「最悪のシナリオはロシアによるアメリカ開戦宣言だ」 プーチンとワグネル創始者 関係悪化の「行く末」を中村逸郎氏が解説

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ロシア情勢に詳しい筑波大学名誉教授、中村逸郎氏が5月8日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。ロシア・プーチン大統領とワグネル創始者プリゴジン氏の関係悪化を巡り、「最悪のシナリオはロシアによるアメリカ開戦宣言だ」と解説した。

「最悪のシナリオはロシアによるアメリカ開戦宣言だ」 プーチンとワグネル創始者 関係悪化の「行く末」を中村逸郎氏が解説

(左)Wagner Group Yevgeny Prigozhin Leader Threatens Russian Military Leaders May 5, 2023, Bakhmut, Donetsk Oblast, Ukraine: Russian Yevgeny Prigozhin, owner of the Wagner Group of mercenaries broadcasts a tirade against Russian Defense Minister Sergei Shoigu accusing the military command of starving his forces of ammunition and supplies, May 4, 2023 near Bakhmut, Ukraine. Prigozhin, standing in a field of bodies of his soldiers killed in battle threatened to withdraw from the frontlines. (Credit Image: © Pool /Wagner Group/Planet Pix via ZUMA Press Wire)、共同通信イメージズ  (右)Russia Federal Assembly Legislators Council  28.04.2023 Russian President Vladimir Putin delivers a speech during а meeting of the Council of Legislators under the Russian Federal Assembly in St. Petersburg, Russia. Alexei Danichev / Sputnik、共同通信イメージズ

ロシアは9日、第二次世界大戦で旧ソビエトがナチスドイツに勝利したことを祝う戦勝記念日を迎えるが、それを前に大きなニュースが続いている。ロシアの大統領府クレムリンに対するドローン攻撃、「10日に撤退する」と表明したロシアの民間軍事会社ワグネルがウクライナ東部のドネツク州バフムトへの大規模攻撃を開始、さらにウクライナ侵攻を支持する著名な作家の乗る車が爆破され運転手が死亡するという事件も起きた。戦勝記念日を前にしたロシアで今、何が起きているのか-。

中村)ワグネルの創始者プリゴジン氏とロシアのショイグ国防相の対立は非常に厳しくなっています。ワグネルがウクライナ侵攻の最前線から引き揚げると、今回の戦況はもはやウクライナ軍とロシア軍の対立構図ではなく、ロシア国内の権力闘争という構図になります。今後、ロシアの国内情勢を注視していかなければならない状況になってきているといえます。

辛坊)ロシアのプーチン大統領は盤石ではないということですね。

中村)全く駄目です。

辛坊)ということは、ある日突然、プーチン大統領が暗殺されたり、プーチン政権が転覆したりすることもあり得るということですね。

中村)プリゴジン氏の一派がクーデターを仕掛けるというシナリオです。

辛坊)クーデターを仕掛けたプリゴジン氏がロシアのトップに立っても、あまり気持ちよくない体制ですよね。

中村)第2のスターリンですね。プリゴジン氏は、オリガルヒ(新興寡占資本家)に大きな嫉妬心を持っています。なぜかというと、プーチン大統領とプリゴジン氏が知り合ったのは1990年代です。プーチン大統領の周囲には多くの取り巻きがいて、その中の1人であるプリゴジン氏はレストラン経営者としてプーチン大統領においしい物をタダでたくさん食べさせてあげていました。ところが、偉くなって金持ちになったのは別の人たちでした。プーチン大統領と柔道を一緒にしていた人たちが、天然ガスや石油、銀行のオーナーに次々になっていきました。そのように、同じ仲間だったの差がついて、プリゴジン氏はロシア軍のための給食センターのようなものをつくらされました。

辛坊)それで、「プーチンのコック」とも呼ばれるわけですね。

中村)そうです。ですから、プリゴジン氏はプーチン大統領に対し、ものすごい復讐心、怨念を持っていて、いつか必ず仕返しをしてやると狙っています。しかも今、ワグネルはすごく目立つ存在になっています。

そうした中、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクのカフェで今年4月2日、爆発が起き、ウラドレン・タタルスキーを名乗る戦時ジャーナリストが死亡しました。タタルスキー氏は、ワグネルの最前線での活躍を発信していた人物です。事件現場のカフェはプリゴジン氏が経営しており、カフェでは当時、タタルスキー氏と支持者らが交流するイベントが開かれていました。

辛坊)今の話を聞く前は、クレムリンに対するドローン攻撃はワグネルみたいなものを応援しているようなロシアの右派に対し、ウクライナ、あるいはウクライナの親派がやったというのが一般的な見立てでしょうけど、今の話を聞いた後、客観的にものを見ると、プーチン大統領側がやったみたいにみえますね。

中村)4月29日にプリゴジン氏が何て言ったかっていうと、今の状態だとロシア派内部崩壊するって言ったその次の日から、クリミアで石油タンクが爆発するわ、貨物列車が爆発するわ、内部崩壊に向けた動きがみられました。私の見立てからすれば、これは私はプリゴジン氏の一派がやったと思っています。

仮にウクライナがやった場合、アメリカのバイデン政権はロシア本土には手を出すなと。第三次世界大戦にはなりたくないからと。

辛坊)アメリカの流出文書から出てきましたよね。計画したけど、アメリカが止めたので。

中村)ロシア本土はやめとけと言っているのだけれども、今度はワグネルがそれをやり出してきている。

辛坊)ワグネルがそれをやり出して、プーチン大統領が気がついて、国内の反プーチン派を粛清するという方向にいけばまだましなんですけれども、それがきっかけとか口実に使われて、ウクライナがやってるんだって言って、核爆弾かなんか使い始めたらえらいことになりますよね。

中村)もちろん、プーチン大統領はワグネルがやってることは知ってるのだけれども、ワグネルがやっているとは到底言えないわけです。だから、クレムリンへの攻撃があった。そして昨日ですか、プーチン大統領を支える社会活動家が車に乗って爆破事件がありました。これに対し、プーチン大統領が何といっているかというと、ウクライナだけでなくアメリカがやっているって言い出しました。悪いのはアメリカだと言い出したんですよ。

ロシアで軍事パレードがあります。戦勝記念日の5月9日。プーチン大統領が何を発表するか、最悪のシナリオですよ。何を言うか。アメリカへの開戦宣言ですよ。

辛坊)何とかなりませんか。

中村)もうプリゴジン氏に頑張ってもらうしかないような状況です。

番組情報

辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!

月~木曜日 15時30分~17時30分 

番組HP

辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)

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