安倍元総理の死去から1年【野田佳彦元総理・独占インタビュー】「憎たらしいけれど、親近感がある」存在だった

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野田佳彦元内閣総理大臣が7月7日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。安倍元総理の突然の逝去から1年が経過した現在の思いをニッポン放送・畑中秀哉記者が訊いた。

安倍元総理の死去から1年【野田佳彦元総理・独占インタビュー】「憎たらしいけれど、親近感がある」存在だった

衆院選2012 党首討論会に出席した(左から)安倍晋三・自由民主党総裁、野田佳彦・民主党代表=2012年11月30日午後、東京・内幸町の日本プレスセンター 写真提供:産経新聞社

安倍晋三元総理の死去から7月8日で1年 ~立憲民主党・野田佳彦元総理に独占インタビュー

安倍晋三元内閣総理大臣が奈良市で銃撃された事件から7月8日で1年となる。安倍元総理の同期で、2022年には追悼演説も行った立憲民主党・野田佳彦元総理はいま何を思うのか---。

未だに感じる安倍元総理の存在感

野田)もう1年経つのだなと思いますし、追悼演説もさせていただきましたが、とても存在感のある政治家でしたので、何となく、いまも存在感を感じる場面は多いです。「こんなときに安倍さんならどうするだろうか」と考えることが時折あります。

畑中)安倍元総理ならばどうするかと。

野田)一方で、2023年2月に岸田総理と予算委員会で対決させていただきましたが、安倍さんと行ったような火花の散る果たし合いのような議論ではなく、暖簾に腕押しと言うか、張りのない形になってしまいました。やはり安倍さんだからよい論戦ができたのかなと、改めて思いました。

安倍元総理との最大の「火花散る場面」は党首討論だった ~激しいけれど、やりがいのあるやり取り

畑中)演説でも「1対1の果たし合い」とおっしゃっていました。具体的にはどんなことを思い出されますか?

野田)最大の「火花散る場面」は党首討論だったと思います。筋書きのないなかでのやり取りですし、私が攻めても、安倍さんは臨機応変にそれをかわすのです。人生経験のなかで最も激しいけれど、やりがいのあるやり取りだったと思います。あのような論戦は滅多にできないでしょう。

リスクはあっても、政治の原点である街頭演説をやめるわけにはいかない

畑中)野田元総理ご自身は、いまも辻立ちをされていらっしゃいます。安倍元総理の事件もあり、ある意味で街頭演説は危険と隣り合わせの部分もあると思います。事件のあと、有権者の反応は変わりましたか?

野田)私の場合はSPがついていませんから、「気を付けてくださいね」と心配され、声を掛けてくださる方もいらっしゃいます。しかし、政治の原点は街頭に立って熱を伝えることだと思います。

畑中)政治の原点。

野田)それができなくなったら民主主義は後退すると思います。追悼演説でも「怯むな、臆するな」と議員の皆さんに訴えかけたので、自分がやめるわけにはいきません。リスクは間違いなく高まっていますし、岸田さんに対する襲撃もあったので、緊張感を持ちながらもしっかりと続けていきたいと思います。

心安らかに後輩たちの動きを見守って欲しい

畑中)いま天上にいる安倍元総理に声をかけるとしたら、何でしょうか?

野田)無念だっただろうと思うのです。私も今年(2023年)になって近鉄の駅前の現場をお尋ねしましたが、その無念さがひしひしと伝わってきました。そうは言っても、ここは心安らかに後輩たちの動きを見守って欲しいと思います。

党首討論はいま、最も必要な政治改革

畑中)党首討論がまさに魂と魂のぶつかり合いだったわけですけれども、最近はあまりないですよね。

野田)ここ2~3年ないですね。やるべきだと思います。党首討論会は、一致点を見出すための討論だと思うのです。

畑中)一致点を見出すための。

野田)お互いの技術や腕前を見せる場ではありません。与党のトップと野党のトップが意見交換し、平場では見出せない答えを、討論を通じてトップが道筋をつけるところに意味があるのです。もっと実施した方がいいですよね。

畑中)なぜやらないのでしょうか?

野田)わかりません。もっと野党は要求すべきだと思います。野党が多すぎて時間が短いなどと言いますが、何回かに分けてお互い融通し合うなど、やりようはあると思います。1週間に1回くらいあれば相当、面白い議論になるでしょう。ゼロはないですよね。

畑中)本当ですよね。

野田)いま、いちばん必要な政治改革だと思います。予算委員会は、野党側が一方的に聞くだけではないですか。党首討論は与党側からの切り返しもあります。だから面白い議論になるので、やるべきだと思いますね。

憎たらしいけれど、親近感がある

畑中)ご自身にとって、安倍元総理はどういう存在でしたか?

野田)一言では言えませんね。悔しい思いもたくさんしましたから。しかし、一方では同じ政治家として、しかも内閣総理大臣という、伊藤博文以来64人しか経験したことのない重圧と孤独を共に味わったことがあるという意味でも、シンパシーはどこかにあると思います。「憎たらしいけれど、親近感がある」という、複雑な感情です。

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