フランス大統領選・決選投票へ~世論調査ではマクロン氏66%・ルペン氏30% 高嶋ひでたけのあさラジ!

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4/24(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

フランス大統領『第一関門』を突破したのは?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

仏大統領選フランス北部の投票所で投票する(左)マクロン氏(右)ルペン氏=20170423 写真提供:共同通信社

仏大統領選フランス北部の投票所で投票する(左)マクロン氏(右)ルペン氏=20170423 写真提供:共同通信社


EU残留派と離脱派 真っ向から意見の対立する2人が決選投票に

主要4人の候補による大激戦となったフランス大統領選挙は、第1回投票が23日に行われました。メディアの開票予測では、マクロン前経済相と、極右勢力のルペン党首が、決選投票に進む見通しと報じられています。

畑中)今回のフランス大統領選挙は、11人が立候補しました。その内、超党派の市民運動「前進」を率いる、独立派のマクロン前経済相、39歳の若さです。そして、極右政党の国民戦線のルペン党首48歳、こちらは女性候補です。これに、中道・右派のフィヨン元首相63歳、極左系選挙連合のメランション氏65歳、こういった左翼から右翼まで広いウィングの中、主要4人がほぼ20%前後の支持率の中でひしめき合う大激戦となりました。国内の雇用対策、あるいはEU離脱の是非が主な争点でしたが、こうした中で先週、シャンゼリゼ通りでテロが起きました。これが投票にどう影響するかも注目となりました。アメリカのトランプ大統領はルペン氏について「国境管理で最も強い人物」と述べ、異例の肩入れをする事態にもなっています。これまでの情報ですが、国営テレビの得票予測では、マクロン氏が23.7%、ルペン氏が21.7%と、この2人が決選投票に進む見通しであると報じています。もしこの2人の対決となると、マクロン氏とルぺン氏は、特にEU離脱について真っ向から意見が対立しており、マクロン氏はEU残留派、テロ対策についても「EUを通じた対策なしにテロ防止は不可能」と話しています。対するルペン氏はEU離脱派。「国家主権を回復しない限りテロは続く」とシェンゲン協定やユーロからの離脱を訴えており、もしこの2人の対決となると、この辺りがどうしても争点となる、こういった状況です。現地から、元産経新聞パリ支局長でフリージャーナリストの、山口昌子さんと電話が繋がっています。先ほどお伝えした、マクロン氏とルペン氏。2人の決選投票に進む見通しというのは、その後の最新情報でも流れは変わらない状況でしょうか?

山口)変わらないですね。内務省の正式発表はあと2,30分(現地時刻は深夜0時)だと思うのですが、いまの報告のように、マクロンさんが23.8、ルペンさんが21.7、フィヨンさんが19.8、メランションさんが19.2、アモンさんが6.5、という数字が出ています。したがって、無党派のマクロンさんと極右派のルペンさんが、決選投票、第2回投票が5月7日にありますが、それに2人が進んで、どちらかが大統領にある、と言うことになっています。


フランスでマクロン氏は“反体制”の象徴である

畑中)そもそも4人の候補が大激戦を演じることになった背景には、どのようなことがありますか?

