数量政策学者の高橋洋一が3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。総務省の内部文書問題について解説した。
行政文書だが、それが正しいかどうかは別問題
飯田)総務省の内部文書問題についてです。野党議員が公開し、安倍政権下で当時の総理補佐官が「放送法の事実上の解釈変更を求めた経緯が記された」と指摘されています。文書は行政文書であることが確認されたと、松本剛明総務大臣が3月7日、会見で述べています。
高橋)行政文書であることは、見ればだいたいわかります。しかし、行政文書が正しいかどうかはまったくの別問題です。
飯田)行政文書が正しいかどうかは別問題。
高橋)私は、連載して書いているものに「行政文書だけれど、ずいぶん不備があるね」と書きました。「ひどい行政文書だな」という印象です。例えば「厳重取扱注意」となっていますが、普通は「取扱厳重注意」ですからね。
高市氏に文書が回っておらず、チェックできない
高橋)配布先を見ると、行政文書かどうかはわかるのです。行政文書は役人が仕事でつくった文書で、個人メモではありません。個人メモというのは、自分だけしか見ない。役所で、仕事でつくったものは、みんなが見ます。行政文書の配布先を見ると、何人かいるでしょう。
飯田)いますね。
高橋)そういうものは行政文書になるのです。しかし、高市早苗さんの大臣レクのところを見ると、普通は大臣レクは大臣室に回すのです。なぜかと言うと、内容に誤りがあってはいけないからです。でも回っていないでしょう。ですから、あれは高市さんがチェックできません。あそこで適当に書かれている可能性が高いのです。
飯田)なるほど。
高橋)私は以前、総務省の大臣室に勤務していました。
飯田)そうですよね。
事務次官と大臣室には回していない
高橋)要するにメモが回ってこないから、言っていないことが書いてある可能性があります。
飯田)言っていないことが書いてある。
高橋)あとは、言ったことが書いていなかったり。
飯田)大臣がレクで「これはどうなの?」と聞いたことなどが。
高橋)そういうことは大臣室に回せばチェックできます。でも、旧郵政のトップである桜井俊さんにしか回していない。事務次官と大臣室には回していないので、適当に書かれていてもわからないのです。ただし、行政文書にはなります。
飯田)行政文書と言われたら、行政文書なのですね。
高橋)定義上は行政文書になりますが、正しいか正しくないかで言うと「あまり信憑性がない」というのが、外形的にすぐわかるような行政文書でした。
総務省のなかの旧郵政省と旧自治省の争いが官邸にまでいった
飯田)行政文書か行政文書ではないかというところですが、「捏造かどうか」ではなく、むしろ中身の問題なのでしょうか? 高市さんも、その旨の答弁でしたね。
高橋)行政文書だろうと。あまり内容のよくないものだということはわかりました。正しいと思って私は読んでいたのですが、よく読んだところ、総務省のなかの、旧郵政省と旧自治省の争いが官邸までいったということです。磯崎補佐官は旧自治省の方です。
飯田)旧自治省。
高橋)山田秘書官は旧郵政省の方ですから、そこでバトルしているだけの話です。総務省内の話が官邸まで及んだ。特に高市さんは総務大臣でしたから、すぐにわかるのです。でも、「そんなところには関わらない」というスタンスだったと思います。ほとんど関心がない感じです。片寄せすると、一方の肩を持ってしまうことになるでしょう。
飯田)そうですね。
高橋)ですから近付かず、適当にやっているという感じです。
飯田)78ページの文書のうち、磯崎さんの名前が出てくるところは多いですが、高市大臣が出てくるのは4ページです。
高橋)なぜこのような文書がいま出たのか、関心があるでしょう? それはおそらく、奈良県知事選と大分県の補選で、それぞれ旧自治が立っているからです。
飯田)なるほど。
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