元航空自衛官で評論家の潮匡人氏が7月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮が発射した2発の弾道ミサイルについて解説した。
北朝鮮が弾道ミサイル2発を発射、EEZ外に落下か
韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が7月24日午後11時55分ごろから25日午前0時ごろにかけ、平壌付近から日本海に向け短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表した。飛行距離はいずれも400キロあまりとしている。朝鮮半島東側の日本海で、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとみられる。
飯田)今回のミサイルは400キロあまり飛翔したということですが、どんなミサイルだと思われますか?
潮)おそらく前回とほぼ同じタイプのものだと思います。
飯田)前回と同じということは、変則軌道も考えられるイスカンデルというミサイル。
潮)いずれにせよ短距離のものだと思います。
夜間や朝方にミサイルを撃つということは軍事的な意図がある ~国内事情の悪化から自暴自棄になっている側面も考えられる
飯田)夜間の発射でしたが、何か意図があるのでしょうか?
潮)軍事的に考えると、北朝鮮が「人工衛星だ」と称するものについては、基本的に夜間には撃ちません。
飯田)人工衛星だと言われるものは。
潮)軍事的に弾道ミサイルを撃つときは夜間や朝方に撃つので、今回もそのような意図があるのだと思います。
飯田)完全に実戦配備して使っていると考えた方がいいですか?
潮)ただ最近、北朝鮮も国内事情がかなり悪化していると伝えられていますので、自暴自棄になっている感じもあるのではないかと思います。
日米韓の高官による電話協議や首脳会談への牽制の意味合いも
ジャーナリスト・有本香)北朝鮮はだいぶ窮乏が伝えられています。一方では、日本・アメリカ・韓国3ヵ国の高官による電話協議、あるいは8月中旬に首脳会談がありますので、それらに対する牽制のような意味合いもあるのでしょうか?
潮)もちろん、そのようなことも考えてはいると思います。ただ、今回のような事態があるたびに、日本メディアはそのように解説するわけです。北朝鮮としては、それは口実のような感じで行っているのではないでしょうか。
有本)例えば軍事的、技術的に考えると、夜間に撃つことで試している側面も強いのでしょうか?
潮)基本的にはそうだと思います。しかし、最近は本当にやけになっている感じもします。
今回のミサイル発射の意図は不明
飯田)その辺りの窮乏が伝えられているなかで、アメリカとのパイプもほとんどなく、振り向かない状況です。日本に寄ってくるタイミングになるのでしょうか?
潮)北朝鮮の拉致問題に関し、日朝首脳会談があるのではないかと一部で報道されていますが、そのようなことを意識しているとは思えない行動です。
飯田)そうですよね。進めようと思えば、このようなことはしない。その辺りが支離滅裂に見えますよね。
北朝鮮のミサイルを迎撃するためにも「イージス・アショア」はなくすべきではなかった
有本)北朝鮮の政治的意図はわかりませんが、イスカンデルというミサイルの精度は上がっていると見るべきでしょうか?
潮)精度もありますが、弾頭には基本的に大量破壊兵器を積むというのが彼らの発想ですので、精度が多少劣っても、当たれば大きな効果が得られると思っているでしょう。
飯田)前回のときも釜山にアメリカ軍の戦略原潜が入っていましたが、今回もアナポリスという潜水艦が入っていたそうです。それと関連はあるのでしょうか?
潮)関連がある可能性はありますが、最早、あまりそのようなことは考えていないと思うようなタイミングではあります。
飯田)我々としては粛々と備える。そのためには、来たものを撃ち落とすだけではない形が必要になるのでしょうか?
潮)もちろん撃ち落とさなくてはならないので、やはり地上配備型の「イージス・アショア」はなくさなかった方がよかったと思います。
有本)本当ですよね。
飯田)多層的に防御していくということですね。もちろんイージス艦も含めて。
有本)イージス艦もそうですね。
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