山口)こういうことは本当に初めてで、今回のキーワードは、やはり“反欧州”か“欧州”か、というのと、もう1つは“反体制”“反システム”というのがあったと思います。アメリカのトランプさんも全然政治家の経験が無い大統領ですけれども、フランスでマクロンさんは、まさに反体制の象徴なのです。というのは、議員もやったことが無いし、政治家になったのは2014年の夏に経済相になったわけですが、その前は、2012年にオランドさんが大統領になった時に、大統領府の事務局次長に引き抜いたのです。その前はロスチャイルド銀行のナンバー2でした。ですから、この時は社会党が「なぜ金持ちの象徴みたいなロスチャイルド銀行の人間を政権の中心に据えるんだ」と、物凄いブーイングが来たのです。それで、いま仰っていたように、大臣をやっていた去年2016年に、右派でも左派でも政党でも無い、「前進」というグループを立ち上げたのです。その時はまだ大臣だったのですが、去年の夏に辞めて、それで出馬したのです。ですから、まったく議員も選挙もやったことが無い。そういう人がどうして1回投票でトップ当選したかと言うと、やはり右でも左でも高失業率は解消しないし、治安の悪化もここ10年変わらないし、いろいろなことで移民は増えるし。あらゆることで左右の政党に対する不満があったと思うのです。それで、マクロンさんが今回トップになった。ルペンさんも「諸悪の根源はすべてEUにある」という脱EUの考え方ですね。ただ、「大統領になってからEU離脱かどうかは国民投票で決める」と言っているのです。というのは、イギリスの場合と、フランスとは事情がかなり違うと思われるからです。今度マクロンさんが1回投票でトップになって、2人でルペンさんと争うわけですが、負けたフィヨンさん。この人は共和党ですが、それと社会党のアモンさん。この2人は先ほど敗北宣言で「マクロンを支持する」と言っているのです。やはり反ヨーロッパというのは、フランスでは困るというか、それはフランスのある種の存在価値でもないのですが、極右はやはりフランス共和国の“自由・平等・博愛”の精神にも反するわけですから……

高嶋)マクロンさんとルペンさんとの5月の戦いは、どのような組み合わせになって、どのような応援体制になるのでしょうか。

山口)今申し上げた通り、保守党と社会党もマクロンさんを支持しているのです。それで、これまでの世論調査での「マクロン対ルペンはどうなるのか」というので、マクロンさんは66%、ルペンさんは30%と言われています。

高嶋)なるほど。その通りに行きそうな気配なのですか?

山口)そうですね。いまのところフィヨンさんとアモンさんが呼びかけていますから、その通りに国民が投票するかどうかは分かりませんけれど、そういう数字が出ています。


ルペン氏が当選した場合、経済はマイナスの影響を被る?

須田)ルペンさんが決選投票に残るということが確実視された段階で、日本の株式マーケットがどう反応したかと言うと、下落したのです。やはり株式マーケットと言うのは、先行き不透明をいちばん嫌いますから。これは日本経済、ひいては世界経済にもマイナスの影響を及ぼすだろう、と判断を出した。だから、ルペンさんが万が一、当選の可能性は低いですが、もし当選した場合、経済的には大きなマイナスの影響が出て来ると思います。

高嶋)マクロンさんはスカウトされて経済大臣をやっていた。山口さんも言っていましたが政治の経験が無い。それで経歴を読むと、スーパーエリートですよね、この人。国立行政学院とか……30人くらいしか入れないのでしょう?

須田)ええ。フランスのトップエリートですね。

高嶋)よほど頭が良くないと入れない。そこを出ていきなり、39歳の若さで大統領になったら、これはみんなあっけにとられるだけなのでしょうか?

須田)フランスはそういったスーパーエリートを国民が容認していますからね。「そういう人が出て来たんだな」と。実務の経験、経済実務の経験は豊富ですから、やはり経済に関してだとかなりの手腕が期待されると思います。トランプさんがルペンさんを応援したというのは、贔屓の引き倒しになるでしょうね。やはりフランス人というのはアメリカが嫌いですから。プライドの高い国ですから。その辺も良かったのかな、と。

高嶋)結局、トランプさんは自分に、たとえば「メキシコに国境を~」とか「移民を~」とか言っていますからね。それと軌を一にするようなことを言っているルペンさんの考えに共鳴しているに過ぎないのでは、と思います。

須田)そうですね、ただ、イギリスのEU離脱、そしてアメリカにおけるトランプ大統領の当選という。内向きに世界がなってきた中で、ここでマクロンさんがフランス大統領選挙に当選するのは、大きな意味があると思います。

高嶋)もう当選したと仮定すれば、フランスのEU離脱は無いと判断されていますから、EUはこれでいったんは落ち着くのですかね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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