サウジ国王のイラン大統領招待で懸念される、アメリカの影響力低下

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ジャーナリストの須田慎一郎が3月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。サウジアラビアのサルマン国王からイランのライシ大統領宛てに届いた書簡について解説した。

サウジ国王のイラン大統領招待で懸念される、アメリカの影響力低下

18日、イラン・テヘランで投票後に演説をするライシ師。イラン内務省は19日、ライシ師が同国の第13期大統領選挙で当選したと発表した。(テヘラン=新華社配信)=2021(令和3)年6月20日 新華社/共同通信イメージズ

サウジアラビア国王がイラン大統領に招待の書簡

飯田)中国の仲介でイランとサウジアラビアの外交関係が正常化したことは、以前も報道されていましたが、サウジアラビアのサルマン国王がイランのライシ大統領に招待の書簡を出したということです。イランとサウジアラビアと言えば、角を突き合わせて大喧嘩していたはずですが。

須田)そもそもイスラム教の宗派対立があった両国ですから、これだけ関係改善に動いたのは異例のことだと思います。ただ、言うまでもなく、サウジアラビアにしてもイランにしても地域大国ではないですか。

アメリカの影響力の低下 ~一方でシェール革命によってサウジアラビアにさほど執着せず

須田)世界全体の安全保障環境には、さほど大きな影響はないけれど、中東という重要地域の大国がこのような形で結びつきを強めていくとなると、特にアメリカの影響力の低下が心配されるところです。

飯田)アメリカの影響力の低下が。

須田)石油という戦略資源をめぐり、アメリカは中東での影響力を低下させていった。要するにアメリカはもう中東を必要としていないような、冷たい対応になった。その背景には、アメリカが石油の純輸出国になったことがあります。

飯田)アメリカが。

須田)アメリカが不快に思っているかどうかと言えば、確かにそうなのでしょう。ただ、それはアメリカ自らが招いた結果なのです。アメリカのサウジアラビアに対する執着は、それほどなかったのではないでしょうか。

カショギ氏殺害によって関係が悪化

須田)むしろ人権問題をめぐって、サウジアラビアのジャーナリストが殺害された辺りから関係が悪化していきました。

飯田)トルコ・イスタンブールにあるサウジアラビア総領事館のなかで、記者のジャマル・カショギ氏を殺害したのではないかと言われています。あの辺りの人権問題を許すことはできない。アメリカが民主党政権であることも関係しますか?

須田)民主党政権だということもあるし、石油の問題もありますよね。

飯田)シェール革命ですね。

須田)シェールガス、シェールオイルは、頁岩(けつがん)に入っていて、従来なら採れなかったものが採れるようになったのです。採りやすいエネルギーという意味で言うと、従来型のオイル・ガスは中東地域などに偏在しています。ところがシェールガスやシェールオイルは、全世界で広範囲に分布しているのです。

飯田)そうなのですね。

須田)技術革新により、エネルギーに関して中東の影響力が落ちている。温室効果ガスを削減する方向性なのもありますが、それだけでなく、オイルが全世界に広がっていることも大きな影響だと思います。

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