いよいよプロ野球開幕 おさらいしたい「オープン戦10大ニュース」
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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、プロ野球オープン(OP)戦でブレイクした選手、不調に悩んだ選手など、開幕へ向けた各球団の注目選手にまつわるエピソードを取り上げる。
WBCの興奮と熱狂に気を取られ、気付けばOP戦が終了。プロ野球も開幕目前だ。好きな球団はともかく、球界全体のOP戦事情、仕上がり具合については例年よりも把握できていないという人も多いはず。そこで、今年(2023年)のプロ野球OP戦で印象的な成績・数字を残した選手について10個、厳選しておさらいしたい。
<1>どうする坂本勇人!? 期待はストロングな男!?
あの坂本勇人がOP戦打率.111。しかも、最後に2戦連続安打を放って何とか1割台に到達したという状況は、巨人ファンならずとも気になるところだ。もっとも、原監督の信頼はそれでも揺るがず、開幕スタメンを示唆している。
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『開幕うんぬんは元気であれば(起用する)。2000本以上(安打を)打っている人をなめちゃいけない。やると思いますよ』
~『サンスポ』2023年3月24日配信記事 より(原監督の言葉)
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その一方で、「ポスト坂本」候補として台頭したのがドラフト4位の門脇誠だ。「ストロング門脇」の異名でも人気の22歳は、打率.286で12球団全体でも4位の好成績。OP戦ではWBCで不在だった岡本和真に代わって三塁手での出場が多かった門脇をどう使ってくるのかにも注目したい。
<2>阪神ドラ1森下翔太、鳥谷以来のチーム打撃4冠
巨人の門脇以上にOP戦で好結果を残したルーキーが阪神ドラ1、森下翔太だ。打率.314は12球団全体でも2位で、もちろんチームトップ。さらに本塁打3、打点8、16安打もすべてチーム1位。阪神でOP戦チーム打撃4冠は2010年の鳥谷敬以来だ。
この好成績を受け、阪神の岡田監督も開幕でのスタメン右翼手起用を明言している。
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『タイミングの取り方がうまいからやろな。打つもんはそら使わなしょうがないやんか』
~『日刊スポーツ』2023年3月22日配信記事 より(岡田監督の言葉)
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<3>他にも注目の若手&ルーキーが続々
WBC組がいなかったこともあり、例年以上に若手選手にチャンスのあったOP戦。上述の門脇以外にも、その機会を生かした若手選手はいる。
ヤクルトの高卒3年目・内山壮真は、中村悠平の不在で捕手として出場機会を増やし、打点12でOP戦打点王に。今後は中村との併用での第二捕手として、さらには外野手でも出番を増やしたい、という高津監督の親心が伺える。
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『少しでもチャンスをつくってあげたい。いろいろ経験させて、良い野球選手にさせなきゃいけない』
~『デイリースポーツonline』2023年3月25日配信記事 より(高津監督の言葉)
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また、ヤクルトではドラフト1位の吉村貢司郎がOP戦5試合で2勝0敗、防御率0.53という抜群の安定感。早くも新人王最右翼の声も挙がっている。
同じルーキーではDeNAドラフト3位・林琢真が牧秀悟の不在でチャンスを掴み、打率.296は全体3位。牧復帰に伴い、三塁での出場で今後も出番を増やしそうだ。
<4>中日二遊間に悲喜こもごも
同じルーキーでもこちらは心配な話題。中日のドラフト6位、侍ジャパン強化試合でも活躍した田中幹也が今季絶望かも知れない、というニュースだ。
OP戦では打率3割台。50m走5秒台の瞬足と堅実な守備で中日の遊撃手レギュラー候補となっていた田中。だが、3月19日の楽天戦で出塁した際、牽制球への帰塁で右肩を脱臼。手術の選択肢も含め、立浪監督も悔しさを滲ませている。
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『(手術の)可能性はある。しっかり治すためには、そういう決断もあるかもしれない。いま調べながらやっている。手術したら今年は(復帰は)難しいかもしれない』
~『日刊スポーツ』2023年3月26日配信記事 より(立浪監督の言葉)
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田中だけでなく、ドラフト2位の村松開人も出番を減らすなか、ドラフト7位、26歳の福永裕基は10打点を記録し、開幕セカンドが当確。ケガ人や不調選手が多かった二遊間の争いに「丈夫さ」で信頼を勝ち取った形だ。
<5>ソフトバンク・栗原陵矢、復活へのOP戦首位打者
昨季ブレイクした三森大貴は開幕2軍が決定。キューバ代表でWBCに出場していたモイネロも開幕には間に合わず……と不安材料も少なくないソフトバンク。そんななか、1人、気を吐いたのは打率.415でOP戦首位打者に輝いた栗原陵矢だ。
打率以外でも、本塁打4本、打点11はそれぞれ全体2位と、三冠王に近い活躍ぶり。昨季4月に左膝を手術し、シーズンをほぼ棒に振ってしまった男は、このままペナントレースでも完全復活を証明できるか。
<6>日本ハム・清宮幸太郎、OP戦本塁打王でついに……!?
