外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が3月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自衛隊の新たな統合幕僚長に起用される吉田圭秀氏について解説した。

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自衛隊の新たな統合幕僚長

政府は3月22日の閣議で、自衛隊の新しい統合幕僚長に吉田圭秀陸上幕僚長（60歳）を起用することを決めた。制服組トップの統合幕僚長の交代は4年ぶりで、防衛大学校の出身者以外が起用されるのは初めて。

飯田）86年に入隊し、北部方面総監、陸上総隊司令官などを経て、2021年3月からは陸幕長を務めていらっしゃいました。

宮家）初めての東大卒だと報じられているそうですが、学歴は関係ありません。これまでも立派な人が統幕長を務めるなかで、たまたま今回は彼が東大の工学部卒だったということです。

新たな戦い方をしなければならないときに必要な人物

宮家）いま自衛隊は、いい意味で変わらなければいけない時期です。大きな武器や、大きく速い戦闘機ではなく、現状は小さくて精密誘導が効いてレーダーに映らず、使い捨てができる、例えばドローンなどが出てきましたが、兵器が必要なのです。

飯田）新たな。

宮家）まったく新しい戦い方をしなければいけないときに、彼は必要な人材だと思います。実際に彼は陸上自衛隊を変えつつあったのではないでしょうか。

飯田）陸上自衛隊を。

宮家）陸上自衛隊だけではなく陸海空すべての自衛隊が、インフォメーションやサイバー・宇宙・電磁波領域という新たな領域での脅威にも対応しなければならない。私は総合的に「戦い方改革」と言っていますが、こうした改革をしなければいけないときに、吉田さんはうってつけの人材だと思います。

日本の陸上自衛隊も海の上で戦える部隊にならなければいけない　～脅威は南の島方面

飯田）無人機やAIなども活用しなければなりません。

宮家）いまの状況ではロシアは当分、北海道には来ません。現在の脅威としては、南の島の方が危ないわけですよ。

飯田）そうですね。

宮家）その意味では、日本の陸上自衛隊も相当程度、海の上で戦えるような部隊にならなければいけない。つまり海兵隊になるということです。それをいま進めているわけですが、アメリカの海兵隊は日本の全自衛隊くらいの規模がありますから。

飯田）海兵隊だけで。自分たちで艦艇も持っているし、戦闘機も持っている。

宮家）アメリカの海兵隊は戦車を全廃したのです。こういう変化が起きているときには、新しい統幕長のもとで、その方向に向かって3自衛隊が一元的に動いていくというのが、あるべき姿ではないでしょうか。いい人事だと思います。

統合作戦を行う司令部がなければならない

飯田）統合して対応するのが、アメリカも含めて各国のトレンドになっています。

宮家）しかし、なかなか難しいのです。

飯田）陸海空それぞれに歴史があるし、昔は統合幕僚監部も小さく産んで大きく育てるのだと言われていました。

宮家）やはり今後の課題は、統合作戦を行うための本当の司令部がなければなりません。その方向へ布石を打ってくれると期待しています。