経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。総理在職日数が戦後・単独9位になった岸田総理について解説した。
岸田総理の総理在職日数、田中角栄氏を超え戦後では単独9位に
岸田総理大臣の総理在職日数が2024年3月7日で886日となり、田中角栄元総理と並んだ。戦後の総理では9位タイで、8日に単独9位となる。
飯田)世論調査などを見ると支持率が厳しいなかで、この先どういう戦略を描いていくのか。
クラフト)こういうランキングはみんな好きですし、1つの政権評価の目安にもなるのでしょうけれど、短くても何をやったか、何を成し遂げたのかが重要なので、質の方にも注目したいと思います。
1つの政権が安定して長く続くことは意味がある
クラフト)ただ、安倍政権のときもそうでしたが、1つの政権が長く継続すれば、政策を執行しやすくなります。外交においても、政権が短い期間でいろいろ変わると他国との対応が難しくなるので、岸田政権が長く存続することには意味があるのです。
トランプ政権になるかも知れないアメリカ ~日本は政治論争している場合ではない
クラフト)ただ、長く務めるためだけの延命ではダメです。いまは政治とカネの問題に集中してしまっていますが、もしかするとアメリカは11月にトランプ政権になるかも知れないのです。現政権なのか、次期政権なのかはわかりませんが、日本政府はトランプリスクに対して準備を整える必要があります。政治論争している場合ではないのです。
飯田)こういう状況だから、みんな国会に釘付けになってしまい、なかなか海外出張もしづらいですよね。
クラフト)政策は打てないし、外交もできない。一方では、アメリカの政権が代わろうとしている。今月(3月)はロシアでも大統領選があり、中東問題もあるなかで、果たして国会でパーティー券についての議論をしている場合なのかとは正直思います。
海外から見ても孤立している印象を受ける岸田総理
飯田)政治とカネの問題はもちろん大事ですが、政倫審などで明らかにしつつ、政策の議論をすればいい。岸田政権の戦略としては、経済の回復を1つの柱にしているのでしょうか?
クラフト)とにかく賃金です。これだけインフレが高まっているなかで、賃金が追い付かないと景気は上がりません。政権としては、そこに1点集中したいのでしょう。それはそれで正しいと思います。
飯田)派閥については、岸田派は既に解散しています。そんななかで、次に総裁選を目指すための仲間を集めようとすると、手立てが難しいですよね。
クラフト)海外から見ても、いまの総理は党内で孤立している印象を受けます。安倍派を閣僚から外し、安倍派の支持を失っている。あるいは派閥を解消したことで他派閥からの不満も高まっているなか、果たして「いまの政権は自民党のサポートがあるのかどうか」と、海外投資家から見ても疑問を感じます。それらも払拭して「日本は一体だ」ということであれば、「日本に投資しよう」となるのですが……。政治の混乱が続くのはよくないですね。
「政治とカネ」の問題は第三者委員会に任せ、政策や外交に専念するべき
クラフト)企業が不祥事を起こしたら、第三者委員会に任せますよね。政治も同じで、第三者委員会に真相究明を任せ、政治はその間、政策や外交に専念する方が効率的だと思います。
飯田)確かにそうですね。結局、自分たちで自分たちを縛る法律をつくろうとしている。
クラフト)そうすると真相が究明されません。野党は引き延ばし工作を行い、選挙で勝ちたい。与党は与党で、あやふやにしておきたい思惑が見え見えなので、国民がしらけてしまいます。であれば第三者委員会に全部を預け、国民のための国家運営に専念するべきではないでしょうか。
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