4/21(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
共に負けられない勝負に出た保守党と労働党
6:29~ニュースやじうま総研ズバリ言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)
日本とイギリスは似ている高嶋)どうしても宮家さんには国際問題を伺いたくなるのですが、ずっと週刊誌に連載している国際問題、“鳥の目・虫の目・魚の目”というやつで「新しい日英同盟締結の進め」なんて書かれているのですけども、日英同盟って随分古いですよね。清国?(笑)
宮家)清国です(笑)。
イギリスというのはヨーロッパ大陸の端にある小さな島国なのですよね。それで日本はアジア大陸の端にある小さな島国じゃないですか。よく似ている。性格だけじゃなくて、大陸とどう付き合うか。自分たちは大陸ではない、ヨーロッパ人でもないのですよ、イギリス人っていうのは実は。だからEU離脱っていう話がいつも出て来るわけですよ。そういう意味で大陸とどのような距離を置くのか、大陸にどの程度介入するのか、関与するのかという、これを上手くバランスを取らなければいけないというのが私の考え方なので、そうするとイギリスからはいろいろなものが学べるのではないですか。
イギリスがEUから出るの? ふーん……だけど、考えてみたら昔は七つの海を支配していたのに、それが今やどこも支配していないというのはちょっとね、EUなんか入るのをやめて、出て来るのだったらまたもう一回太平洋に戻っておいでよと。高嶋)まあ太平洋戦争の代償は大きかったですよね。ナチス・ドイツとの戦いでね。
宮家)まあそれもそうだし、中国に香港を返してしまいましたからね。ですから、良い意味でも悪い意味でもイギリスから学ぶものが多い。
それで今回のメイ首相の話を聞いていると、なかなかしたたかなやり方じゃないですか。良く言えば、このままEUと離脱交渉をやっても、思うようにイギリスの利益は確保できない。だからこうやって自分は賭けをするのだと言わんばかりの。
メイ首相の考える“完全離脱”の趣旨とは?高嶋)よく分からないのは、メイさんは完全離脱と言っている。それでその他のEUとの関係を考えている人も結構多いらしい。“完全離脱”というのは随分毅然としていますけど、どういうことを言っているのですか?
宮家)完全離脱の趣旨はよく分からないけども、要するにもう全く今までのことはチャラにして、初めからもう一回協定をゼロベースでやりましょうと。その代り、それをやるということは、ある意味で今までのこと全部チャラですから、ハードランディングと言うのだけど、代償は大きいですよ。今までやってきたことは少し大目に見て残しながら、形としては離脱するけれども実質的には相当程度EUのメンバーと同じようなものをやりましょうよと。特に通商については自由貿易でやりましょうよと言いたいところなのだけども。
高嶋)そこまで全部ぶち壊す必要無いような気がするのですけどね。だってまたやらなきゃいけないじゃないですか。
宮家)そうなのです。だけど恐らくこれはEU側、特に大陸側の人たちとの交渉の中で、やっぱりそういう立場でいかないとやられちまうと思っているのではないのでしょうかね。だからそういう意味では彼女は愛国者だと思うのですけどね。
解散・総選挙で存在を強くアピールしたいメイ首相高嶋)あのEUの代表する官僚の力みたいなものはすごいものがあるみたいですね。
宮家)すごいですよ。だから出て行ってしまおうと思っているのかもしれませんけどね。他方、彼女だってしたたかですから、よく考えてみたらですよ、自分が首相になったのは良いのだけど、それ選挙に勝ったのは前のキャメロンですよね。ですから彼女にとっては自分で選挙をやって自分で勝った訳ではないから、それは国内の地位、力はあくまでも弱い訳ですよね。やっぱり一回解散をやって、それで買って「どうだ!」とやりたい訳ですよ。
高嶋)“いずこの国”もやはりそうなのですよね。選挙の裏付けが無いとナメられちゃうね。
宮家)ところが、何を血迷ったかキャメロンさんはイギリスの首相の解散権を放棄しちゃったというか、無くなってしまった訳ですよね。だから今彼女が総選挙と言っても総選挙できないので、結局上手くしたたかに動いたのでしょうね。野党も同調して3分の2以上の議決で。
高嶋)労働党もひょっとすると、驚きの芽が出るかもしれないと思ってやっていると、こういうことなのですか?
宮家)そうそう。もしかするとこれ勝てるかもしれないしね。そりゃ何もしなかったら2020年まで少数派ですから、これは一発賭けようってことではないですか?
高嶋)じゃあお互いに博打を打っていると?
宮家)そういうことです。どっちが勝つか知りませんけども。
高嶋)そうですか(笑)。何かよその国じゃなくて日本がこういう風な感じだと、ちょっと国論二分で面白いのですけどね。
宮家)そこまでいってないね。