4/14(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
ロシアとアメリカ 互いの真の目的は何か
7:03~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(元外交官・キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹)
米露外相会談から見えてくる、米露の戦略的発想
高嶋)ちょうど、シリアへのミサイル攻撃から1週間ですね。そしてトランプ大統領はいろいろなことを言いますけれど、「いま米国、NATO、ロシアの関係は史上最低かもしれない」という発言。今週は米露の外相会談がありまして、ラブロフさんとティラーソンさんが5時間に及んだ会談をした。その後にプーチンさんも加わり、さらに2時間話し合っています。外交をずっと専門としている宮家さんとしては、ここからどういうものが見えてきますか?
宮家)やはりアメリカとロシアの戦略的な発想の部分があって、それで相当突っ込んだ議論をしますよね。自分の発言と相手の発言と合わせて6時間以上でしょう? 3時間も喋るというのは相当のことですよ。ですからそれは「こんにちは、さようなら」では無くて、相当突っ込んだ話をしたのでしょう。それで、ロシアが望んでいるのは何かというと、いまはシリアの議論をしているかもしれませんが、ロシアの本当の目的はクリミアの侵攻の時にかかった経済制裁。あれをとにかく解除しろ、と。これが最終的な目標ですから。
高嶋)そんな具体的なことが?
宮家)いや、議論されたかどうかは分かりませんが、それが頭の中にあって。それで、ロシアはシリアにちょっかいを出しているのはなぜかというと、別にアサドが可愛いからではない。まあ、可愛いかもしれないけれど、それより、何よりも「ロシアの言うことを訊かなかったらアメリカさんはISなんて倒せないんだよ? 嘗めるんじゃないよ?」と。「もし本当にやりたかったら、協力するんだったらあの経済制裁を何とかしろよ」とこういう話なのですよ。そういう構図の中で見たら、かなり突っ込んだ話をしてお互いに言い合ったのだと思いますけれど。話し合いが続くのは良いことでね。米露がシリアとドンパチやられたら困りますからね。
アメリカは力を背景にした外交へシフトした高嶋)今朝入ってきたニュースで、これもトランプさんが、“北朝鮮へのメッセージかどうかは明言せず“という共同通信の記事なのですが、”すべての爆弾の母“と呼ばれる、大規模爆風爆弾、MOAB(モアブ)をISのトンネル施設内を対象に、空爆を実施した。
宮家)アフガニスタンでしたかね。全長9メートルくらいのドでかい爆弾です。8トンくらいあるのかな。ですから大量ではないですが、中量破壊兵器くらいはあります。物凄く高いものです。それに洞窟を一気にぶち壊して進める力があったのでしょう。でも、これはアメリカの当局者も言っているのですが、単にアフガニスタンのISに対するものだけではなく、もしかしたら北朝鮮の核実験場の上でドカンとやったらどうなる、ということも含んでいる。
高嶋)ああ……
宮家)貫通爆弾と言って、別の爆弾もあるのですが、その種の爆弾をたくさん持っていますから、「その気になれば実験場を壊すことくらいできるよ」というメッセージです。つまり、今アメリカがやっているのは北朝鮮にも関することなのですが、「力を背景にした外交をする」と。これまでみたいに“戦略的忍耐”などと言って、結局何もやらなかったじゃないか、それでは間違いだったということで、世界中で力を示そうとしている。“Show of force”ですね。これが始まっているのだな、という感じですね。どこまで理解してやっているのかは知らないけれど、明らかに政策が変わったと思います。
高嶋)ということは、ロシアも本気で喧嘩しようというわけではないのですね?
宮家)無いですね。お互いに核を持ち合っていますから。
高嶋)経済制裁の解除ね。これは結構、たやすいことなのではないでしょうか?
宮家)たやすくないでしょう。彼(プーチン)はもともとKGBだから。国内工作をやるわけですよ。ちょっかいを出すのですが、そんな簡単にはいかないと思います。
高嶋)それをやっては、アメリカも発言力が低下するということですね。