習近平氏がベラルーシ・ルカシェンコ大統領と会談する「もう1つの狙い」

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ジャーナリストの佐々木俊尚が3月1日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。ベラルーシのルカシェンコ大統領による中国訪問について解説した。

習近平氏がベラルーシ・ルカシェンコ大統領と会談する「もう1つの狙い」

中国の習近平国家主席(ロシア・モスクワ)=2022年12月30日 EPA=時事 写真提供:時事通信

ベラルーシの大統領が中国を訪問

ロシアと同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領が2月28日、北京に到着した。3月2日までの日程で中国を公式訪問し、習近平国家主席と会談する。中国がロシアへの軍事支援を検討しているという指摘があるなか、ロシアへの支援をめぐる両首脳の発言が焦点となる。

新行)ベラルーシがロシアを支援するため、ウクライナ戦争に加わるのではないかという報道がありますが。

中国とロシアの連携をアメリカも警戒

佐々木)中国とロシアの連携がどこまで進むのか、アメリカなども警戒しています。

新行)そうですね。

佐々木)中国がロシアへ本格的に兵器を輸出するのではないかとも言われますが、そこは慎重になっているようです。

ロシアに「どこまで肩入れするか」に慎重な中国

佐々木)さまざまな安全保障専門家の発信を見ていると、中国内部でも「そこまでロシアに肩入れして大丈夫なのか」と懸念されているようです。

新行)内部からも。

佐々木)中国は、経済的にはヨーロッパとの結びつきが強かったではないですか。ようやくドイツは中国に対して距離を置くようになりましたが、少し前までは、車の最大の輸出国が中国であるなど、経済的には緊密でした。

グローバルサウスの国々と仲よくして、他の友達はロシアとベラルーシと北朝鮮だけということに中国国内からも疑問の声

佐々木)いわゆる西側諸国、ロシアと対立する先進7ヵ国(G7)を中心とした日、米、欧と完全な対立軸に入ってしまうと、中国は経済的にとても厳しいのです。

新行)そうですね。

佐々木)もちろん中国としては「グローバルサウス」と呼ばれているような、インドや東南アジアや中東、アフリカなどの南半球にある途上国と仲よくしようという戦略があります。しかし、そことだけ仲よくして、他の友達はロシアとベラルーシと北朝鮮だけというのは、「はたしていい方向なのだろうか」という話も中国では出ているのです。

中国はロシアとウクライナの仲介役を狙っているのではないか

佐々木)中国はロシアと仲よくするのだけれど、ここでロシアとウクライナに停戦交渉させて、「その仲介を中国が行う」という形。あるいは、中国がロシアのプーチン大統領を説得し、停戦交渉に進めるような形に持っていきたいのです。そうすれば、中国は決してロシア側の悪者ではなく、バランス外交をしているように見えますから。

新行)中立のような。

佐々木)「中立のように振る舞う」という落としどころを狙っているのではないか、というのが、ここ数週間で出てきている話です。

新行)なるほど。

佐々木)(中国が)巨大な兵器をロシアに提供するようになると、バランス外交が崩れてしまうので、そこまではやらないのではないかという説もあります。内部のことなのでよくわからないのですが。

新行)この報道が出たとき、ベラルーシを使って抜け穴ができるのではないかという話もありましたが。

佐々木)中国とロシア、そして西側とのバランスがどうなるかが、今後の見どころだと思います。

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