津田塾大学教授で哲学者の萱野稔人氏が9月20日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の首脳会談について触れ、「国連改革は待ったなしだ。国連制裁中の『格下』北朝鮮に軍事協力を求めるロシアは落ちぶれた」と指摘した。
ニューヨークで開催中の国連総会で、岸田文雄首相は20日午前(日本時間)、一般討論演説に臨み、ロシアによるウクライナ侵攻などについて国際協調の重要性を訴えるとともに、国連改革への行動を呼びかけた。併せて、北朝鮮による拉致問題の解決に向けて、金正恩総書記との首脳会談を実現するため、引き続きハイレベル協議を働きかけていく考えを示した。また、ウクライナのゼレンスキー大統領も同日未明(同)、一般討論演説の中で「戦争犯罪は処罰され、送還された人々は家に戻り、占領者は自分の土地に戻らなければならない。私たちはそれを達成するために団結しなければならない」と述べ、共にロシアに立ち向かうよう各国に訴えた。ロシアによる侵略開始後、ゼレンスキー大統領が国連で対面演説するのは初めて。
萱野)国連改革は喫緊の課題です。特にロシアです。ロシアのプーチン大統領はつい最近、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の訪問を受け、首脳会談を行いました。両国間で軍事協力が約束されたと伝えられていますが、無茶苦茶な話です。
北朝鮮は国連安全保障理事会決議に基づく制裁を受けている身です。一方のロシアは、その決議に賛成した安保理常任理事国の1つです。ロシアが北朝鮮と軍事協力するということは、ロシアが自ら制裁を破ることになります。つまり、国連のルールを自ら壊すのと同じです。
そもそもロシアによるウクライナ侵攻そのものが国際法違反です。そのようなロシアが常任理事国にとどまっていてよいものかと思います。第2次大戦の戦勝国で固めた常任理事国は既にガタがきています。国連改革は待ったなしです。
プーチン大統領は金総書記を丁重にもてなしましたが、その様子を報道で見ていて、ロシアは落ちぶれたと感じました。ロシアは旧ソ連時代から、国際社会を平等な主権国家としての対等な関係として捉えておらず、「格」で考えている国です。その意味では、北朝鮮は格下中の格下です。その格下の北朝鮮に軍事的な助けを求めなければならない状況に置かれたロシアは、本当に落ちぶれたといえます。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)