トランプ大統領がシリアへ軍事介入か?高嶋ひでたけのあさラジ!

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4/7(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

シリア空爆で死者はこれまでに86人~そのうち30人が子供で20人が女性
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・外交評論家)

米軍がシリアに巡航ミサイル「トマホーク」=20170407 写真提供:共同通信社

米軍がシリアに巡航ミサイル「トマホーク」=20170407 写真提供:共同通信社


トランプ大統領「アサド大統領に対する考え方は大きく変わった」

シリア北西部での空爆を受け、アメリカのトランプ大統領がシリアへの軍事介入の可能性についてマティス国防長官と協議していることを議会側に伝えたと、アメリカのメディアが報道しました。軍事介入すればアサド政権の後ろ盾であるロシアとの対立が深刻化する恐れもあり、打開策が描けるのか試されています。

高嶋) 新聞によれば、トランプ大統領は「シリアとアサド大統領に対する考え方は大きく変わった」とこういうふうに言ったそうですが、背景を含めて難しい問題ですがまずアウトラインをニッポン放送報道部森田耕次解説委員です。

森田) シリア北西部のイドリブ県で猛毒のサリンなどの化学兵器を使ったとみられる今月4日の空爆はアサド政権軍による攻撃という見方が高まっています。死者は少なくともこれまでに86人、このうち30人が子供で20人が女性だということです。空爆があったのは反体制派が支配しているイドリブ県南部の町でして、4日の早朝ロシア製とみられる戦闘機が住宅密集地にミサイル2発を撃ち込んで、被害者の多くは口から泡を吹き、瞳孔の収縮が見られたということです。これに対しシリアのムアレム外相は空爆を行ったのは早朝ではなくて午前11時過ぎで、イスラム過激派ヌスラ戦線の倉庫が対象で、この倉庫に化学物質が貯蔵されていたんだと主張しております。またロシアのプーチン大統領も欧米の批判に対し「根拠なき非難は受け入れられない」と反論しております。一方アメリカのトランプ大統領は「アサド政権軍は多くの一線を越えた。シリアとアサド大統領に対する私の考えは大きく変わった」と述べまして、アサド大統領退陣にこだわらないとしていたこれまでの政策を修正する可能性をほのめかしております。またトランプ大統領はシリアへの軍事介入の可能性についてマティス国防長官と協議しているということを議会側に伝えたということです。先ほど入ってきた情報によりますと、記者団に対しアサド政権が退陣すべきかどうか聞かれ「何かが起きるべきだ」と述べて対抗措置を検討していることを示唆しております。ただ国防総省の当局者によりますと、シリアに対する攻撃は可能だけれども過激派組織イスラム国IS掃討のため、シリア国内で活動するアメリカ軍に対し報復する危険があると慎重姿勢を示しているということです。

高嶋) それぞれの国、それぞれの人が、それぞれの立場で勝手なことを発言するという、そんなふうに取れますが。すべてを訊いてこの因数分解は、外交的にはプロの目でどう読み解かれますか?

宮家) 何かが起きなくてはいけないとかね、それからアサドの考え方が変わったとかね、そんな素人みたいなことは言わないでくださいと。

高嶋) 素人的な発言だと。

宮家) アメリカはこの問題についてもう何年もやっているわけですよね。オバマ政権のときも大失敗だったけど。なぜレッドライン、前にも化学兵器が使われて何もできなかった。それをやったらアメリカは泥沼になるからですよ。それはみんなわかっている。だけどトランプさんは「オバマはけしからん」と。憎いから。オバマさんがやったことは全部ダメだと文句を言うのはいいけれど、自分でやってごらんと。これから武力行使をする、やってみなさいと。まずはアメリカの軍人が反対しますよ。「何をするのですか」と。じゃあアサド政権をどこかでボトンと落として米軍が兵隊でも出しますか? そんなことをしたら大変なことになりますよ。トランプさんが思うほど簡単に物事は変えられない。

高嶋) トランプさんが言っているのは、俗っぽく言えば犬の遠吠えに過ぎないと。

宮家) うーん。何か象徴的なことはやるけれども、深入りしたらもう出られなくなる。そこはこれから内部で考えるとは思いますけれども、決して問題の解決に比するような会議はできないと思います。だってロシアと組んでもいないし。どこかで握っていなかったらできませんよ。まだまだ二転三転していくだろうと思うので、のんびりとは見ていられませんけれども、慎重に見るべきだと思います。


アサド政権を打倒する時点で、シリア国内の大混乱が始まった

高嶋) しかしそこに住んでいる人にとってはたまらない話ですよね。

宮家) アサド政権を打倒すると言っちゃった時点で、今のようなシリアの国内の大混乱が始まったわけですよ。アサドがよかったと言うつもりはないけれど、出来が悪くても安定が保証できる組織というものはもしかしたら残しておいたほうがよかったのかなと思うときもあります。だけど、ガス使ったらダメですよね。

高嶋)アサド大統領というのは、何でここまでして狭くなる自分の領土を守るのか。それをしなかったら自分の命がなくなるからですか?

宮家)反体制派の勢力が強くて、このまま放っておいたら自分たちが危なくなると思わなかったら、ああいうことはやらないですよね。もちろん、大統領が命令したかどうかはわかりませんけれどね。前線でやっている連中からすれば、ああいう禁じ手を使ってしまうということは、相当に追い詰められている証拠だと思います。

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