外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が6月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米下院で可決された債務上限引き上げ法案について解説した。
債務上限引き上げ法案が米下院で可決
飯田)アメリカ連邦議会下院で、債務上限引き上げ法案が可決されました。
宮家)ようやくです。今回、数字を見ると面白いのですが、下院は435議席あるわけですが、そのうち共和党議員が222人で、民主党議員は213人です。
共和党は3分の1が、民主党は4分の1が反対
宮家)そのなかで共和党は71人が反対しています。全体が222人と考えると、3分の1は反対しているわけです。また民主党は213人のうち、46人が反対なので、約4分の1が反対している。「何だ、これは」と思うわけですよ。
飯田)確かにそうですよね。
宮家)日本ではあり得ません。なぜなら日本は党議拘束があるので、みんな不満があっても一応、言うことを聞くわけです。
飯田)日本では。
宮家)しかし、アメリカは基本的に党議拘束が少ない。ないとは言わないけれども少ないのです。
飯田)党議拘束が。
宮家)特に個人の議員の力が強いので、こうなるのは実にアメリカらしいと思います。だからそれ自体は悪いと思わないのですが、トランプ政権時代だと、特に共和党は両方とも過半数を持っていなかったから結束できたのですよ。
最近で最も弱い下院議長 ~マッカーシー下院議長
宮家)もう1点は、マッカーシーさんです。
飯田)下院議長の。
宮家)彼は、議会で最大規模の歳出削減を盛り込んだ法案を通過させたため、「歴史に名を刻んだ」と言っています。
飯田)歴史に名を刻んだと。
宮家)しかし、歴史を言うなら、彼は最近では最も弱い下院議長だと思います。自分の党の議員で多数派を持っていながら、それがまとまらないわけですから。歳出制限の問題は、簡単に言うと超党派で必ずまとまるのです。いくらアメリカが混乱していたとしても、まとまらなかったら自殺行為です。政府が破産してしまうのですからね。
飯田)そうですよね。
宮家)だから最後は収まるのですが、それを収められない。しかも、自分の政党から3分の1も反対が出ています。それは超党派で「アメリカの良識がここに残っている」という見方もありますけれど、やはりマッカーシーさんは弱いのではないかという気がします。
バイデン大統領は大丈夫なのか
宮家)番外編で3つ目を言うと、バイデンさんは大丈夫なのか、ということも気になります。これは大統領選挙を既に念頭に置いた動きなのだと思いますが。
飯田)G7広島サミットでもバイデンさんはやたらと中座しており、債務上限問題で電話を掛けていたのではないかと言われていました。
宮家)そのおかげでバイデンさんはオーストラリア訪問を中止し、「クアッド」の首脳会議が広島で開かれるというおまけまで付きました。
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