物流「2024年問題」 解決のための「2つのポイント」
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元経産省官僚で政策アナリストの石川和男が9月29日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。物流の2024年問題について解説した。
物流の「2024年問題」 ~岸田総理が来週にも緊急対策をまとめる方針
トラックドライバー不足が懸念される物流業界のいわゆる「2024年問題」への対応策として、岸田総理大臣は来週にも「物流革新緊急パッケージ」をまとめる方針を表明した。10月末に取りまとめる総合経済対策に反映させる。
飯田)岸田総理は9月28日、都内の運送会社を訪れ、車座の対話も行いました。
石川)2024年問題とは、簡単に言うと残業規制の強化によって生じる問題のことです。ドライバーの方々の過労により、大きな事故が起きたこともあって、上限規制が設けられる。
飯田)規制が強化される。
石川)規制を強化すること自体はいいと思います。しかし、運転時間が減れば当然、その分だけ物流が減ります。日々行われている物流の量が減ると、例えば、いままでなら1日で届いたものが3日掛かるようなことになる。
飯田)物流が減れば。
石川)これは経済上、本当によくない。よくないというよりも経済が向上しません。それが、我々一般庶民に降りかかってくる2024年問題の影響です。
郵送料や宅配料を上げてドライバーの賃金を上げる ~それによって「物流業界で働きたい」という状況をつくる
石川)解決策を出すのは簡単ではないのですが、ドライバー不足を考えると、1つ目は賃金だと思います。賃金をもっと上げる。
飯田)賃金を上げる。
石川)我々の郵送料や宅配料をほんの少し上げることで、ドライバーの時給が上がる。そうするとドライバーになる方も増えます。アルバイトでもいいのですが、「物流業界に就職したい、働きたい」という状況をつくる。
飯田)稼げるのであればと。
石川)もう1つは国交省の物流担当が、業界の秩序を守るように需給を調整する。過剰になりすぎてしまって、逆にドライバーの単価が下がらないようにする。
宅配料金を上げて利便性を取るか、それとも多少遅れても料金を上げないことを取るのか ~どちらにするかを議論する
石川)我々のような一般ユーザーが、郵便で言うところの郵便切手(の価格)が多少上がったり、コストを払ってでも利便性を確保するのか。
飯田)あるいは宅配便の料金を上げるなど。
石川)それとも「人手が足りないので、宅配料金を上げない代わりに多少遅れてもいいですか? どちらがいいですか?」と、国会で議論する経済対策のテーマとして問いかけてもいいのではないでしょうか。
飯田)いままではコストが掛かっても、それを現場が吸収するなど、ギリギリの心意気で回していたけれど、今後はそうもいかない。
石川)トラック運転手さんの過労によって事故が起きたりしたら、そこの物流は確実になくなってしまうわけです。
飯田)そうですね。
石川)そう考えると、一気に1割~2割上げるのではなく、郵便切手を数%上げたり、あるいは宅配料金を上げる。我々としてはコストが上がるのは嫌だけれど、運んでくれる人の生活や働く人の秩序を守るためには、その部分について「どちらにしますか?」と問いかけてもいいと思います。
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