名選手、名監督にはあらずとは、よくプロ野球界で言われることです。では、サッカーの場合はどうでしょうか。クラブワールドカップで来日しているレアル・マドリードを率いる、ジダン監督は1990年代から2000年前半にかけて世界最高の選手といわれていた。それどころか、デービッド・ベッカムなどは、「史上最高」と賛辞をおくっています。
そのジダン監督が、ベニテス前監督の解任で、下部組織の指導者から、トップチームの指揮官へ抜てきされたのは、昨年1月。世界中で話題となったものの、各国の関係者が、おそらくダメ、と予想していたのです。ところが、チームは見事に生まれ変わった。そして、ヨーロッパチャンピオンズ・リーグを制したことで一躍、名将に。
そして、今年は4月から不敗神話を築いている。昨日のクラブワールドカップ準決勝でも2-0で勝ち、連続無敗記録を36に伸ばしています。特に印象に残ったのは、先制点をあげたベンゼマが、ゴールを決めるとスタンドのファンではなく、ベンチのジダン監督を目指して走ってきたことです。ハグをされ祝福を受けましたが、「それだけだったよ」。さびしそうでした。
レアルでプレーする選手が、あこがれだったのは、現役時代のジダン監督。それこそ、そばにいるだけでいいと思えるカリスマなのです。銀河系軍団と呼ばれるように、ピッチへ立つ選手はいずれもスタープレーヤー。昨日は体調不良でベンチスタートのスペイン代表で主将の、セルヒオラモスがこんな舞台裏を明かしています。
ベニテス前監督時代は、意見の対立で、いつもロッカルームで罵声が飛び交っていたことから、ジダン監督が就任してから、
「どういうことをやるのか興味津々。だから、黙ってみていただけだった。そうしたら、現役時代も魔法使いだったけど、監督になっても魔法をかけられたようだ」
と話していました。
元々、個々の能力は群を抜いている。よけいなことは言わずに、選手と同じ目線を持ち、偉そうにしないことで、よりカリスマ性が増したとか。
絶大な力をもつ、ペレス会長との関係も良好です。
「ジダンをユベントスから獲得するため、銀行へ頭を下げてローンを組んだ」。
01年夏、レアルへ迎えた際、当時世界最高額となった、約88億円もの移籍金を積んでいます。ということで、気心は知れている。
「監督のオファーを出し、5分で話がついた」
と鼻高々で語っています。
18日、決勝ではクラブ世界一を目指して、開催国代表の鹿島と対戦。世界一になるためには、やはりクリスティアーノ・ロナウドのプラスアルファを引き出すことでしょう。
「今日は最後にクリスティアーノが(ゴールを)決めて、とてもハッピーだ」
と、よいしょの仕方も絶妙です。
鹿島がどんな戦いをするのか、大いに楽しみです。
12月16日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」