王道。アイドルに於いての王道とは。
楽曲で言うのであれば、王道な音色、王道な歌詞、王道なコード進行。全ての要素が王道ではつまらない。そのどれか取捨選択をして、自分のスパイスをどう入れ込むかがポイントで、聴く側はそこに引っかかる。ふと耳に留まる。しかし、極限まで隠されたスパイスは殆どの人に気づかれることなく、結果的に大多数に言われる「王道ですね」
【連載:工藤大輝と偶像音楽論。】第4回「ふわふわ / 恋のレッスン」
原宿駅は竹下口にある原宿駅前ステージと呼ばれる場所にて定期公演を行なっている原宿駅前パーティーズに所属。所属グループが4組いるなかで最多メンバーを擁し、名前からのイメージそのままの雰囲気を纏い最年長の赤坂星南さんですら20歳と言う、エネルギー溢れる若手グループです。
ちなみにステージの雰囲気は先輩グループのフェアリーズさんのシングル曲「Mr.Platonic」で踊っている場所なのでそちらでチェックできます。余談ですがこの曲は個人的にとても好きなので是非聴いてみて下さい。
さて、ふわふわさんの話に戻りますが、先日11月9日に発売した3rdシングル「晴天HOLIDAY」や「Oh! Ma-Tsu-Ri!」もとても良い感じなんですが、ここでは敢えて2ndシングル「恋のレッスン」をご紹介させていただきます。この楽曲は僕にとってかなりの衝撃作でした。
イントロから極太のホーン系シンセと重みタップリのビート群。フィルターかかったトーキング。あれ?この子達ってHIPHOPグループだっけ…と思ってたら急に入ってくる「まだレッスン中ちょっと待って」のキュートなユニゾン。そして始まるキャッチーなメロの応酬。開始20秒で既にガッチリと掴まれました。
こういう時に僕は作曲家と編曲家をチェックするのが条件反射になっているんですが、調べて驚きそして笑ってしまいました。S1CKONEさん。僕の所属するグループ、改めましてDa-iCEと言いますが、僕達Da-iCEのシングル曲の中でも個人的に好きな「BILLION DREAMS」そして「HELLO」の作曲家さんです。よくよく聴けばなんとなく匂いを感じることができます。楽曲の内訳でオケの部分をトラックと言い、それを制作する方をトラックメイカーと呼びます。歌詞及びメロディがキャッチーだろうとトラックがコアであれば完成品にもコアな部分は確実に残ります。それが後々にスパイスとして機能します。
今回の「恋のレッスン」はそう言った意味で王道とコアの良いとこ取りを成し遂げているなと感じました。口癖のように言っていますが、大切なのはバランスなのです。
ミュージックビデオの色合いも振付も本当に王道で、ふんわり軽いのに鳴ってるビートが重い。ピョンピョン跳ねてサイリウムを振っているのにシンセが重い。絶妙なバランス感で僕はしばらくヘビーローテーションすることになるのです。
グループとしてはこれからが本当に楽しみで、同じ原宿駅前パーティーズ所属の他グループ、原宿乙女さん、原駅ステージAさん、ピンクダイヤモンドさんの動向も目が離せません。嬉しい悲鳴です。
ということで今回はこの辺で終了とさせていただきます。
また次回も楽しみにしていただけると幸いです。したっけ。
文:工藤大輝
※ニッポン放送アナウンサー吉田尚記をアイコンとしたカルチャー情報サイト「yoopy」より転載