地政学・戦略学者の奥山真司が3月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ICCがロシアのプーチン大統領などに出した逮捕状について解説した。
ICC=国際刑事裁判所がロシア・プーチン大統領に逮捕状 ~子どもの拉致監禁が国際法上の戦争犯罪にあたる
飯田)ここ1ヵ月ほどのニュースを見ていますと、ロシアのプーチン大統領にICC=国際刑事裁判所から逮捕状が出されています。
奥山)まず我々が忘れてはいけないのは、子どもの拉致監禁が国際法上の戦争犯罪にあたるということです。まずそれを覚えておかないといけません。
飯田)子どもを拉致監禁したことが戦争犯罪にあたると。
奥山)その協定に関して、アメリカ自身はICCに加盟していないため、アメリカが逮捕することはできないのです。しかし、ICCに加盟している国々からは「逮捕するべきである」という声が上がっています。
飯田)アメリカが逮捕することはできないけれど。
奥山)ですので、プーチン大統領はICC加盟国への外遊が憚れる状況です。
プーチン大統領のプロパガンダはかつてのナチス・ドイツのプロパガンダとそっくり
奥山)戦争犯罪に関しては国際法などもありますが、先日、ある大学でナチス・ドイツの地政学についての研究を発表する上で、ナチス時代のヒトラーのプロパガンダを調べたのです。
飯田)ヒトラーのプロパガンダについて。
奥山)改めて感じたのは、今回のプーチン大統領がやっていることはナチス・ドイツとそっくりであり、ヒトラーと一緒だということです。
飯田)そうですか。
奥山)「プーチン大統領とヒトラーは違う」と言っている人たちもいますが、ナチス・ドイツで使われていた地政学におけるプロパガンダを見ると、プーチン大統領と同じようなことをやっているのです。
ユダヤ人であり共産主義者 ~グローバルに活躍する都会のエリートが「敵」
奥山)まずナチス・ドイツの地政学が何をやっていたかと言うと、最初に敵をつくるのです。その敵のイメージが興味深いのですが、まずユダヤ人や共産主義者であるということです。
飯田)ナチス・ドイツの敵が。
奥山)ドイツにとっての敵は、都会でグローバルに活躍するエリートなのです。彼らは腐敗しているユダヤ人であり、共産主義者である。グローバルに活躍するエリートは敵だと、人種的に言うのです。
プーチン大統領がウクライナに対して使うレトリックがナチス・ドイツの言い方に似ている
奥山)プーチン大統領の場合、相手はウクライナですが、「文化的に腐敗している奴らだ」と。「民族主義者は人間以下だ」というようなことを言うのですが、使われるレトリックがナチス・ドイツの言い方とそっくりなのです。
飯田)ナチス・ドイツと同じ。
奥山)逆は何かと言うと、(ナチス・ドイツ側は)ユダヤ人ではなく、アーリア人で非共産主義者である。都会のエリートではなく、農村や郊外に住んでいる一般人である。そして我々はクリーンであると。「プーチン大統領も一緒だ」と改めて思いました。
自分たちがどう思われようが関係がない ~一貫性を考慮しないロシアのプロパガンダ
飯田)このようなプロパガンダ的なもので、国内は一致させることができるのかも知れませんが、外に向けてはどうでしょうか?
奥山)不思議なもので、ロシアは外に対してもいろいろとプロパガンダを行うのですが、「自分たちがどう思われようが関係ない」と思っている筋があります。それが日本と違うところです。
飯田)どう思われても構わない。
奥山)どれだけ外に対して嘘を言っても、我々は構わないと。「むしろ君たちが混乱してくれる方がいい」というようなことをロシアのプロパガンダを研究している人たちは言っています。一貫性を考慮しないところが、ロシアのプロパガンダの特徴なのかも知れません。
飯田)ロシアからキャッチした情報に対して、何か反応することそのものが意図に乗ってしまう状態になる。
奥山)ロシアの意図に乗っていることになるかも知れません。
この記事の画像(全1枚)
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。