アメリカの罠にはまりつつある中国 ソ連崩壊を彷彿とさせる動き

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ジャーナリストの須田慎一郎が3月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後の米中対立について解説した。

アメリカの罠にはまりつつある中国 ソ連崩壊を彷彿とさせる動き

インドネシアのバリ島で、握手する中国の習近平国家主席(左)とバイデン米大統領 2022年11月14日 (ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

通信の世界はアメリカをはじめとする「先進的な6G陣営」と「6Gへ移行できるかわからない通信ネットワーク陣営」の2つに分かれていく

飯田)李克強氏の演説のなかで「アメリカの圧力など、海外からの要因で経済の下押しがあった」というくだりもありましたが、それはこの先も続いていく形になりますか?

須田)少なくとも通信の世界においては、デカップリング(切り離し)が間違いなく進んでいくと思います。アメリカをはじめとする「先進的な第6世代(6G)の陣営」と、中国を中心とする遅れた形の「6Gへ移行できるかわからない通信ネットワーク陣営」があり、「あなたの国はどちらを選ぶのですか?」ということを今後問われる可能性があります。通信ネットワークは、その国の今後の経済成長を支える重要なインフラですから、各国、当然のことながらアメリカ陣営の方に入っていくでしょう。

飯田)そうなりますね。

須田)「遅れた側」に入る選択肢はないのではないかと思います。この辺りで差がついていく可能性はあるでしょうね。

「譲るべきは譲る」という外交ができない中国の限界

飯田)中国はいままでの体制であれば、アメリカとパイプを持つ人が窓口になっていましたが、新体制になり、そういう人たちがいるのかどうかがまた問題になりそうですね。

須田)おそらく、まったくないという状態です。元より「戦狼外交」がベースですから、対国内向けに弱気な部分を見せられないところがあります。なかなか関係改善には結びついていかないだろうと思います。

飯田)戦狼外交は非常に強気で相手を罵るような外交スタイルですが、通商交渉はどうしても妥協点を探るような形になります。それが「弱腰だ!」と国内から言われてしまうのですか?

須田)「譲るべきところは譲る」ということができないのが中国外交です。そのため、非常に硬直化した安全保障・外交になってしまう。

かつてのソ連崩壊を彷彿とさせる動きになっている中国 ~経済成長率は5%前後にも関わらず、国防費は7%以上増加

須田)もう1点心配なのが、やはり防衛費の増大です。国防費が非常に大きく増えました。

飯田)7%以上増ということです。

須田)トータル30兆円を超えるような金額に膨れ上がってきました。何が心配かと言うと、日本の安全保障環境が心配という意味ではなく、いよいよアメリカの罠にはまりつつあるなというところです。

飯田)アメリカの罠にはまりつつある。

須田)かつての旧ソ連を彷彿とさせるような動きになってきていると思います。本来、経済成長や民生の安定、国民生活の向上に使うべきお金を、国防予算に割かざるを得ない。そういう状況に追い込まれてしまった節があります。

飯田)確かに経済成長率は5%前後にも関わらず、国防費は7~8%も増加するとなると、重荷になってきますね。

須田)加えて、5%は現実的な数字ですが、実体として5%あるのかどうかが大いに疑問なのです。ある意味で、身の丈を超えた増額になっているのではないか。そうすると、結果的に防衛費の増大が経済や財政の大きな重しになっていく。それがボディーブローのようにジワジワと中国経済を蝕む可能性もあります。

台湾支援のメッセージを出し、中国を罠にはめようとするアメリカ

飯田)かつてレーガン政権のときに、宇宙も含めて「スター・ウォーズ計画」を打ち出し、ソ連も対抗策として投資していった結果、経済がガタガタになって崩壊してしまいました。

須田)ソ連崩壊ですね。しかもスター・ウォーズ計画なるものがあったのか、なかったのかと言うと、ソ連をおびき寄せるための餌だったのではないかとも思えます。そのスター・ウォーズ計画に並んでいるのが台湾ではないかと。

飯田)なるほど。台湾に対して支援していくと、繰り返しメッセージが出されています。やはりアメリカは大戦略で考える国なのですね。

須田)アメリカは基本的にそうです。それがアメリカの怖いところです。

飯田)目先の話云々ではないのですね。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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