政策アナリストの石川和男が9月29日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。27日に投開票された自民党総裁選に関連し、新政権に期待する政策についてジャーナリストの浜田敬子氏と議論した。
9月27日に投開票が行われた自民党総裁選では、石破茂元幹事長(67)が第28代総裁に選出された。10月1日召集の臨時国会で、岸田文雄首相の後継となる第102代首相に指名される。
番組にゲスト出演したジャーナリストの浜田敬子氏は、新政権に期待する政策のひとつに「年収の壁」撤廃を挙げた。自民党総裁選の政策議論のなかでも、一部候補者らが言及していた。
浜田氏は「(「年収の壁」を)何のために温存しているかというと、自民党の保守を重んじる伝統的家族観、いわゆる家族単位、世帯単位で税収や社会保障制度を考えるときに、男性が主な稼ぎ手で女性はあくまでも生活の足しとしてのパート、つまり家事育児は女性の仕事でそれをやった上で補助的に働くという仕組みに基づいたもの。1985年に男女雇用機会均等法が制定された同じ年にこれ(「年収の壁」)も取り入れている。伝統的家族を残したいという政策だ」と指摘。「女性という貴重な能力の無駄遣いをしている。もっと働きたいと思っていても、手取りだと損してしまうみたいな誤った政策に誘導されて、経済的に自立していない女性が多い。労働力不足が深刻になるなか、女性が働き控えをしている」と述べた。
浜田氏によると、現在「年収の壁」の中で働いている女性は700万人いるとされ、壁を取っ払って例えば週に1日でも長く働くようになれば「GDPに対して6%の押し上げ効果がある」という。「(「年収の壁」を取り払うと)伝統的家族観をぶち壊すと保守の思想で反発されるが、一人一人が豊かになることが国全体を豊かにしますよねという打ち出し方をして、女性たちにもっと働いてもらうことによって労働力不足の解消にもなるし、家族全体の世帯収入も上がって幸せになるよねというストーリーを総裁選でも言えばよかった」と苦言を呈した。
一方、石川は「少子化対策には族議員がいない」と指摘。そもそも若い世代の政治家や女性議員が圧倒的に不足していることを挙げ「政治や行政は、おっちゃんが多い。年配の男性が事実上意思決定をしていて、これだと少子化対策でうまい政策が出てくるはずがない。だから国会議員にも20代、30代の若い男女の“枠“をきちんと作るクオータ制を導入すべき。文部科学省や厚生労働省が中心となって少子化対策が進められているが、この“お役所”には局長やその下に課長とかがいるが、局長や課長、課長補佐のラインすべてを20代から30代にするべき。これは役所の設置法を改正すれば済む話で、金がかからず国会でやろうと思えばできる」と新政権に期待を寄せた。