5/8(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
フランス大統領選挙はマクロン候補が当選!既存の政治勢力をどう巻き込んでいくのか
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
フランス大統領選挙、得票率65.1%でマクロン氏が圧勝フランス大統領選挙の決選投票が7日に行われ、超党派の市民運動『前進』を率いる中道系で、EUとの協調を訴えるマクロン前経済相が当選を確実にしました。39歳のマクロン氏はフランス史上最年少の大統領になります。
高嶋) まず遠藤デスクに経緯を説明してもらいましょう。
遠藤) 開票は日本時間の今日午前3時から始まりまして、マクロン候補にわずか5分で当選確実が出ました。フランスの国営テレビが開票結果の予測として、マクロン氏の得票率が65.1%、ルペン氏が34.9%と伝えていまして、予想以上に差がついたという感じです。今回主要な2つの政党の候補がいずれも第1回の投票で候補が敗れたということで「マクロン、ルペンどちらも支持しない」と主張して、白票や棄権がたくさん出るだろうと言われていましたが、今のところ以外に少ないようでして、投票率は前回の80%を若干下回りますが78%くらいになると見通しが出ております。当選確実の一報から1時間後にはマクロン氏がパリにある自ら率います『前進』の本部に登場しまして、「非常に大きな名誉で、大きな責任を感じている。私に投票してくれた有権者に心より感謝する」と勝利宣言をしています。一方のルペン氏はパリ郊外で支持者の前に姿を見せまして「フランスが直面する多くの課題の前にマクロン氏が成功することを祈っている」と述べ、敗北を認めています。ただ「フランス国民は新しい大統領を選んだが、これまでと変わらない政治に投票した」とも語りまして、敗北に失望を隠しませんでした。マクロン氏の勝利宣言を受けまして、早速トランプ大統領はTwitterに「大きな勝利を祝福する。彼との連携をとても楽しみにしている」と投稿しています。EU各国、EUのトゥスク大統領は祝意を示したうえで「フランスの人々は偽ニュースの横暴さに打ち勝って、自由と平等と柔和を選んだ」と祝福をしております。
高嶋) 予想通りの結果になって、意外と棄権も少なかったという。理性が勝ったということでしょうかね。どう思いますか?
須田) ギリシャの財政危機に端を発したEU危機、ヨーロッパの経済財政危機がイギリスのEU離脱でピークに達しましたよね。どこまでEUは漂流していくのだろうかと見られていましたが、今回のマクロン氏の勝利によってとりあえずEU危機というのが底を打って、むしろEU29ヶ国の結束が固まったのではないかと。
高嶋) そうですねえ。メイ首相をはじめとするイギリスは今度の結果に一番ショックを受けている気がしますが。
須田) ショックも受けているし、一番大きな影響を受けるのはイギリスですよ。EUはもうイギリスなしで体制をどう構築していくかという方向に流れていますから。イギリスに対して一片の譲歩もしないと。出ていくのなら勝手に出て行けと。そういう空気感ですよ。イギリスの経済にとってみると非常に苦しい状況になってきて、場合によってはイギリス危機が次に出てくるのではないかと思います。
マクロン氏の背景である新勢力『前進』とは?高嶋) 大統領になったマクロンさんは39歳で、大統領権限は相当に強いようではありますが、政治家の経験がない、議員経験もない。腹案として「首相を誰にするかはもう決まっているんだ」という情報も入ってきましたけど、これから先というのはどのようになっていきますか? 理屈っぽいのが周りにいっぱいいそうですが。
須田) フランスの場合は大統領権限がものすごく強いし、ある種のリスペクトする、尊敬する意識がありますから。ただ議会との今後の関係は重要になってくるために、首相には政治経験豊富なベテランをつけてくるのではないかと。
高嶋) 市民運動『前進』というマクロン新大統領の背景ですが、これはどんなものですか?
須田) 全く新しい政治勢力ですかね。これまで伝統的にフランスというのは軍部に関係が深い保守と、フランス革命以来の伝統を持つ左派という2つの陣営によってわかれていました。それだけでは今の世の中、EUという体制の中ではフランスの立場を代表できないということで、新しい勢力がどどっと出てきた。極右とされているルペンさんも新しい政治勢力ですよね。新しい政治勢力が既存の政治勢力をどう巻き込んでいくのかというところが問われてくると思います。フランスだけではなくてEU全体の話でも言えますけどね。
高嶋) 遠いヨーロッパの話ではありますけど、こういう現象をみると日本と比較したくなりますよね。日本はとにかく安倍さんが強くて、民進党はガタガタになっている。影響を受けますかね?
須田) こういうのが出てくると民進党がその気になって「マクロンに学べ!」とかね。全然実態が違いますからね。体質そのものから学んでほしいと思います。
高嶋) マクロンさんは優秀な超エリートの学校を出ているわけですけど、社会党政権に一本釣りされて経済デジタル大臣になって、それでわあっと名前を上げて一気にこれだけのうねりを作って大統領になってしまったのだから相当なものですよ。
須田) 人気先行であることは間違いないです。やっぱり奥さんの存在が大きくて、相当年上の奥さんを貰ったことで女性の好感度も猛烈に上がりましたよね。女性票を相当取り込みました。そこは政策とは無縁のところだとは思いますから、人気先行型だとは思いますよね。女性の心は変わりやすいじゃないですか。その辺が今後のカギだとは思いますよね。