川崎フロンターレはクラブ創立20周年で、初のタイトルへ王手。
今年、プロ14年目の中村憲剛(けんご)にとって、2016年は年男というだけでなく、より忘れられない1年になったようです。
きのうの天皇杯準決勝。大宮アルディージャ相手に延長突入と思った瞬間、後半40分の決勝点は中村の右コーナーキックが起点になりました。「小さいころから、いつかやりたいと思っていた。」という、来年元旦の決勝進出。「だいぶ、遠回りしました。」とも付け加えています。
決勝の相手はチャンピオンシップで敗れた鹿島アントラーズ。
以前から、中村はこんな話をしている。「勝たないと、風間さんのサッカーが完成しない。今のJリーグのチームは、守備がカタいチームが優勝している。そこを何とか、打破したい。」
チームを率いる風間監督は、すでに今季限りで退団が決まっています。来季から、名古屋の指揮を執ることが濃厚で、決勝がラストゲーム。
前監督の後任を決定する際、中村はフロントへこんなリクエストを伝えています。「風間さんか、山口さんにしてください。」
そして2012年に就任した風間監督は、超攻撃的チームをつくることが悲願でした。まっ先に協力を求めたのは、中村。
「100パーセントの力を出してほしい。それにあわせたチームをつくるから」とスタートしたそうです。なるほど、中村が中心となって、来る日も来る日もパスを出す練習が繰り返された。「あの頃は、なんで? と思っていたけど、今は懐かしい。」
今シーズンJリーグの年間表彰式では中村がMVP、ベストイレブンに初選出。
36歳の受賞は最年長記録に。
スピーチでは、過去の受賞者同様、チームスタッフ、サポーターへの感謝を言葉にした後「洗濯物を洗ってくれる、おばちゃん。掃除をしてくれている、おばちゃん。グラウンドを管理してくれている、おじさん。皆さんのおかげです。」このあたりが、いかにも、らしいところです。
ベテランとはいえ、「もっとうまくなる」と、常に風間監督から激励を受けたことで、「あの言葉がなければ、今はありません。」
2017年元旦は、堅守でJリーグを下剋上制覇して、クラブワールドカップでも、レアル・マドリードを相手に、あわやのシーンをつくった鹿島です。
もう、優勝だけを狙う。このところ、先を見越して、攻撃練習に加え、守備練習も行うようになった川崎。初のタイトル制覇を目指し、勝敗のキーマンは、中村です。
12月30日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」