受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。
全国の受験生を応援する『おうえんしナイト』、今回は千葉県香取市にある香取神宮にやってきました。日本三大神宮と称される香取神宮にてランパンプスが合格祈願してまいります。
――それでは境内に入って権禰宜の曽川昌大さんにお話を聞いてみましょう。
曽川:曽川と申します。よろしくお願いいたします。
小林:ランパンプスと申します。よろしくお願いします。早速ですが、香取神宮さんの御由緒、創建の歴史を教えていただけますか?
曽川:創建は初代の神武天皇18年と言われております。香取神宮は、神社関係の中では古い書物が比較的まとまって残っており、古文書という形で体系化しておりますので、そこに「神武18年」と出てくるので、それを根拠にしております。
小林:神武18年って西暦でいうと?
曽川:2660年以上前になります。
寺内:はい、出ました! 天文学的数字(笑)!
小林:その頃からずっとここにあるんですか?
曽川:「日本書紀」や「古語拾遺(こごしゅうい)」、「延喜式(えんぎしき)」等に、西暦700年代くらいには既にこの香取の地にあったと書かれています。
寺内:できたとかじゃなくて、あったとされている前提が西暦700年なんですね。つまり、最低でも1300年! しかも、云われとしては2600年! すごすぎる!
小林:どうしてこちらにあるんですか?
曽川:香取神宮と、利根川を挟んだ茨城県にある鹿島神宮の両者は、どちらも神武年代の創建と言われております。その当時は東の端っこで田舎でした。しかし、大和朝廷などができた時代の東日本、また北日本の方へ進む途中の地点が、今でいう千葉、茨城だったんです。
寺内:時代が古すぎて壮大な話ですね。
曽川:当時は、東の果てが太平洋側のチーバくんでいう耳と背中の方で、そこから先は常世の国、別世界だったんです。そこで、日本の一番端を守るために鎮まったのが、この香取神宮であり、隣の鹿島神宮さんでした。
寺内:開拓の足掛かりや、防衛線の拠点となっていたんですね。
曽川:軍事、流通の面はもちろん、文化的な面でも中継地点の役割をしていました。香取鹿島の間を利根川が流れていますが、それは、江戸時代に、群馬から江戸の市中、東京湾の方に流れていた利根川を東遷し、氾濫しないように向きを変えたからなんです。それ以前は霞ヶ浦や北浦という茨城の湖と、古い利根川が1つにまとまった内海がありまして、その対岸に南に香取、北に鹿島という形で鎮座していたんです。
小林:だから近場に2個あるんですね。
曽川:なので、船を使った舟運(しゅううん)の足というのが、この地域では、非常に重要になりまして、そういった乗り換え地点や、中継地点になっていました。
寺内:まさに拠点だったんですね。僕は、千葉県成田市出身なので、成田山新勝寺にいつも行っていたんですよ。だから、香取神宮を妙にライバル視していて(笑)。でも、最近、神社検定参級取得して「近くにめちゃくちゃすごいとこあったじゃん!」って思いましたね。
小林:香取神宮、鹿島神宮、そして、伊勢神宮で、三大神宮と言われているのはなぜですか?
曽川:「三大神宮」と何かに書かれているわけではないんです。延喜式の中の巻の九巻、十巻が神名帳(じんみょうちょう)と呼ばれるのですが、それは、日本全国の平安時代の神社、また神様について書かれたものでございまして、2000以上の神社が載っているんです。その中で「神宮」という称号がついているのがこの3つだけなんです。
小林:イメージ的にトップオブトップは伊勢神宮みたいな印象がありますよね。
曽川:お伊勢さんは御祭神が天照大神様であり、日の神様ということで、昔から別格の扱いを受けております。では、なぜ香取鹿島なのかというと、御祭神を見ますと、香取が経津主大神(ふつぬしのおおかみ)又の名を伊波比主命(いはひぬしのみこと)、鹿島神宮様は武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)という神様でございます。
寺内:僕、ふつぬし大好きなんです(笑)!
曽川:「国譲りの神話」が日本書紀・古事記に出てきますが、この国譲りの際に、出雲の大国主神様が日本の原型となる土地を開墾しておりました。その土地を、天照大神様のご子孫に譲っていただくための交渉を成功させるのがこの香取鹿島なんです。ですので、日本建国の礎を作った神様だと言われております。だからこそ伊勢に次いで、神宮の称号を持って古くから奉斎をされているのです。
小林:香取鹿島のおかげで今の日本があるんですね。
寺内:日本を作ったってことは「お前、住んでんのどこ? 日本? はい、じゃあ、お参りしなさい」っていうことですよね(笑)。
小林:祀られている神様の御利益はどういうものですか?
曽川:経津主大神は、その時々のお役目によって名前が変わる神様なんですが、一般には国家鎮守の神様です。中でも特に有名なのは武・戦いの神様としての側面で、その原点と言われております。ですので、ドラマとかの武道場の床の間に「香取大明神」「鹿島大明神」という掛け軸が掛かっていることがあり、ドリフのコントにも出てくるんですよ(笑)。
寺内:志村の後ろに(笑)!
