日本がASEAN外交に動く絶好のタイミングは「いま」
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戦略科学者の中川コージが12月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ハノイで行われたベトナムのチョン書記長と中国・王毅外相の会談について解説した。
中国の王毅外相がベトナム書記長と会談
中国の王毅共産党政治局員兼外相は12月1日、訪問先のベトナム・ハノイでベトナム共産党の最高指導者チョン書記長と会談した。12月中に中国の習近平国家主席がベトナムを訪問するという憶測があり、その地ならしではないかと言われている。
飯田)ベトナムには、バイデン大統領が今年(2023年)9月に訪問しています。日本にはボー・バン・トゥオン国家主席が11月27~30日の日程で訪れており、国会でも演説しました。
ASEAN外交の一環
中川)米中が最も対立する場所が東南アジア諸国連合(ASEAN)なのですが、中東に米欧が気を取られている間に、外交を伸ばしておこうとして、最近の中国はASEANに注目しています。ミャンマーもきな臭い状況で、人民解放軍をどう入れていくかということが言われています。
飯田)雲南省との境目ですよね。
中川)ある意味、中国が影響力を強める絶好のターンなわけです。アメリカが大統領選を控え、内政が混乱しているなかで今回、王毅さんがベトナムを訪問しました。ミャンマーの話もあり、ラオスなども含めて鉄道を敷設するなど、積極的なASEAN外交の一環の話だと思います。
米中ではない勢力として日本を求めるASEAN地域 ~日本が動く絶好のタイミング
飯田)日本でもASEANとの特別首脳会議が12月16~18日に開かれますが、どうアプローチしていけばいいのでしょうか?
中川)米国が大統領選を控えており、ASEANに関する外交が比較的やりにくい状況があるなかで、日本独自に進められるターンでもあり、それ自体が中国への牽制にもなります。日本がASEAN外交を進めることは、同盟国であるアメリカにもプラスになるわけです。そういった意味では、中国が積極的にASEANに出ているフェーズで、なおかつ中東に他の国が気を取られているなか、ASEAN地域で日本が動く絶好のタイミングだと思います。
飯田)首脳会議をうまく使って、いろいろなものを打ち出す必要がありますか?
中川)ここで楔を打っておかないと、中国の影響力は間違いなく上がります。ASEAN地域にとっても、米中ではない勢力として日本に求めるところがある。両方とも求められる関係ですので、日本はここが頑張りどころです。
ベラルーシのルカシェンコ大統領も訪中
飯田)中国・EU首脳会談が開かれるという話もありましたが、ベラルーシの大統領も中国を訪れたのですか?
中川)ルカシェンコ大統領が訪中しました。そもそもベラルーシは中国と関係が深いのです。中国の外交関係で、最も上は北朝鮮と結んでいる相互防衛条約ですが、ベラルーシは2番目の「全天候型戦略的パートナーシップ」という外交関係を結んでいます。ウクライナ情勢の影響もあり、中国がベラルーシに口を出してもロシアから文句を言われない状況ができてきたので、中国としても改めてベラルーシとのインテリジェンス関係を強めたいのでしょう。
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