2016年は様々なアニメ映画が大ヒットし、多くの人が映画館でアニメを楽しむようになりました。
そんな中、公開後わずか2週間で100万人を突破。近未来のゲームを舞台にした『劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール(以下劇場版 SAO)』が大きな話題となっています。
今もまだ記録を伸ばし続ける、本作品の魅力とは? 物語と共に、伊藤 智彦監督のお話をご紹介します。
近未来にワクワクが止まらない!
ゲームや体験型アトラクションなどに使われ、何かと話題になっているヴァーチャルリアリティ(仮想現実、以下VR)。
また、スマホを通して現実世界を映すとモンスターの姿が見えて捕獲できるなど、オーグメンテッド・リアリティ(拡張現実、以下AR)も、老若男女に親しまれるようになりました。
そんなVRなどを題材にしたのが、川原 礫(れき)さん原作の大人気ライトノベル『ソードアート・オンライン(以下SAO)』です。2012年にはアニメ化もされ、多くの人がその世界観に引き込まれました。
物語の舞台は、2022年。全感覚没入が可能なVRマシンが開発され、主人公のキリトとヒロインのアスナが、『SAO』というゲームにログインするとこから物語は始まります。
しかし…
これはゲームであっても、遊びではない
『SAO』ゲーム開発者の言葉と共に、1万人のプレイヤーが仮想空間に幽閉され、『ゲームでの死=現実での死』という恐ろしいデスゲームへと巻き込まれていきます。
今回の『劇場版 SAO』は、そういった一連の事件が解決された2026年の現実世界を、川原さんが完全オリジナルで書き下ろしたストーリーです。
今作では全感覚没入型VRに代わり、AR技術を利用した《オーグマー》という、耳に装着する機器を使用。ARゲームでは、原宿や秋葉原など現実の景色がゲームになるので、よりワクワクするような近未来を感じます。
しかし、ARゲーム中にも何故か出現する『SAO』時代のボスキャラ…人間ではないかと噂のあるARアイドル・ユナやゲームランキング2位のエイジとの出会い。様々な謎を含み、物語は新たな展開をみせます。
キリトとアスナだけわかれば大丈夫(笑)
今回初の映画監督作品となる『劇場版 SAO』について、伊藤監督にお話をうかがいました。
――原作やアニメを知らなくても楽しめますか
一応原作などを知らなくても見られるように作ってあります。脇役はとりあえず置いておいて、主人公のキリトとヒロインのアスナさえ覚えてもらえば大丈夫です(笑)
とはいえ、ファンの人たちも楽しめるように、「キリトが超強い」「キリトとアスナのラブ」「新しいゲームでのバトル」という『SAO』三大要素はしっかりと入っています。
――コアな題材を扱っていますが、幅広い層に受け入れられた理由は?
原作の読者は中高生が多く、テレビアニメもその層に向けて作られていました。その時の子たちが成長して、映画館にきてくれているのかもしれません。
川原先生に原案をもらった時は、まだVR、ARはそんなに一般的ではなかったんですけど、時代にあった題材になったのではと思います。時代を先読みされているんだなと感じました。
あと、『君の名は。』が大ヒットして、アニメ映画自体を見に来てくれる人が増えたようにも感じます。おこぼれがあると嬉しいですね(笑)
――映画の世界観は、近い将来実現すると思いますか
まだARもVRも映画のようにはいかないと思います。でもしばらくは魔法のように見える、飛躍した表現があってもいいかなって。
そのうちSFによく出てくる、空間に浮かぶ透明な板みたいなのも、どこかの企業が作るかもしれないし。まだまだ可能性はわかりませんよね。
――『劇場版SAO』のみどころは
先ほども言いましたが、はじめて見る人にも十分楽しめる内容になっています。なんか面白そうなのやっているな、ちょっと見てみようかな、くらいで見てもらえると嬉しいです。
あと、作る段階でプロデューサー陣に「デートムービー」を作りたいと言われていて。アクションだけでなく恋愛要素も入っているので、異性を誘いやすい映画にはなっていると思います。
もっと気軽に、アニメ映画を楽しんでくれる層が増えてくれたら嬉しいですね。
今後も様々な世界観を展開していく『SAO』。映画の最後には、気になるワードが呟かれる場面もあり、ますます目が離せなくなりそうです。
普段アニメ映画を見ない人も、昔からファンの方も、近未来感あふれる迫力のARの世界を、ぜひ大きなスクリーンで見てみてくださいね。
[文・構成/grape編集部]
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