OP戦で12球団最多の5本塁打を放ったのが清宮幸太郎。最後の5本目は、今季から本拠地となる「エスコンフィールド北海道」での一本。ホームランが出やすいとされる新球場でどこまで本数を伸ばせるか。公式戦での「新球場1号」にも期待がかかる。
ちなみに、この5本目を打ったのは侍ジャパンが世界一を決めた当日。同学年の村上宗隆の決勝戦豪快アーチに刺激を受けていたのは間違いなく、こんなコメントも残している。
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『僕にも3年後チャンスがある、そういう目で見ていました』
『高みを目指す先にはそこがある。一日一日を大切に過ごしていきたい』
~『スポーツ報知』2023年3月22日配信記事 より(清宮幸太郎の言葉)
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<7>先発転向の西武・平良海馬、驚異の防御率0.00
昨季、最優秀中継ぎのタイトルを獲得しながら、今季から先発転向を直訴し、その願いが叶えられた平良。WBC出場を辞退してまで挑む先発への意義込みは本物だ。
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『野球選手として最高峰で戦いたい気持ちはあった。でも今年は人生の転換として先発するので』
~『西日本スポーツ』2023年3月26日配信記事 より(平良海馬の言葉)
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OP戦では4試合に投げて17イニング連続無失点。与四球はわずかに1。防御率はもちろん0.00。このままシーズンでも0は続くか!?
<8>新外国人のブレイク候補は?
新外国人で存在感を示したのは、打では本塁打4発を放った楽天のマイケル・フランコだ。出場7試合で4発という固め打ちで、メジャー通算130発の貫禄を発揮した。同じ4発では中日のアキーノも記録したが、こちらは打率.170が気になるところ。
一方、投手では巨人のタイラー・ビーディがオープン戦2試合に投げ、7イニングで1安打無失点。右肘の張りを訴えた菅野智之に代わって、原監督から開幕投手を明言されている。新外国人が開幕投手を務めるのは巨人では史上初だ。
そして、OP戦の出場はなかったが俄然注目を集めるのは、先日DeNA入団会見を行ったサイ・ヤング賞右腕トレバー・バウアー。早ければ4月中にもデビューがありそうだ。
<9>OP戦1位のオリックス、今年も若手ブレイク候補に注目
OP戦順位では昨季日本一のオリックスが堂々1位に。侍ジャパンに山本由伸、宮城大弥、宇田川優希、山﨑颯一郎と4投手も預け、さらに昨季の4番・吉田正尚がメジャー挑戦で抜けたなかでのこの成績は、リーグ3連覇へ向け、層が厚くなってきた何よりの証拠だ。
そんな若手注目株の1人は、野手では打率.364の好成績を叩き出した大卒2年目の野口智哉。昨季レギュラーだった紅林に競り勝ち、開幕遊撃手候補に。
投手では高卒3年目の山下舜平大が自己最速タイ158キロを記録し、観客も思わずどよめいたほど。OP戦4試合、15イニングを投げて23奪三振と、新たなドクターK誕生の予感も。開幕投手候補にも上がる20歳の豪球の威力は、実際に球を受ける森友哉のコメントが物語っている。
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『バケモンです。今まで(投球を)捕った中で一番速い』
~『デイリースポーツonline』2023年3月5日配信記事 より(森友哉の言葉)
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<10>日本ハム、OP戦2位。最下位は45年ぶり7連敗のカープ
その他の順位で注目と言えば、昨季パ・リーグ最下位だった日本ハムが勝利数では12球団1位の11勝。オリックスとゲーム差なしで2位につける上々の仕上がり具合に、新庄監督の言葉も滑らかだ。
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『テーマに置いていた勝ち癖をつけるという面では選手たちにも伝わったと思うし、選手もそういう気持ちになってくれたと思う。これを崩さず開幕ダッシュっていう、この流れをシーズンでもやっていけたら最高っすね』
~『デイリースポーツonline』2023年3月26日配信記事 より(新庄監督の言葉)
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一方、結果を残せなかったのは、OP戦で球団45年ぶりという7連敗を喫し、最下位に沈んだ広島カープ。それでも、新井貴浩新監督は悲観せずに前を向く。
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『(順位は)気にならない。勝ち負けは関係ないというか、勝てば気分はいいけど、あくまで、シーズンに入るための準備だと思っている』
~『スポニチアネックス』2023年3月26日配信記事 より(新井監督の言葉)
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新井監督が言うようにオープン戦は準備にすぎず、参考程度なのか。それともオリックスや好調選手がこの勢いのまま開幕ダッシュを飾るのか。今季は30日(木)に日本ハム対楽天が、他5カードは31日(金)に幕を開ける。