「裏金をつくらざるを得ない」ほど、活動資金が「足りない」日本の政治家の現状と課題

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地政学・戦略学者の奥山真司が2月8日、ニッポン放送「新行市佳のOK! Cozy up!」に出演。政治資金問題について、自身の考えを語った。

記者会見の冒頭、陳謝する自民党の萩生田光一前政調会長=2024年1月22日午後、国会内(春名中撮影) 写真提供:産経新聞社

記者会見の冒頭、陳謝する自民党の萩生田光一前政調会長=2024年1月22日午後、国会内(春名中撮影) 写真提供:産経新聞社

衆議院予算委員会、政治資金問題や能登半島地震への対応をめぐり論戦

国会では2月7日、衆議院予算委員会で新年度予算案の審議が行われ、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる問題や、能登半島地震などへの対応をめぐり論戦が交わされた。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し、岸田総理大臣は党で聞き取り調査を並行して進めているとして、「実態を把握し、政治的責任について適切に対応する」と説明した。

活動資金が足りない日本の政治家 ~議員自らが政策秘書を雇うことも

新行)政治資金パーティー裏金事件に関して、どうご覧になりますか?

奥山)政治資金の話は、クリーンになるのに越したことはありません。今回の件に関しては徹底的に議論し、裏金事件の実態を解明して欲しいです。一方で、私自身も選挙の応援やお手伝いをしたこともありますし、実際に国会議員の事務所にも行って勉強会などで実態を教えていただいた経験がある上で、あえて言わせていただきます。私がこれまで見てきて感じたことは、「日本の政治家はお金が足りないのだな」ということです。

新行)お金が足りない。

奥山)「政治家はお金を貰い過ぎだ」という批判はもっともなのですが、それ以前に、彼らに資金繰りを考えさせなければいけないほど、活動するためのお金が足りないのです。例えば、議員自身が政策秘書を雇う場合もあります。

議員の活動資金が足りず、裏金をつくらざるを得ない状況がある

奥山)法律を立案するときなどは、そのためにスタッフを雇うのが普通です。しかし、アメリカの上院議員の場合、スタッフや公設秘書も含めると平均で40人雇っているのです。

新行)40人も。

奥山)韓国でも補佐官4人と秘書3人、有給インターン2人など、9人ほど雇うのが普通です。日本では2~3人しか雇えないような状況ですから、あまりにも議員に仕事をさせるためのお金がない。議員自身が「自分の身を削る」とは言っていますが、議員自身の運転資金が回らない現状を見ると、裏金せざるを得ない状況があるのが最も残念なところだと思います。議員に本来の活動をさせるための制度をつくり、活動のための資金を与えた方がいいのではないかと思います。

スタッフが雇えず、議員が本来するべき政策立案などの活動ができない

新行)選挙では、どんなところにお金が掛かるのでしょうか?

奥山)アルバイトやウグイス嬢を雇うことも含めて、選挙以前から日常的に足りないと思います。スケジュール管理などもあって議員個人への負担が大きく、他の事務作業もほとんどできないような状況がある。そのため、本来なら議員自身が行うべき政策立案や、法律をつくるための活動ができなくなっているのです。

新行)議員への負担が大きい。

奥山)ほぼ選挙区まわりに行くことだけにエネルギーが費やされています。本来、議員がやるべき仕事ができていない状況は何度も見ました。選挙そのものもお金が掛かりますし、大変なことではあるのですが、2週間くらいの活動期間ではないですか。それ以前に、普段の活動に対する運営資金ができていない。そもそも議員事務所が回っていないのです。

安心して議員活動できる十分な財源を与えるべき

奥山)むしろ議員に活動のためのしっかりとした財源を持たせたら、このようなお金に汚い状況は起こらないのではないかと思います。やや逆説的ではありますが、彼らにしっかりとしたお金を与え、安心して議員活動ができれば、政治資金のための裏金をつくる必要もないのではないかと思います。

新行)各党でいろいろな議論が出ていますが、政治資金については外部の目で監視するなど、透明化させるような話も出ています。

奥山)透明化した上で、豊富な資金を彼らに与えてしっかり運営できるようにした方がいいのではないでしょうか。そちらの方が結果的に得なのではないかと思います。

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飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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