筑波大学教授で国際政治学者の東野篤子氏が9月21日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。南カフカス地方のアゼルバイジャンが隣国アルメニアとの係争地「ナゴルノカラバフ自治州」で開始した軍事行動で、自治州内の主要部を実効支配するアルメニア人系勢力とアゼルバイジャンが20日、ロシアの仲介で停戦に合意したことを巡り、「停戦を仲介したロシアだが、3度目の紛争が起きたきっかけにもロシアの影がある」と解説した。
アゼルバイジャンが隣国アルメニアとの係争地「ナゴルノカラバフ」で19日に始めた軍事行動で、両国は20日、停戦に合意した。アルメニア側は、ロシアの平和維持部隊の仲介によって完全な武装解除などを受け入れた。
東野)アゼルバイジャンとアルメニアの紛争は今回で3度目です。きっかけにはロシアの影があります。
今回の停戦合意が守られるのか、守られてもナゴルノカラバフに暮らすアルメニア系住民の命が守られるのか、先行きが非常に不安です。また、仲介者としてのロシアに本当に仲介する能力があるのかという問題も残ります。ロシアは今、ウクライナ侵攻でさまざまなエネルギーを割かれているため、仲介者として十分な働きをすることができないのではないかという懸念です。
そもそも、ロシアは今回の軍事行動を食い止めることができませんでした。ですから、仲介者としてロシアには大きな疑問符がつきます。また、停戦の実行可能性や人道危機の阻止についても、悲観的に見ている論者のほうが多いという印象です。
今にして思えば、アゼルバイジャンは軍事行動をロシアが阻止してこないと見越して仕掛けたと考えられます。なぜなら、アルメニアが軍事同盟国であるロシアに対し、平和維持軍としての機能を果たしてもらえるよう何カ月も訴えていたにもかかわらず、アゼルバイジャンに抑制を求める実効的な行動は何もしてこなかったからです。このことは、ロシアの影響力が低下していることを如実に物語っているといえます。
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[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)