おととい、六大学野球秋季リーグで、明治大学が優勝を決めました。
先日のドラフト会議で中日から1位指名を受けた柳裕也(やなぎゆうや)投手を有する明治大学が春に続いて連覇ということになります。
あとは今週末の早慶戦を残すのみとなりました。(現在、慶應2位早稲田3位)
六大学野球の楽しみといえば、各大学の応援合戦です。
大学ごとの“野球スタイル”は違いがわかりにくいですが、大学の“応援スタイル”はかなり違って面白いと、「応援団のファン」というのが付いています。
こうした応援団ファンに注目したのか、東京六大学野球の観客席が去年から変わっています。
それまでは、各大学の応援団のいる席は、学生証を提示しなければ買えなかった「学生券」だったのですが、去年からは「応援席券」に代わりました。
これによって、「現役学生と一緒に応援したい」という愛校心あふれるOBや、応援合戦に参加したいという一般ファンが、応援団の身近で応援が出来るようになったのです。
「応援席では必ず応援部の指示に従い、応援合戦に加わること」というルールがありますが、
身を任せればこんなに面白いものはない、と言います。
値段は500円。プロ野球に比べれば格段に安い。大学の応援団は、プロ野球や高校野球とは全く
違う独自の応援スタイルで、野球のルールを知らなくても「応援そのもの」を楽しめる!
初対面同士でも肩を組んで校歌を熱唱し、ワンプレイごとに一喜一憂するなど、応援から生まれる例えようのない一体感は、六大学野球ならでは。
まず神宮に行きまして、応援席のチケット買い求めます。
中に入ると、各大学が出している選手名鑑の小冊子がもらえます。選手たちの顔写真やスペシャルインタビューなど、工夫を凝らした誌面があり・・・
後半には、応援歌の歌詞や、“こういうチャンスにはこの応援を!”といった細かい応援方法も載っています。
応援席に入ってみると、応援団の人達が、まず我々を座席へと誘導して、
「本日は応援を宜しくお願い致します」と、声をかけてくれます。
そもそも「応援団」とは…学生服を着たリーダー部、華やかなチアガール、そして大迫力の吹奏楽団、この3者を合わせて『応援団』と言っています。
これに観客が加わって三位一体ならぬ四位一体となるわけです。
学ランの学生とチアガールはずっと動き回り走り回り、応援席に入ってきた一般客達を鼓舞しながら、元気良く声を出し続けていきます。
試合前には、まずは対戦校とのエール交換というものがあります。
エール交換では、たとえば明治側はまず「フレフレ明治」と自分達にエールを送り、
次に「フレフレ法政」と相手校にもエールを送る。
相手校が応援してくれているときは、応援団も我々一般客も、全員起立し、声を発しないでそれを聞いているのがルール。
味方の攻撃中はもちろん応援歌をガンガン演奏して盛り上げますが、守備の間も、投手や野手達に声援を送り続ける。要するに、一度応援席に入ったら試合中ずっと声援を送り続けることになりますから、一試合が終わる頃には、校歌や応援歌をすっかり覚えてしまう事になります。
また味方に得点が入ると、隣が知っている人だろうと知らない人だろうと、観客同士隣の人達と肩を組み、校歌や応援歌を歌うので、その楽しさがクセになってしまいます。
こうして一生懸命に応援しつつも、常に相手校への敬意も忘れない、というのが、プロ野球の応援とは一味違う良さだといえます。応援団やチアガールのパフォーマンスも、応援席の雰囲気をより高めてくれます。
ちなみに、チアガールはひと時も笑顔を絶やさないのがスゴイ。しかも、どの大学もチアガールたちは抜群にかわいくて、踊りのキレや揃い方が素晴らしい。思わず写真に撮りたくなるかもしれませんが、応援席では写真撮影は禁止です。
六大学応援名物といえば「学生注目」。
演台に出て、学ランの学生が一席ぶって、スタンドが「そうだ!」と呼応するアレ。
ウィットの効いたことが言えるか、センスが試されます。
さて、各大学それぞれの応援の特徴はというと・・・
わが母校明治は、特に熱い。歌いっぱなし、手拍子しっぱなしで、応援席のOBたちも手慣れた様子。紫のタオルを振るのが特徴です。
早稲田は、入場の際にハリセンを手渡してくれますから、これをバシバシ叩いて音を出す仕組み。
校歌「都の西北」や応援歌「紺碧の空」を生で聴くと、OBならずともグッとアドレナリンが出てきます。今や高校野球で当たり前になった「コンバットマーチ」ももとをただせば早稲田から。
そのオリジナルももちろん聴けます。
そして、学ランのリーダー部、チアガール、吹奏楽の一体感が一段とあか抜けているのが、さすがの慶應。応援席に行くとメガホンをくれますから、これで応援に加わります。
次にどの曲を演奏するのか、歌詞はどうなっているのか、どこで声を出すのか、パネルを上に掲げ、至れり尽くせりなのが慶應の応援団です。慶応には「若き血」という応援歌がありますし、慶應がオリジナルの「ダッシュケイオウ」の演奏も何度も何度も!
こうした大学応援団のファンというのは、OBはもちろんのこと、
OBならずとも大勢いまして、今月行われた「歌舞伎町まつり」では、毎年恒例なんですが、六大学応援団の応援合戦が行われて、大いに盛り上がりました。
さらに、地方自治体も応援団の合宿を積極的に誘致しています。
なんといっても、応援団は人数がかなり多い。
リーダー部に入部する学生は少なくなっているとは言いますが、応援団には人気のチアリーダーや吹奏楽部も含まれます。たとえば早稲田なら200人ほどの大所帯になります。
その早稲田。
これまで新潟や秋田、富山などで誘致されて、合宿をしています。リーダー部は必ず10キロのランニング。チアガールは体育館で別の練習。そして、大体最終日に成果発表会が行われて、地域の人たちに演武お披露目があります。これを楽しみにしている地方の人たちがとても多い。
市長さんはもちろん、近隣住民、他の町から遠征して見に来る人たちもいます。
さらには、エールを目の当たりにした中高生たちには大いに刺激になります。
大学野球だけではありません。
その大学のスポーツ部、たとえば合気道やラクロスといったどんなスポーツの応援にも駆けつけるのが、大学の応援団。意外に目にする機会は多いのです。新たなファンを着実に獲得している感があるというのが大学の応援団ではないでしょうか。
10月25日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より