ジャーナリストの須田慎一郎が6月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「産業技術総合研究所」の先端技術情報が漏洩した事件について解説した。
中国企業への技術情報の漏洩
国立研究開発法人「産業技術総合研究所」の中国籍の主任研究員が、フッ素化合物に関する技術を中国企業に漏洩していたとして、警視庁公安部は6月15日、不正競争防止法違反の容疑で研究員を逮捕した。
飯田)中国籍の権恒道容疑者は、2018年4月に産総研の営業秘密を中国にメールで送った疑いが持たれています。
政府系の研究開発機関に中国籍のチームリーダーという選択は適格だったのか ~デカップリングが進む日中間での警戒感やリスクを認識するべき
須田)まず驚いたのが、主任研究員だったことです。チームのリーダーだと思いますが、政府系の研究開発機関にチームリーダーとして中国籍の人物がついていたこと自体、適格だったのかどうか。
飯田)政府系の研究開発機関に。
須田)国籍によって可否を判断するのはおかしな話かも知れませんが、あまりにも脇が甘すぎるのではないでしょうか。他の機関や政府系、民間も含めて、もう1度チェックする必要性があると思います。
飯田)そうですね。
須田)日中間は経済安全保障という点で、半導体や通信を中心にデカップリングが進んでいますが、フッ素化合物はそれに関連する戦略物資です。直接的には関係しなくても、製造する過程で必要になってくる物資なので、警戒感やリスクを認識しておくべきだったと思います。
性悪説に立った不正や情報漏洩を防止する仕組みがされていたのかどうか
飯田)身元調査などはできないのか、それともやらないのでしょうか?
須田)その辺りがどんな仕組みになっていたのかも検証する必要があります。話が横に逸れてしまいますが、銀行員を例に挙げると、2年ごとに転勤して不正を防止します。不正融資や使い込み、横領などを防ぐために、不正アクセスへの対策として人事異動を行うのです。
飯田)1つの職場に長くいると、いろいろなつながりのなかで不正が起こるかも知れないのですね。
須田)だから不正が起こらないようにシステムを確立しています。今回の研究機関では、性悪説に立った不正や情報漏洩を防止するような仕組みが形成されていたのか。国立や公営だけでなく、民間も含めて、それらが構築されていたのかどうかを考える必要があります。
一方では、国籍などを問わない状況も
飯田)適格性審査、セキュリティ・クリアランスを法律で設定しなければならないかも知れませんね。
須田)問題は、かつてのLGBT関連法案など、性別や年齢、今回なら国籍なども問わない状況になりつつあるのです。
飯田)なるほど。
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