作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴と政治ジャーナリストの田﨑史郎が2月1日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米トランプ前大統領について解説した。
米トランプ前大統領、移民対策法案「不要」との考えを示す
アメリカ共和党のトランプ前大統領は1月29日、自身のSNSで、米上院の民主・共和両党間で協議が進められている国境管理の強化をめぐる立法措置を「不要だ」と批判し、阻止する考えを示した。法案はウクライナ関連予算とパッケージで扱われており、アメリカのウクライナ支援に影響を与える可能性がある。
飯田)トランプさんは共和党の候補者指名争いで、既に2連勝しています。
トランプ前大統領の再選に備える各国
青山)私は12日間かけて自主的な海外出張に行き、アメリカを含め5ヵ国を回って帰国しました。まず日本外交は、トランプ政権再来の可能性を考え準備しています。安倍さんがトランプさんとどうやって仲良くなったのか、記録を当たってノウハウを再び日本外交に役立てようとしています。あとは欧州ですね。
飯田)ヨーロッパ。
青山)私が回ったのはオーストリア、スイス、フランス、イギリスなのですが、欧州はどこも備えています。トランプさんがもし大統領選挙に勝って再選すると、ブレーキを掛けてくれる副大統領がいても、前の人とは違います。また憲法上、3選はできないので、トランプさん流に「思い切って動くのではないか」というのがみんなの最大の関心事です。
既にアメリカ政治に重大な影響を及ぼしているトランプ氏
青山)私が欧米の政府当局者に申し上げたのは、「既に一種のトランプ政治は始まっている」ということです。トランプさんは、共和党の予備選で圧勝しています。ヘイリーさんはかろうじてしがみついているけれど、よく耐えているくらいだと思います。デサンティスさんは簡単に諦めてしまい、しかもトランプ支持を展開したでしょう。
飯田)アイオワ州の予備選のあとに。
青山)つまり、既に共和党はトランプさんに支配されているわけです。無党派層に弱いことはわかったので、司法が有罪判決を出せば大統領選の結果はわかりません。ただ、既にトランプさんはアメリカ政治に重大な影響を及ぼしているので、トランプ政権が再来したときの準備ではなく、いま現在、対処しなければならないのです。
飯田)いま対処しなければならない。
青山)ウクライナについても、東部を押さえたまま戦争が終わるとロシアが勝ったことになる。当然、私たちの北方領土問題やロシアの対日政策に大きく影響するので、他人事ではありません。いままでのように「支援します」と言うだけで済むのかどうか……。日本としての支援の在り方を考えなくてはいけない。既にトランプさんの巻き起こした新しい影響は、世界を覆っていると言ってもいいくらいです。
麻生氏がトランプ氏とのパイプづくりを
飯田)岸田政権としては、どう対応していくのでしょうか?
田﨑)岸田さん自身、トランプさんと相性が合うかどうかはわかりませんが、その役割を自民党の麻生太郎副総裁が担おうとしています。先日も渡米して、それなりのパイプをつくろうとしている。つくづく「安倍さんがいらっしゃれば」と思うのですが、それは願っても叶いません。安倍さんから「トランプさんはこういうときにこうしたよ」と、いちばん話を聞いていたのは麻生さんなのです。そのため、麻生さんのパイプづくりを期待します。
安倍元総理のトランプ対策は「見下さない」ことだった
青山)安倍さん本人からも聞きましたが、今回行ってみて、改めてよくわかったのは、安倍さんのトランプ対策は「見下さない」ということに尽きるのです。トランプさん自身もアメリカの関係者に言っていたそうですが、メルケルさんとは仲が悪かったでしょう?
飯田)当時のドイツ首相と。
青山)トランプさんは会った瞬間に「俺を見下している」と思ったそうです。以降、ドイツがいくら頑張ってもダメだった。安倍さんは最初から目の色、表情、立ち振る舞い、話すこと、全部がトランプさんをリスペクトしていたので、その後ずっとうまくいったそうです。「シンゾウ、シンゾウ」と言っていてすごかったですよね。それはアメリカ側の人々も言っていました。だから大事なことは、再び選ばれたら「トランプさんを合衆国の大統領として扱うこと」だと思います。
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