原発処理水放出 中国が「騒げば騒ぐほど」日本が優位になる「もう1つの現実」

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地政学・戦略学者の奥山真司が8月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。福島第一原発の処理水放出時期について解説した。

原発処理水放出 中国が「騒げば騒ぐほど」日本が優位になる「もう1つの現実」

中国の習近平国家主席(中国・北京)=2023年4月6日 AFP=時事 写真提供:時事通信

福島第一原発の処理水放出時期について、日米韓首脳会談後に決定か

岸田総理大臣は8月7日、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出の時期について「春から夏ごろを見込むと申し上げてきた点に変更はない。内外で丁寧に説明を続けているところだ。スケジュールは何ら決まっていない」と述べた。その一方で政府関係者の話によると、8月18日、アメリカで行われる日米韓首脳会談の際、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との会談などを通じ、処理水の海洋放出について理解を得たい考え。その上で岸田総理大臣の帰国後、8月下旬に関係閣僚会議を開いて具体的な放出時期を決める見通しだ。

飯田)紙面には、夏ごろに変更なしということと、全漁連と面会する意向についても報道されています。

奥山)この問題に関しては、中国の立場が気になります。韓国は政府としては理解を示してくれています。国際原子力機関(IAEA)はトップの方も来られて報告書を発表し、「これで一件落着か」と思いきや、未だに中国は「報告書では計画の正当性を証明していない」などと反発しています。

処理水問題を政治的なカードとして使う中国

奥山)中国との間には、処理水の他にも尖閣諸島の問題もあります。また、我々は忘れていますけれど、多数の日本人が拘束されています。半導体の規制もありますし、大きく見れば米中対立構造があります。

飯田)中国との間には。

奥山)処理水に関してはIAEAの話も含め、日中間で科学的な議論は済んでいるはずなのに、中国側が政治的なカードとして使ってきている現状があるではないですか。

飯田)IAEAの調査団には、中国の研究者も入っていますよね。

世界の67%の成人が中国に好意的ではない ~中国が騒いでいるからこそ、処理水問題を進めるべき

奥山)シンクタンク「ピュー・リサーチ・センター」の新しい調査報告によると、「世界の67%の成人が中国に好意的ではない」という結果が出ています。中国が外交的に批判されるようなことをいろいろとしているので、嫌われているという状況です。

飯田)中国が。

奥山)そんな世界に嫌われている中国が、「IAEAの報告書は正当ではない」と騒いでいる。中国が大騒ぎしているからこそ、我々は「処理水の問題を進めなくてはいけないのではないか」と思うのです。

飯田)逆に。

奥山)中国側が騒いでいることが、むしろ日本にとって「いい外圧」と言うか、「処理水を逆に早く進めてしまおう」という方向に向かうかも知れません。それがいいかどうかは別として。

飯田)中国が騒いでいるからこそ進める。

奥山)中国が外交的に騒げば騒ぐほど、むしろ日本側が放出を進める動機になるのではないかという、皮肉な結果があるのです。

批判が裏目に出ていることをわかっていない中国

飯田)そう考えると、中国がやっていることが逆走的になってしまっている。

奥山)「余計なことをしているのではないか」というところが中国にはあるのです。それが裏目に出ていることを、中国自身がわかっていないところが怖いですね。

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