曽川:征夷大将軍の坂上田村麻呂から始まり、色んな方が北へ向かわれましたが、そういった武将は香取鹿島の地に立ち寄られて、そこから進まれたと言われています。ですので、今も源頼朝、足利尊氏、徳川家からの寄進状が残っています。
寺内:寄進状って何ですか?
曽川:寄進というのは、たとえば物を御奉納したりすることです。頼朝公の寄進状を見ると、心願成就のために下福田郷を香取の神様の土地としてご奉納しますとの記載がございます。
小林:酒とか米とかじゃなくて土地!?
曽川:その土地自体が神様のものですので、そこで収穫できるものはすべてが神様のものになるんです。
小林:授業で出てくる有名な歴史上の人物たちが、参拝して、土地まであげてたんだ!
寺内:神様となり得る人たちが崇めていた神様ってことだよね。
小林:それが神宮ですわ! 逆に色が付いてないよね?
寺内:確かに! 「うちの特色は何々でっせ!」じゃなく「何でもおいで」って感じ。
小林:これは来ないともぐりだね(笑)。
寺内:成田市民には申し訳ないけど千葉に来たら香取神宮には来るべきだよ(笑)。
小林:鹿島神宮とセットで参拝する方とかもいらっしゃるんですか?
曽川:近いところにありますので、両方お参りする方はいらっしゃいます。古くは、伊勢神宮が上参宮と言われたのに対して、東北の人たちが、お伊勢参りに行って帰ってきた時に香取鹿島も回りましょうという下参宮もありました。
寺内:やっぱりセットで!
曽川:このあたりは船で移動していて、こちらからは、お米とかお醤油とか食べ物を江戸に運び、こちらには観光の方が来て、東国三社回ったり、銚子に磯遊びに行ったりしていたんです。
寺内:千葉を育ててくれた場所じゃん! 此処こそが千葉だよ!
小林:国宝があると伺ったんですけど、どんなものなんですか?
曽川:国宝に指定される鏡がございまして、名を「海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう)」と申します。今、宝物館がリニューアル中ですので、本物はお見せできませんが、印刷したものをご用意いたしました。ほぼ実寸大で直径約30cmあります。
小林:なにこれ? 蛙みたいのが描いてある!
寺内:これが海獣ってこと?
曽川:海獣といわれる所以はセイウチとかオットセイではなく、海外の獣ということなんです。日本に“いない”獣なので海獣と呼んでいます。
小林:海と関係ないんだ!
曽川:葡萄は「葡萄唐草」と呼ばれる地紋が使われているからです。シルクロードの方の織物等で獅子と葡萄の図があるんですが、そういった文化のもので、この鏡自体も、中国で唐の時代に作られた鏡でございまして、それを日本に持ち込んだものになります。
寺内:だから大陸の文化が色濃く出てるんだ!
曽川:真ん中にいる「蛙みたい」とおっしゃったものは「狻猊(さんげい)」と呼ばれまして、獅子、ライオンのような空想上の動物になります。一番外の部分にはそれぞれ対になっている動物、例えば鹿や孔雀がいます。あとは、ここ見ていただけますか?
寺内:ペガサス?
曽川:そうなんです。日本にいない動物ですよ、と言ったのは、こういうことなんです。
寺内:なるほど! かっこいいなあ。
曽川:鳥居や狛犬なども、元を正すと、大陸文化由来です。奈良、平安時代にこういうものが伝えられてきました。ただ、実はなぜこの国宝が香取神宮に所蔵されているかというのは分かっていないんですよ。さらに、これと同じ形、同じ大きさの鏡が奈良の正倉院にあります。
寺内:対になっているってことですか?
曽川:対なのか、同じ型から作られたものなのか、 片方をベースにして型を作って、もう一度作ったものなのかわかりませんが、兄弟鏡と言われています。
小林:ジャンプ漫画だったら、めちゃ強いアイテムだよね(笑)。
寺内:ネーミングも中学生男子がよだれ垂らすくらいかっこいいからね(笑)。
小林:香取神宮で合格祈願するにあたっての心構えや参拝方法などはありますか?
曽川:受験勉強で、忙しい時期だとは思いますが、寺社仏閣にお参り来る時は、落ち着いた気持ちで神様に向かい合うことが必要だと思います。ここは森の中にありますので、根詰めた時とかに、リフレッシュに外に出ていただいて、お参りに来て、ご祈祷でなくても、自分の今の気持ちを神様と向き合って鑑みていただければ。
小林:お守りはあるんですか?
