数量政策学者の高橋洋一と外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮が発射実験の実施を発表した潜水艦発射巡航ミサイルについて解説した。
金正恩氏が潜水艦発射巡航ミサイル指導と報道
飯田)朝鮮中央通信が昨日(1月29日)、金正恩総書記が潜水艦発射巡航ミサイルの発射実験を指導したと報じました。どうご覧になりますか?
宮家)北朝鮮の軍備増強は、いままでは悲観論と楽観論があり、私はどちらかと言うと楽観論だったのです。あのレベルなら奇襲などかけられる状況ではないですし、核を使った途端に北朝鮮は終わるので、そんなことをするわけがないと思っていた。
飯田)これまでは。
宮家)しかし、いままでのようなレベルから、巡航ミサイルを撃つようになり、潜水艦から撃てるようになるでしょう。しかも、弾頭をどれだけ小さくするかにもよりますが、核を装備する可能性もあります。そうなると本当に奇襲できる能力を持つのです。発射された「プルファサル3-31」の射程は1500キロ程度だそうですが、能力を持てば判断ミスが出るので、今私は少し悲観論に近付いてしまいました。まだ真ん中ですが、昔ほど楽観できない状況だと思います。
抑止のために米軍からのレンタルでもいいので原子力潜水艦を持つべき
飯田)そうなると、日本をどう守るかという話になってきますね。
高橋)(北朝鮮は)一緒に原子力潜水艦の話も進めるということでしたよね。レベルアップしているのは間違いありません。日本では原子力潜水艦となると、能力はあると思うのですが、話ができません。原子力船の話すらできないですよね。
飯田)かつて原子力船「むつ」の件もありましたね。
高橋)ここまできてしまうと、圧倒的な差を見せつけなければ抑止力にはならないのです。前から言っているのですが、日本も原子力潜水艦をつくるまではいかなくても、まずは米軍の退役したもののレンタルでもいいから持つべきです。確実に「何倍返しができる」ということを見せつければ、思いとどまる確率は高くなるわけです。「何倍返しもされてはたまらない」と思うのが普通ですからね。
原潜は核兵器ではないが、国民感情が許さない
飯田)日本独自で持つのか、あるいは同盟で持つのか、その辺りがキーポイントになるのでしょうか?
宮家)原潜は原子炉があるだけで核兵器ではありませんので、本来はどこでも、つくれるのならばつくりたいのだと思います。静かですし、長時間潜っていられるので秘匿性が高いです。日本にもその時代はきていると思うのですが、なかなか国民感情が……。
高橋)最近、『沈黙の艦隊』がついに実写化され映画になり、続編もできますよね。そういう時代なのではないでしょうか。あの作品は30年くらい昔の話ですよね。それがリアルになってきているのではないかと思います。
宮家)沈黙しないと潜水艦ではないですからね。
飯田)そうですよね。場所がわかってしまった時点で終わりですから。
効果的な抑止力を持つために政治が国民の感情をどれだけコントロールできるか ~派閥問題を議論している場合ではない
飯田)「この議論をいつまでしているのだ」というような話にもなりますね。
宮家)もし日本が核のアレルギーを克服できたら、より効果的な抑止力を持てることは間違いないです。国民の感情を、どれだけ政治がコントロールできるのか。いまのようなことを政治がしている暇はないはずですが……。
飯田)いまの国会の状況だと、そのような議論を放り込んでもどうなるか。
宮家)そのような状況ではないでしょうね。
飯田)冷静に議論する状態ではなくなってしまった。しかし、ここまで北朝鮮がきていることを考えると、時間は残されていませんよね。
宮家)残されていません。私が悲観論に傾くのも時間の問題です。
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