5/4(木・祝)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
イギリス下院解散 選挙選はEU離脱が争点に
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
ナショナリズムの加速でヨーロッパとイギリス関係は冷ややかになっていく
イギリス議会下院は3日解散し、来月8日に行われる総選挙に向けて、選挙戦が本格的にスタートしました。先月下旬の各世論調査ではメイ首相が率いる与党保守党の支持率が最大野党の労働党を10~20ポイント程度上回っており、圧勝の勢いと見られます。
高嶋)今日の新聞に「EUが交渉指令原案 手切れ金、上澄み要求へ」と。ユンケル欧州委員長とメイさんが喋っている写真が載っていますが、これは何ですか?
佐藤)けっきょく、よりナショナリズムが加速しているということですね。イギリスにおいても、EUにおいても。EUは少しずつ分解の傾向が強まっていくと思います。それでイギリスもこの前のスタンスよりも、より強くEUに出るようになるでしょうから。ヨーロッパとイギリスの関係は非常に冷ややかになっていくでしょう。同時にイギリス国内ではスコットランドの独立問題がかなり重要になるでしょう。ですから今度の議会選挙では、独立派。「国民党」とか「民族党」とか日本では言っていますが。議席を減らす、と言う見方が強いのですが、それは逆にスコットランドの中でも分岐が鮮明になるということですから。スコットランド情勢は要注意ですね。
ヨーロッパは先祖返りしつつある?高嶋)フランスもどうなるかわかりませんが、EU自体はどうなるのか……?
佐藤)すぐになくなることは無いと思います。鍵はドイツです。ドイツのメルケルさんが負けて、誰か弱い首相が出てくると、ナチスが登場した前夜のワイマールの再来ですよ。要するに極右勢力が抑えきれなくなり、極左勢力も出てくる。それでドイツ内部はガタガタになる。その雰囲気がヨーロッパ全域を覆う。「これはどうしようもない。強い指導者が必要だ!」と言って、変な指導者が出てくる場合もある。
高嶋)どこもかしこもそういう傾向に?
佐藤)その通りですね。ですが、大きく考えると、第二次世界大戦の遺産を食い尽くしたのかもしれない。ヨーロッパはもともと、そこまで民主的な国ではないのです。1941年の12月に日本が戦争を始めたとき、ヨーロッパ全土のほとんどがドイツの影響下ですから、中立国というとスイス、スペイン、ポルトガルで、スペインとポルトガルはナチスが味方ですから。ですから元々それほど民主的ではない、自由もない国がアメリカの勝利により、比較的自由で民主的になったのは、先祖帰りしたのかも知れないですね。となると面倒くさいです。
高嶋)イギリス側が日露戦争の時に債券を買ってくれるという有名な話がありますが、あれも日本が好きだから買ってくれたわけではない。
佐藤)自分たちの利益のためと、光栄ある孤立、という形で言っていたのだけれど、それに限界がきたから、誰かと同盟しなければいけない、ということだったのです。
高嶋)世界中がその傾向の中、日本はどうなのですか? 1強と呼ばれる安倍さんのやり方は。
佐藤)そんなに悪くないと思いますが、憲法改正とかの不必要な問題をいま追加しない方がいいかな、と思います。今は時期ではない。経済に追求してほしい。