外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が5月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。5月20日に広島開催となった、クアッド首脳会合について解説した。
クアッド首脳会合、5月20日に広島開催
当初、5月24日にオーストラリアで予定されていた日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4ヵ国の枠組み「クアッド」首脳会合は、G7広島サミットに合わせ、20日に広島で開催となった。
宮家)時間はつくるしかないのだけれど、そもそも米連邦政府が債務不履行になるなど、日本では考えられないことです。逆に、日本の場合は何でもできるのでしょうが、それもまたいかがなものかと思います。財政にある程度の制限はどこかであった方がいいような気はします。
債務上限問題で米大統領のアジア訪問がキャンセルされたのは過去2度
宮家)今回が初めてではありません。アメリカの大統領がアジアに来る際、債務不履行問題でキャンセルされたことは過去に2回あります。
飯田)2回。
宮家)今回が3度目になります。財政ではアメリカ議会が力を持っていて、今回はマッカーシー下院議長が張り切っているので、困ります。
飯田)共和党の。
宮家)オーストラリアも残念に思っているでしょう。オーストラリアでクアッドを行うことには大きな意味がありますから。もっと重要なのは、パプアニューギニアに行く予定だったことです。
飯田)パプアニューギニアに寄る予定でしたね。
宮家)アメリカの大統領は行ったことがないはずです。あそこに大統領が行き、「太平洋を重視しているのだ」と示してもらわなければ困るのです。
飯田)そうですね。
宮家)パプアニューギニアには行けなくなりましたが、クアッドに関しては、厳しい日程のなかから時間をつくったのでしょう。やるしかないと思いますよ。実際にインドも来ているし、オーストラリアも呼んでいるわけですから、その意味では、うまく調整できてよかったという感じです。
パプアニューギニアへ行けなくなったことが中国に間違ったメッセージを送ることになる可能性も
飯田)パプアニューギニアでも、中国が港を使うようなことがありました。すべてキャンセルになってしまうと、メッセージとしてもまずいものになりますよね。
宮家)アメリカの外交関係者たちはそれを懸念していたのです。当初は日本にも行けないのではないかという話がありました。
飯田)ありましたね。
宮家)さすがにそれはなかったですが、オーストラリアとパプアニューギニアに行けなくなったことで、中国に対して間違ったメッセージを送ることになるのではないかと、アメリカでは議論されていました。
飯田)間違ったメッセージになるのではないかと。
宮家)しかし、日本もそうですが、各国とも首脳の外遊となると政局がらみ、政治がらみ、内政がらみになってしまうのです。それはアメリカも日本も変わらないなと思いました。
飯田)こうやって振り回されてしまうのだなと思います。
宮家)それが続かないようにしなくてはいけない。安定した政権の首脳がリーダーシップを取るという流れが逆行しては困るわけです。その意味でも、バイデンさんには頑張って欲しいと思います。
中国に対しては「ロシアのようなことをしたら、酷い目に遭う」というメッセージを
飯田)G7サミットが行われますが、中国に対するメッセージはどんなものが考えられますか?
宮家)「ロシアのようなことをしたら酷い目に遭うぞ」という内容を、丁寧に優しくメッセージとして出していくことだと思います。
飯田)名指しするのでしょうか?
宮家)するのではないでしょうか。
飯田)そのくらいのメッセージを出さなくてはいけない時期にきている。
宮家)今回は名指しして欲しいですね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。