曽川:合格祈願、学業成就のお守りもございますが、やはり香取の神様は、勝ちを導いてくれる神様、あるいは香取の語源にもなっている「舵取りの神様」とも言われておりまして、古くから物事を良い方向に導いてくれる神様と言われていますので、迷った時ですとか、こういうふうに進みたいといった時には心願成就のお守りなどもおすすめです。源頼朝も心願成就と言っておりました。
寺内:土地をあげないとだめですか(笑)。
曽川:大丈夫です(笑)。
寺内:よかった(笑)。それにしても「源頼朝の心願成就」ってすごい触れ込みだよね。
小林:すごいよ。歴史上のスーパーヒーローに憧れて、その方が祀られた神社に行きます、みたいなことあるけど、その神様たちが行ってるんだから!
寺内:階段を登っていくだけでも気分転換になりますよね。
小林:……しんどかった。
寺内:え? なんかこう神域に入ったというか……。
小林:……階段しんどい。
寺内:こら(笑)。
曽川:いえいえ、私もしんどいです(笑)。ただ、砂利の坂道を、一歩一歩ザクザク踏みしめていくのもリフレッシュに良いかもしれません。
小林:香取神宮の見どころはどこですか?
曽川:お社ですね。拝殿もですが、本殿は国の重要文化財に指定されています。
小林:なってないわけないよね。もう驚かないよ(笑)。
曽川:こちらはそんなに古くないんですけどね。
寺内:何年前のものなんですか?
曽川:300年前になります。
小林:古いよ! 生きてるやついねんだから!
寺内:300年前で新しいとか言っちゃうんだもん。
小林:神職さんはよく言うんだよ(笑)。
曽川:徳川五代将軍綱吉公の時代ですね。
小林:綱吉かい(笑)!
曽川:御殿の横には三本杉という、御神木とは別の木なんですけど、頼朝公のご先祖様が、奥州に進まれる際に立ち寄って願掛けをした木もございます。
寺内:源家はずっと関わりがあるんですね。
曽川:源家も徳川家も、幕府など武をもって信仰する方々は、香取の神様の力強さを、いつの時代も崇敬されてきたのでしょう。
寺内:漫画の終盤に出てくる超ラスボスの触れ込みみたいだよね(笑)。「あいつらは、若い時はうちによく来たわ」って。
小林:ここで修行してみんなパワーアップするんだ(笑)。ご神木はどちらにあるんですか?
曽川:ご神木はこの御殿の右手側すぐのところにあります。杉の木で大体樹齢千年くらいとなります。正確な樹齢は切ってみないとわからないですが(笑)。
小林:罰当たりな(笑)!
寺内:神職ジョーク(笑)。
曽川:太さが目の高さで7.5mあります。
寺内:7.5m ! 3人で手届くかどうかですね!
曽川:落合直文という歌人は「4人で足りない」と歌っています。
小林:「海獣葡萄鏡フリスビー」は売ってないんですか?
曽川:ないですね(笑)。
寺内:男子にめちゃくちゃ売れそうなのに(笑)。
小林:最後に、今、頑張っている受験生にメッセージをお願いします。
曽川:これから風邪も流行りだすシーズンでございますから、体調一番で考えていただいて、根が詰まったら神社、お寺等をお参りしていただいて、自分の実力と神様のお力を存分にいただいて、本番に臨んでいただければと思います。
小林:本日はありがとうございました。
曽川:こちらこそありがとうございました。
――神話の時代からあると言われる香取神宮を参拝しましたが、いかがでしたか?
小林:いや、さすが三大神宮でしたね。
寺内:日本のオリジンを感じましたよ。
小林:「何の神様ですか?」「 日本を作った神様です」。そんなこと言われたらもうお手上げだよね(笑)。
寺内:源頼朝も坂上田村麻呂坂も来てるってよく考えるとすごすぎるよね。
小林:「香取神宮はね、まだここから北が日本じゃなかった時代にハブポイントとして作った神社だってのがすごいよねって話なんだよね」。
寺内:ミスター都市伝説(笑)! でも香取の名前入れれば説得力が増すね(笑)。
寺内:それと、やっぱ国宝「海獣葡萄鏡」!
小林:かっこいい! 海獣葡萄鏡のタトゥー彫りてぇ!
寺内:記事では「海獣葡萄鏡」のフォントは筆文字になっていて欲しいくらい!
小林:その辺の地縛霊が恐れおののくよね。海獣葡萄鏡は(笑)。
寺内:心が休まるような自然に溢れているし、歴史に触れて気が引き締まるし、受験生じゃない人でも一度は足を運ぶべきだよ。
小林:いや、勉強になりました。
寺内:是非、皆さま、歴史の重みを体感しに香取神宮さんに行きましょう!
香取神宮は日本の歴史の礎のような神社で、受験生以外の方でも日本人であれば誰でも所縁があると言える神社でした。お近くに立ち寄られた際は、是非、ご参拝してみてください。
さて、次回の『おうえんしナイト』は千葉県にある気象大学校に伺います。ご期待ください!
<香取神宮>
住所:〒287-0017 千葉県香取市香取1697-1
HP:https://katori-jingu.or.jp/
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