清水久嗣のB.LEAGUEレポート!実業団~練習生を経てプロ入りした努力の人・千葉ジェッツ石井講祐選手その①

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男子プロバスケットボールリーグ・Bリーグ。
白熱したゲームの中で欠かせないプレーの一つが3ポイントシュート。
バスケットボールでは通常のシュートで2点入るのに対し、バスケットの中心から6.75m離れた半円形ラインの外から打った長距離のシュートは3点が入ります。時には1本で相手チームを引き離し、追いつき、逆転するシュートに魅了される選手は多く、決定力が高ければ高いほどチーム攻撃のバリエーションも増えチームに欠かせない存在に。

シューターから放たれたボールが長い放物線が描かれる間、アリーナが一瞬の静寂に変わり、ボールが乾いた音で直接ネットを揺らした瞬間、アリーナの大歓声を呼び起こします。
4月12日現在、Bリーグで“最も3ポイントシュートを決める選手”が千葉ジェッツの石井講祐選手。千葉県船橋市出身の29歳。3ポイントの魅力に取りつかれた生粋のシューターですが、実は今までご紹介した選手とは違うルートでプロバスケットボールプレイヤーになった選手でもあります。

まず今回は千葉ジェッツ・石井講祐選手にバスケットとの出会いから千葉ジェッツに入団するまでを伺いました。

千葉ジェッツ@680px

石井1(w680)

©CHIBA JETS/TAKE-1

千葉ジェッツはホームアリーナを船橋アリーナに構え、すでに今シーズン12万人を超える観客動員を記録。4月12日現在、堂々のリーグ1位です。
石井選手はホームアリーナのある船橋市出身。子供のころと今の地元バスケット熱を比べて「学生の時にプロチームはなかったですし、バスケットチームが出来てこれだけ盛り上がることは想像できなかったですね。」といいます。

バスケットボールに取り組んだのは小学4年生の部活動から。それまでは「地域のクラブチームでサッカー少年でした」という石井選手。
バスケットに転じたのは「サッカー友達が転校したり、ユースチームに行ってしまったんです。それで部活動を始めることになった時、他に仲が良かった友達がバスケ部に入るということだったので。」ということで、もしその友達が他のスポーツに進んでいたら…いまの石井選手はバスケットボール選手になっていなかったかもしれません。
身長も小学校卒業時には「150cmくらい」と高い方ではなかったといいますが、「中学に入ってから毎年8㎝くらい背が伸びて、中学の卒業で176㎝。高校で今(182㎝)くらいになりましたね。」と選手として体格も備わってきました。

石井2(w680)

©CHIBA JETS/TAKE-1

その後は県立八千代高校に進学。
インターハイにも出場し3年生の時には得点王に輝きベスト16へとチームを導きましたが「当時プロバスケットプレイヤーになると思うことは現実的ではなかったです。」と振り返ります。それでも「たぶん八千代高校に入ってなかったら、今の自分はなかったなって」噛み締めるように話す石井謙佑選手。
「中学校でそれなりに強いチームにいたので、少し調子に乗っていた部分があったと思います。そこを高校の厳しい環境で鍛えてもらったことが良かったですね」と笑って話してくれました。

鉄は熱いうちに打て。
曲がることなく、歪むことなくバスケットボールプレイヤーとして真っ直ぐに成長。
石井選手が3ポイントシュートを打つ背中・姿勢そのものです。
「バスケットを通じて沢山の人に出会えました。やっていなかったらここまで沢山の人に出会えていなかったと思います」と今までの出会いや出来事を振り返ったとき、改めてバスケットボールをやっていて良かったと感じていました。

