数量政策学者の高橋洋一が9月13日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。9月19日に金融庁が立ち入り検査を行う予定の損保ジャパンとビッグモーターについて解説した。
損保ジャパンとビッグモーター、19日に金融庁が立ち入り検査へ
飯田)損保ジャパンとビッグモーターへの立ち入り検査を9月19日に行うと、鈴木財務相兼金融担当相が明らかにしました。中古車販売会社と損保会社の自動車保険をめぐる関係が、非常にいびつではないかと言われています。
高橋)ビッグモーターは損保ジャパンと代理店契約をしていましたよね。代理店というのは、損保ジャパンの代わりに業務を行うということですが、いろいろな業務を行っていると、ビッグモーター自身が儲けようと思ってしまったときに、損保ジャパンの利益を害する可能性もあります。
飯田)ビッグモーターが儲けようと思ったら。
高橋)はっきり言うと今回は、ビッグモーターの方が不当な修理をしたという話でしょう?
保険の斡旋を受けていたため、ビッグモーターが不当に儲けていることに目をつぶっていた損保ジャパン
高橋)本当はそれを損保ジャパンが見つけなければいけないのですが、損保ジャパンの方は逆にビッグモーターから保険の斡旋を受けていたから、ビッグモーターが不当に儲けていたことに目をつぶってしまったのではないでしょうか。
飯田)保険の客を回してもらっているから。
高橋)通常、あまり代理店には他の業務をやらせないのですよ。他の業務をやらなければ利益相反は起こり得ないのだけれど、今回は起こってしまった。本当は「代理店がどこまで業務できるか」を見直さなければいけないと思いますが、それができるかどうかはよくわかりません。多分、できないのではないかという気がしますね。
依存関係にあって、修理価格が不当に高い「過大請求」を許していた損保ジャパン
飯田)今回の件は保険を代理店として売るという話と、一方で事故車の連絡を受けた保険会社がどの工場に送るかという割り振りのなかで、ビッグモーターへ優先的に送っていた。
高橋)そういうことです。
飯田)事故車の数に応じて、保険を代理で売る数を割り当てるというようなスキームをつくっていました。保険会社からすると、保険を売ってもらいたいからビッグモーターに事故車をたくさん送り込む。「多少の過大請求があっても目をつぶらないと、保険を売ってもらえなくなってしまう」という依存関係になってしまった。
高橋)どこに割り振るというより、価格が高くなっても見抜けないということです。はっきり言って、保険詐欺のようなものです。
飯田)過大請求ということですよね。
高橋)「損保ジャパン自らがそれを望んでいた」という形になってしまっています。
飯田)本来ならば、保険会社が「この請求はおかしくないですか? こんなにお金は掛からないでしょう?」と言わなければいけない。
高橋)言わなければいけないのですが、許してしまったという話ですよね。
金融庁が保険価格をきちんとチェックしなければならない
高橋)そもそも自動車保険の分野は事故が減っているわけです。死傷者数も減っている。最近では、ブレーキとアクセルの踏み間違い防止の技術も上がって、事故率は下がっています。事故率が下がっているのに、保険料があまり下がっていないところもおかしいですけれどね。そういうところで儲けられるから、不正に目をつぶって売ってしまったところに問題があると思います。
飯田)保険料が下がらない分だけ、ユーザーに負担が掛かっている。
高橋)保険の価格は見にくいから、本当は金融庁が保険価格をきちんとチェックしなければいけないのですが、うまく対応できていなかったのではないでしょうか。
ネットで保険会社を比較して代理店を通さずに申し込む人が増えている
飯田)最近は代理店を通さずに、ネットで直接保険を申し込む人が増えていますね。
高橋)ネットで申し込む方が価格も安く、いろいろと判断できるようになると思います。ネットを活用して代理店を排除していくのが美しい姿ですね。
飯田)正当な競争によって価格が決まってくる。
高橋)ネットで自分で保険会社を比較し、判断すればまともになるのではないでしょうか。
今後、中古車業界、保険業界全体に波及する可能性も ~中古車販売大手の「ネクステージ」で不適切な保険契約が発覚
飯田)金融庁もさすがにこれは目に余ると。
高橋)そもそも金融の代理店は保険ぐらいしかないのです。
飯田)投資商品などは……。
高橋)同業の人にしかないです。
飯田)中古車業界に関しては、他にも大手の「ネクステージ」で不適切な保険契約が発覚し、社長が辞任を発表しました。業界全体に波及してきましたね。
高橋)保険会社にも波及するのではないでしょうか。
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