岸田総理「派閥解消」の次の一手は「6月の会期末解散」である理由

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双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦が1月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自民党による「政治刷新本部」の中間とりまとめについて解説した。

参院予算委員会に臨む岸田文雄首相=2024年1月24日午後、参院第1委員会室(春名中撮影) 写真提供:産経新聞社

参院予算委員会に臨む岸田文雄首相=2024年1月24日午後、参院第1委員会室(春名中撮影) 写真提供:産経新聞社

自由民主党「政治刷新本部」中間とりまとめ、1月25日決定へ

自民党は派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、派閥はカネと人事から完全に決別するなどとした中間とりまとめを1月25日に決定する。

飯田)刷新本部の会合を連日開いており、骨子案のようなものが出ていますが、どうご覧になりますか?

宏池会解散までやられてしまったら、これ以上踏み込めない

吉崎)派閥を解散すればすべて上手くいくのかと言うと、そうではないですし、「派閥を解消しても、また違う形で元に戻るのでしょう?」という思いはあります。しかし一方で、あの岸田さんが大好きな宏池会を自分の手で解散した。あのようなものを見せつけられたら、「落とし前はつけた」という感じになります。まるで不祥事を起こした企業が、「みんなが思っていなかったような、すごいけじめのつけ方」を見せたようで、何となくひるんでいる。いまは「これ以上踏み込めない」という感じなのだと思います。

飯田)「そこまでやって欲しかったわけではない」と、周りが引いてしまうような。

吉崎)「そこではないだろう」と思いながらも、「そこまでやられてしまったら……」というのが現在の雰囲気ではないでしょうか。

飯田)18~19日辺りからガラッと空気が変わりました。それまでは刷新本部を立ち上げて「何となくお茶を濁すのではないか」と思っていましたが、岸田さんが「スパーン」と言いましたものね。

「広島愛」と「宏池会愛」が強い岸田総理が「解散」を決めた

吉崎)やはり“広島県”という濃密さがあります。宮澤一家と岸田一家は親戚なわけではないですか。

飯田)宮澤喜一さんとか。

吉崎)しかも宏池会ができた1957年は、岸田さんが生まれた年です。だから思い入れが他の人と全然違うのですよ。

飯田)“池”という字がついている通り、池田勇人さんを総理にしようという会ですよね。池田元総理は広島出身です。

吉崎)広島のなかでも、宮澤家は福山市ではないですか。池田さんは竹原市と言う備後の国なのです。安芸国はあまりいません。広島市出身の総理大臣は加藤友三郎氏以来なのです。だから地元愛が詰まっているし、宏池会愛が詰まっている人だと思います。

飯田)また、安芸と備後は旧国名で、やはり違うのですね。

吉崎)極端な話、備後の人たちからすると、「なぜ広島市ばかりに注目が集まるのだ」という思いが少しあるらしいです。

飯田)「うちからは総理として池田勇人も出ているし、宮澤喜一も出ているではないか」と。

吉崎)広島市から見ると「とうとう、うちの町から出た」という気持ちなのでしょう。……本当は渋谷区生まれですが。

飯田)岸田総理ご自身はそうですよね。でも、それだけ地元愛や宏池会愛が強い。その愛情は宏池会のなかでも強い方なのですか?

吉崎)比較にならないくらいだと思います。

「しがみついている人」に見えてしまう麻生氏

飯田)自民党内では、「その岸田総理が解散を言い出してしまった」と受け止められているのでしょうか?

吉崎)麻生さんのように「うちは誰もやられていないのだから、うちが解散する理由はない」などと言っても、むなしく響きますよね。

飯田)総理が解散と言っているし、「しがみついている人」のようなイメージになってしまう。しかも、あまり根回しせずに行ったという話ですよね。

吉崎)そのようですね。

安倍派幹部に離党論が浮上 ~世論の批判は根強い

飯田)きょう(25日)の新聞報道を見ると、発端は安倍派だということで、「安倍派の幹部たちにも責任を取らせようではないか」というような話が出ており、焦土作戦のようになってきていますね。

吉崎)個々の議員たちも、「俺の次の選挙のために安倍派幹部5人が腹を切ってくれればいいのに」という思いはあるのではないでしょうか。

飯田)「どいつもこいつもしがみつきやがって、誰も責任を取らないではないか!」と。

吉崎)みんな不起訴ではないですか。「そんなはずはないだろう」という感じもあるでしょうね。

飯田)世論的な受け止め方はそうなっています。

吉崎)悪かったのは会長で、「細田さんも安倍さんも亡くなっているから」という方向になっています。

飯田)亡くなった人に(責任を負わせる)というのは、道義的にも「ん?」となるところもある。そうすると、このような話も出てきますよね。

岸田総理は6月の「国会会期末解散」を諦めてはいない

飯田)でも、岸田さんの総裁任期は9月までではないですか。派閥がなくなり、いままで推してくれていた麻生氏や茂木氏からもよく見られていない状況で、どうするつもりなのでしょうか?

吉崎)私は6月の会期末解散を諦めていないと思います。6月上旬には1人4万円の減税もあるし、4月には訪米もする予定です。

飯田)国賓待遇で訪米予定です。

吉崎)また、4月はもしかするとマイナス金利を解除して、5月に「デフレ完全脱却宣言」をするのではないかと思っています。去年(2023年)通った補正予算は「デフレ完全脱却のための総合経済対策」という名前なのです。つまり、「デフレ完全脱却宣言」をしたいのですよ。

飯田)既にその布石は打ってある。

吉崎)日銀も政府がそう言ってくれると、自分たちの判断が間違っていないことになります。おそらく今年の4~5月にまとまってくるから、解散のきっかけになるのではないでしょうか。

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FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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