台湾有事はいつ起こるのか 「要注意期間」を元統合幕僚長が指摘

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元統合幕僚長の河野克俊が4月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。東シナ海の一部を船舶航行の禁止区域に設定したという中国海事局の発表について解説した。

台湾有事はいつ起こるのか 「要注意期間」を元統合幕僚長が指摘

台湾で中国軍上陸阻止の実弾演習=2019年5月30日 写真提供:産経新聞社

中国が東シナ海にロケット残骸の落下を警告

中国海事局は4月13日、東シナ海の一部で日本時間16日午前10時~午後4時、船舶の航行禁止区域に設定したことを発表した。ロケットの残骸が落下する可能性があるためとしている。指定区域は台湾の北方で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)に近いため日本にも影響を与える恐れがある。

飯田)台湾の北約160キロにあたる区域で、一部は日本の排他的経済水域(EEZ)にもかかるということです。

河野)少し非常識ですよね。日本のEEZにかかると、その間は飛行禁止区域になってしまいます。飛行禁止区域は空域に限られ、海域は含まれないと言うのですが。

飯田)官房長官の説明ではそうでしたね。

タイミング的に台湾に対する牽制ではないか

河野)でも「危ないぞ」と言われたら、船だって行きませんよね。普段ならできる経済活動が制約されるわけで、「影響がない」とは絶対に言えないはずです。他国のEEZに影響を及ぼすような宇宙活動をすること自体が、やはり少しおかしいです。

飯田)そうですよね。

河野)以前はインド洋に落としたと言っていますよね。インド洋にはたくさん公海部分があるので、そちらに持っていけばいいだけの話です。タイミング的には台湾に対する牽制だと思います。

飯田)最初は飛行禁止区域も3日間に渡って行われるという話でした。

河野)それはさすがに、という流れだと思います。

自分の宇宙活動のために「ココから入ってはいけない」とする権利はない ~「自分たちは台湾の周辺をいつでもコントロールできる」というメッセージ

飯田)飛行禁止区域については、ウクライナでロシアによる侵略が始まった当初も、「西側の禁止区域を設定するべきではないか」という議論がありました。場合によっては直接的に、有事に直結する話にもなるのでしょうか?

河野)飛行禁止区域は、ある種の封鎖なのです。

飯田)空域封鎖のような。

河野)空域封鎖です。それに海域が加われば、完全な封鎖になります。基本的に常識ある国なら、そんなことはしません。自分たちの宇宙活動を行うために、勝手に「ここから入ってはいけません」とする権利は基本的にありません。宇宙活動をする側の方が配慮しなくてはいけないわけです。

飯田)迷惑のないところへ飛ばしたり。

河野)いまの技術であればコントロールできるはずです。ですからタイミング的に、「自分たちは台湾周辺をいつでもコントロールできる」というようなメッセージなのではないでしょうか。

蔡英文総統とマッカーシー下院議長との会談にもつながる

飯田)蔡英文総統が中米訪問の行き帰りにアメリカへ立ち寄り、下院議長と会った際、(中国は)周りで演習を行いました。文脈的にはそれと同じでしょうか?

河野)つながっていると思います。ただし以前、ペロシ下院議長が来たときよりも……。

飯田)2022年8月に。

河野)あのときはミサイルを発射しましたから、そういう意味では今回の方がトーンダウンしているけれど、メッセージとしては一緒だと思います。「そういうことをしたら、やるぞ」というスタンスを示しているのでしょう。

次期総統選に向け、台湾国民を刺激したくない中国

河野)ただ、2024年1月に台湾の総統選挙があります。そこに向けて中国は、自分たちに有利な人に総統になってもらおうと、いろいろな工作をしていると思います。

飯田)それがまず目標だと。

河野)ですから、台湾国民に対して刺激を与えないような配慮もあり、今回は禁止区域というレベルで抑えたのだと思います。

1996年の台湾総統選とは中国の脅威のレベルが違う

飯田)かつて李登輝さんが、初めて台湾で総統選を行いました。

河野)1996年でしょうか。

飯田)当時、中国は軍事演習を行って圧力を掛けましたが、結果として世論は反対の方向へ行きましたよね。

河野)李登輝さんが当選しました。あのときはアメリカが2つの空母打撃群を出したので、中国が恐れおののいてしまったのです。しかし、「いまの中国はそうではないぞ」という状況をあえて見せているのだと思います。当時とは違う中国だということを。

飯田)「俺たちは、いまは空母も持っているし」と。

河野)今回も「山東」という空母を出してきました。

飯田)しかも台湾の西太平洋のところを通過しました。

河野)つまり、「アメリカが助けようとしても俺たちが阻止するぞ」とポジション的に示しているのです。アメリカは東から援助に来ますよね。

飯田)グアムやハワイの方、あるいは横須賀から出すにしてもそうですよね。

河野)そういう意味で、「俺たちが立ち塞がるぞ」ということを示すポジショニングです。

飯田)一部報道によると、アメリカの空母ニミッツの打撃群も、実は近くの海域にいたというような報道もありました。当然、アメリカはそれを意識しながら見ていたわけですね。

河野)そうですね。

飯田)日本の統幕も写真付きで出しているではないですか。やはり、しっかり見ているぞと示している。

河野)お互いに「見ているぞ」と、メッセージを出し合っているということですね。

2024年~2027年までは要注意の期間

飯田)1つひとつが鞘当てというか、駆け引きになるのでしょうか?

河野)日本は台湾海峡問題が今後、非常に厳しい状況になると考えておいた方がいいです。

飯田)何百回と聞かれていると思いますが、台湾有事はいつ起こるのでしょうか?

河野)2024年1月に台湾総統選挙があります。ここに向けて、いろいろな工作をすると思うのです。中国にとって、自分たちがコントロールできる人間が総統になれば、おそらく平和的併合も考えられると思います。しかし、そうならなければ、そこで見切りをつける可能性があります。

飯田)そうでない人が総統になれば。

河野)習近平国家主席の3期目の任期は、2027年に切れます。この間に成果を上げたいと思うはずです。ですから、2024年~2027年までは要注意期間だと思います。

飯田)この3年間。

河野)私の見方ですよ。

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