筑波大学教授で国際政治学者の東野篤子氏が9月21日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。国際刑事裁判所(ICC)が今年3月、ウクライナ侵攻を巡って逮捕状を出したロシアのプーチン大統領が10月、中国を訪問することを表明したことについて、「逮捕状の効果が、じわりと発揮されつつある」と解説した。
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モスクワのクレムリンで、ベラルーシ大統領との共同記者会見に臨むロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ) AFP=時事 写真提供:時事通信
ロシアのプーチン大統領は20日、サンクトペテルブルクで中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談し、10月に中国を訪問する考えを明らかにした。国際刑事裁判所(ICC)が今年3月、ウクライナ侵攻を巡ってプーチン大統領に逮捕状を出してから初めて国外に出ることになる。
東野)ICCが逮捕状を出した当初、「実際に逮捕できるわけがない」「逮捕状なんて意味がない」という指摘がありました。ところが今、逮捕状の効果がじわりと発揮されつつあり、プーチン大統領は確実に手足を縛られる状況になってきています。なぜなら、8月に南アフリカで開催された新興5カ国(BRICS)首脳会議に、プーチン大統領は出席しませんでした。南アフリカはICCに加わっていますから、行けば逮捕される可能性もあります。プーチン大統領としては板ばさみだったでしょう。
プーチン大統領はまた、インドで今月開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に正式招待されていましたが、出席しませんでした。インドはICCに加わっていませんから、行っても逮捕される可能性はありません。それにもかかわらず、行かなかったということは、逮捕される、されないにかかわらず、他国へ行きにくくなっているといえます。
仮に逮捕される可能性のない国へ行ったところで、針のむしろかもしれませんから、多国間会合には出席しにくいです。つまり、10月に訪問する中国のように、ICCにも加わっておらず、ロシアに対してそれなりの協力をしてくれている国でなければ、行きにくいという状況に置かれているといえます。