「プロプレイヤーが現実的ではなかった」石井選手でしたが、初めてプロを意識したのは東海大学への進学がきっかけでした。
「日本一を目指すトッププレーヤーの先輩方から一流の意識の高さを肌で感じることができて、そこからですね。」
当時も東海大学は関東大学バスケットボールリーグ1部の強豪。
先輩には前回、ご紹介したアルバルク東京の竹内譲次選手のほか「名古屋の石崎さんとか京都の内海さんとかもいて、ゴールデンエイジって呼ばれました」
他にも同級生に前村雄大選手、古川孝敏選手(ともに栃木ブレックス)ら今のBリーグを代表する選手がズラリと揃うハイレベルのチームで、がむしゃらにバスケットボールに打ち込んだ日々。
大学選手権やリーグ戦でも好成績をおさめ、「練習は本当にきつかったんですけど、自分にとっては凄い成長させていただいた4年間だったな。」と振り返ります。

石井3(w680)

©CHIBA JETS/TAKE-1

より高みを目指した先輩たちはその後、当時JBLのチームに続々と進む一方で石井選手自身は「大学ではあまりチャレンジできなかったので」と実業団チームの富士通へ。
「バスケットボールも仕事も出来て、とても環境に恵まれていました。でも、だんだんやっていくうちにバスケットへの想いが強くなっていきました」

3年後、ふつふつと湧く「バスケットへの想い」に突き動かされて石井選手は動きます。
「富士通で3年間、やり終えた時に『NBLができる』という話があって、千葉ジェッツのトライアウトのタイミングも重なりました」と迷わずトライアウトを受験。
そこで千葉ジェッツの関係者の目に留まり練習生としてのオファーがかかります。
サテライトチームの練習に参加しつつ、大学時代に体育教員免許を持っていた石井選手は千葉教員バスケットボールチームに籍をおき「大会などで実戦経験を積みました。」という日々。
そしてバスケットボールに集中して打ち込むこと半年。ひたむきな努力が実を結び、正式契約。千葉ジェッツとして初めて、練習生からNBLプレイヤーが誕生しました。
その頃を思い出した石井選手は「嬉しかったんですけど、これが逆にスタートだなって思って身が引き締まりましたね。」

大学の先輩や同級生からは、少し遅れてプロのコートに立った石井選手。
しかし本人は「今までを振り返れば、『やっておいたほうがよかった』と思うこともあります。でも自分が通るべき道だったとも思いますし、それがあったから今があります。自分にとって必要な道だったと思います。」と回り道であるとは感じていません。
むしろ長い助走があったからこそ、より高く、長く飛ぶことができた。そう感じているようでした。

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©CHIBA JETS/TAKE-1

お話を伺っても、自分からベラベラと話すタイプではありません。
ただ言葉や声からは実直さ、そしてバスケットへの想いがひしひしと伝わってくる石井講祐選手。
改めてプレーを見てみると、涼しい顔・きれいなフォームで3ポイントシュートを決めても派手なガッツポーズはなく、すぐにディフェンスに戻る背中から今までの経験や努力に裏打ちされた深み、重み、時によっては老練さでまで感じられます。

背中で、プレーで語る男。
石井選手の3ポイントが千葉ジェッツの東地区逆転優勝へ向け、大事なファクターであることは間違いありません。
週末は千葉ポートアリーナで仙台89ERSを迎えてのホームゲームが行われます。

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©CHIBA JETS/TAKE-1

千葉ジェッツ vs 仙台89ERS
開催日:4/22(土)15時~、23(日)15時~
会場:千葉ポートアリーナ(JR京葉線「千葉みなと駅」より徒歩15分、JR「千葉駅」より徒歩16分、京成電鉄「千葉中央駅」より徒歩12分、千葉モノレール「市役所前駅」より徒歩8分)

チケット:https://chibajets.jp/ticket.html
千葉ジェッツ:https://chibajets.jp/
Twitter:https://twitter.com/CHIBAJETS
Facebook:https://www.facebook.com/chibajets/

次回は4月20日(木)の更新予定。
引き続き千葉ジェッツの石井講祐選手にお話を伺います。

(清水久嗣)

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