5/5(金・祝)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!
ロシアは常に狙っている
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)
アメリカのけん制 真のターゲットは中国?高嶋)北朝鮮国営の「朝鮮中央通信」が、中国を名指しで「レッドラインを越えた!」と言いまして。世界中でこのニュースが相当な波紋を広げているようです。単純に考えて、貿易の量が中国が9割だと聞くし、エネルギーのほとんども中国からと聞くと、どの面を下げてよく言うな、と。これはプロの方はどう分析しているのですか?
宮家)私の直感では、やはり「裏切られた」という気持ちが強いのではないでしょうか。北朝鮮はやはり中国をアテにしていた部分があった。実際、中国は今まで守ってきたわけですから。その守り方がどうも苦しくなってきたのではないですかね? 医者と患者にたとえると、「生命維持装置はつけているけれど、点滴の量を減らしている」というわけですよ。そうなったら患者もびっくりしますよね。そうした反応が起きて、医者が生命維持装置を外すかというと、外さない。いま北朝鮮を失うわけにはいかないから。かなりぎくしゃくしているけれども、まだ見捨てるところまでは行っていないのではないでしょうか?
高嶋)だだっ子が、相手が大人なのを分かっていて「そんなことをするわけがない」と言うことを判断しながら、なにやら強がりを言っているみたいな。
宮家)そんな感じですね。だだっ子にしては出来が悪いですが。
高嶋)アメリカのティラーソンさんが「北朝鮮に対する制裁は5か6くらい」だと。「これ以上の動きがあればもっとシメるぞ」と。そのようなニュアンスで。それで聞きたいのは、ついこの間まで、人によっては開戦前夜みたいな。首取り作戦とか、いろいろありましたよね。「そういう激しい方がおもしろいかな?」みたいなところもありましたが、ずいぶん冷静になりましたね。
宮家)それはおもしろいけれど、そうはいかないわけですよ。下手に間違えると、第2次朝鮮戦争になってしまうのだから、そんな簡単にはできない。ティラーソンさんの言っていることは確かに対象が一見、北朝鮮に向いているようだけれど、実は中国に向いていると私は思います。つまり今は「5」なのを「8」にするとどうなるか? 中国で北朝鮮と裏で取り引きしている変な連中。企業とか人々とか。「彼らを対象にしますよ」と。「そのような人たちがアメリカ人と取り引きしているようなら止めますよ?」と言わんばかりのことを言っているわけですよ。ですから中国がアメリカとある程度協力せざるを得ないのは、制裁を真正面からやられたら、メンツが丸潰れでしょう。そうなりたくないから、中国に対してはマッサージしながら「こんな物ではすまないぞ」とアメリカは凄んでいるのだと思います。
虎視眈々と漁夫の利を狙うロシア高嶋)政治漫画のようですね。ロシアは虎視眈々、という感じですか?
宮家)そうですね。中国と北朝鮮の仲が悪くなってきたときに、北朝鮮がすがるのはロシアしかないですよね。北朝鮮の北の方には、実はロシアの国境が接する部分が。中国と接する部分と、両方あるわけですよね。ですからロシアは、いつでも両方の利を得ようと入ってくる。特にアメリカと関係悪くなっているし。
高嶋)季節によっては(ロシア~北朝鮮)歩いていけるとか。
宮家)行けますよ。バスも通っています。けっきょく、アメリカを念頭に置きながらも、ロシアは「アジアの国なのですよ」ということなのです。
高嶋)しかし、宮家さんのおっしゃるところ、北朝鮮の終わりの始まりというのは、絵柄としてはその通りですか?
宮家)絵柄としては、もう「終わりの始まり」が始まったかな? 何年かかるか分からないけれど、かなり厳しいことが起こるかもしれません。