陸自ヘリ事故 搭乗の「第8師団長」はどんな「ポジション」なのか

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元航空自衛官で評論家の潮匡人氏が4月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。4月6日、沖縄県・宮古島周辺を飛行中に消息を絶った陸上自衛隊のヘリコプターについて解説した。

陸自ヘリ事故 搭乗の「第8師団長」はどんな「ポジション」なのか

着任会見に臨む陸上自衛隊第8師団の坂本雄一師団長=2023年3月31日、熊本市北区 写真提供:時事通信

陸上自衛隊のヘリが消息を絶つ ~第8師団長ら10人が搭乗

4月6日夕方、陸上自衛隊のヘリコプターが沖縄県宮古島の周辺を飛行中にレーダーから航跡が消えた。機体には熊本県に司令部がある第8師団のトップの師団長など、隊員10人が搭乗。防衛省は航空事故と判断し捜索を続けている。

飯田)消息を絶ったのは「UH60JA」というヘリコプターです。陸上自衛隊で大きな事故は久しく聞いていなかったと思うのですが、いかがでしょうか?

潮)自衛隊の陸海空でそれぞれ用途は違いますが、長く使用してきた装備品ですので、機体に根本的な欠陥があったことは考えにくいと思います。

突発的な事態が起きた可能性も考えられる ~救命ボートが未使用のまま発見

飯田)周辺情報が出てきていますが、6日午後3時46分に離陸し、レーダーから消失したのは10分後だそうです。離陸後10分という短い間に、しかも信号も出せずに消失したとなると、いまの情報のなかでどんなことが考えられますか?

潮)情報が限られた段階ですので、予断を許さない状況だと思いますが、あくまで一般論として言えば、航空機の場合は今回のヘリコプターを含めて、注意すべきタイミングは離陸時と着陸時です。その2つが、事故が起きやすい時間帯、あるいは期間になります。

飯田)離陸時と着陸時が。

潮)今回の10分という時間をどう評価するのかということと、もう1つ、報道によると救命用ボートが折りたたまれた状態、つまり使用しようとしなかったことが物証としてあります。そこから推測すると、非常に短い時間に墜落したのではないかとも考えられます。何か突発的な事態が起きた可能性が示唆されます。

突風の発生やバードストライクなどの突発的な事故の可能性

飯田)当時は目視で飛行していたことが報じられています。気象状況についても視界が開けていたと報道されていますが、あの周辺の空域では、突風が吹くようなことが起こるのでしょうか?

潮)有視界飛行だったという報道の通りだろうと思います。そうであれば、基本的には天候、気象条件は比較的良好だったということです。そうでなければ、そもそも有視界飛行という判断にはなりません。

飯田)気象条件がよくなければ。

潮)しかしながら、突風が吹くことまで、事前の気象予測の判断で「ない」とは言い切れませんし、ヘリコプターの場合、風に対して脆弱であることは一般論として言えると思います。また、「バードストライク」という鳥との衝突など、何らかの突発的な事故が起きた可能性はまだ残っていると思います。

視察を含めた飛行 ~ある程度、低い高度だったか

飯田)新たに着任された師団長が視察を含めた飛行を行ったという報道もあります。目視で視察しようとすると、高い高度まで上がるのではなく、低い高度で回っていくような計画だったのでしょうか?

潮)地形が把握できないような高い高度であれば、視察の意味がありませんので、ある程度の高度までは下がったのだろうと思います。しかし、航空法の最低高度の制限がありますので、劇画のように、地面すれすれの飛行をしていたわけではないと思います。

有事の際に現地に派遣される第8師団の師団長 ~重要なポジション

飯田)師団長が乗っていたそうですが、第8師団の師団長となると、どういったことが所掌だったと思われますか?

潮)部隊規模としては、その上に方面総監という高位のポストもありますが、基本的な1つの単位としては最高の職域です。

飯田)師団長というポストは。

潮)加えて第8師団は、機動師団として、一朝有事の際には南西諸島はもちろんのこと、全国どこでも機動性をもって派遣されます。統合機動防衛力という、前の大綱でも謳われた、我が国が目指してきた防衛力の中核を担う存在です。これまでの師団長のなかには、現在の統合幕僚長もいらっしゃるということですので、重要なポジションと言っていいと思います。

飯田)それだけに衝撃も大きいですね。

中国海軍の空母「山東」が太平洋を航行

飯田)また台湾近海、波照間島のさらに南のところに中国が空母「山東」を出してきたということです。蔡英文総統とアメリカのマッカーシー下院議長との会談等に反応して、というようなことも言われますが、どう見たらいいでしょうか?

潮)偶然とは言えないタイミングですので、台湾総統の動きを睨んでいるという解釈は成り立つと思います。いずれにせよ防衛省・自衛隊が発表しているように、中国の空母の動きは明らかに第一列島線から第二列島線、そして太平洋上へ向かっていると受け取ることのできる動きです。今回が初めてのことになりますので、タイミングに関わらず、我が国としては注目すべき事態だと思います。

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