について、いまのところ日本が締結しているのはアメリカと韓国の2ヵ国だけです。
高橋)2つしかない理由は、「日本に死刑制度があるからだ」と説明する人がいるのですが、死刑制度のある国は60ヵ国くらいあります。そのなかで(犯罪人引き渡し条約を結んでいる国が)2ヵ国しかないという国は、ほとんどありません。
飯田)そうですか。
高橋)アメリカには死刑制度がありますよね。
飯田)州によって。
高橋)でもアメリカは70ヵ国くらいと引き渡し条約を結んでいます。中国も最近、数を増やして50ヵ国くらいになりました。中国も死刑制度があるのですよ。
ゴーン氏が逃亡したレバノンも死刑制度があるが、ヨーロッパとは引き渡し条約を締結 ~日本とは条約がない
高橋)ゴーン氏が逃亡したレバノンも、レバノンとの引き渡し条約がないから返してもらえない。しかし、レバノンは死刑制度があるのです。あるのだけれど、ヨーロッパの国とは引き渡し条約を結んでいるのですが、日本とは結んでいません。
「経済援助」などを条件に引き渡し条約を結ぶことは可能
高橋)ヨーロッパの国はほとんど死刑制度がないのです。ないけれど、死刑制度がある国と結ぶことは可能です。それは外交努力であり、今回それが明らかになってしまったということです。日本とフィリピンの間で「首脳会談が行われるから戻ってくる」のであれば、外交努力で戻せる可能性があるということです。
飯田)要するに、何らかの条件が揃えば。
高橋)今回は援助するということでしょう。
飯田)対フィリピンに関しては。
高橋)中国も「援助する」と言って、条約を結んでいる節があります。
飯田)なるほど。
マルコス大統領との首脳会談で「犯罪人引き渡し条約を結ぼう」と言うべき
高橋)フィリピンの収容所では、お金次第で何でもできるということです。
飯田)そのような報道もあります。
高橋)つまり、国自体もお金次第で何とかなるのではないかと思ってしまいます。条約くらいであればね。今回の首脳会談で、岸田さんが「引き渡し条約を結ぼう」と言えばいいのですよ。
飯田)首脳会談の席で。
高橋)いきなり「結ぼう」と。
飯田)今回こうして手間取ったから、次はスムーズにできるように。
高橋)一言で終わるでしょう。そのくらいやらないと。
飯田)国を跨いだ広域犯罪になってしまいますからね。
高橋)今後も「フィリピンは居心地がいい」として逃げられるかも知れません。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。